10 絆
「赤穂、もう帰ったのね。何話していたの? 」
「少し、お話しただけ」
「……ふうん」
部屋にやってきたキクはベットに寝転がる私を見ていたが、ぷいっと目をそらしてしまった。そして、
「隠し事は禁止よ」
そう、言われた。
「じゃあ、またあとで来るから」
乱暴に扉を閉めてキクは去った。
私達三姉妹の絆は今では微妙なものだが、昔は仲良しだった。レンゲもキクも私も、隠し事なしに心の底から仲良しだった。
「隠し事して、ごめんね……」
そう謝らないといけない気がしてきた。でも、面と向かっては言えない。だから呟くだけにする。
力を解放して戦った代償は重く、リンの手当てで治ったのは表面上だけ。体中包帯だらけ。体中が軋むように痛い。
包帯を変えるため、立ち上がる。フラフラする。後で薬を貰わないと……。
────
スミレが隠し事をしているのは分かっていた。私とキクを避け始めたのも、隠し事がバレないようにするためだろう。
私はそのことに納得がいかない。正直、イラついている。
──お母さんのオルゴールを聞いて落ち着くことにしよう。
「やっぱり綺麗だなあ」
私がうっとりとしていると、サザンカがやってきた。悪魔との契約を勝手に切られ、仕事がないから暇なのである。
「オルゴールかあ……」
「暇だから、人間たちのとこで買ってきたら? 」
「ついでに人間たちのとこで遊ぼうかな」
「気晴らしになるよ、きっと」
サザンカやアケボノ、キキョウは戦ってはいないため無傷である。私は力を使ったので、スミレほどヒドくはないが、一応包帯だらけ。
「じゃあ、遊んでくるよ」
「うん」
そこにマリアが現れた。もう昼か。
「ご飯、早くしないとキキョウが全部食べてしまうよ」
「あれ? スミレは? 」
「あ、呼んでくる」
テーブルにはキキョウ、リン、アケボノがいた。ああ、少なくなったなあ。
「きゃああああああああああ!!! 」
悲鳴が聞こえた。マリアだ。死体は見慣れているはずなのに。
「スミレ、大丈夫? スミレ」
慌てて駆けつけるとスミレが部屋で倒れていた。包帯を外した腕の一部。そこの皮膚がただれていた。
リンが包帯を変える係で、彼女以外が包帯を外すことは禁じられている。どうして、……?
「熱がある。それでぼうっとしていたのかもしれないわね」
リンがそそくさと対処をする。スミレを抱きかかえ、治療室に連れて行く。
結局、この日スミレは眠ったままだった。
────
目を覚ますと、そこは治療室だった。私はあのまま倒れたみたい。
「起きた? 」
「ん、リン」
「目覚めのお水」
「ひゃっ」
顔に水、というか氷水がかけられる。冷たいし、痛いよ!?
「きついのなら無理しないで。約1週間寝ても治らないのなら、もっと寝てもよかったんだよ」
「あの時はその……悪魔とどうしても契約切りたくて」
「……もう少し妹を頼れば? 」
それだけ言い残して、リンは去った。




