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短編集

全宇宙を司る神様、病院に行く

作者: 霜月トイチ

 ここは神様たちが通う診療所。

 そこへ、全宇宙を司る神様は訪れていた。

 その神様は診察を既に終え、結果を待っている。

「百五十四番の神様ぁー、診断結果が出ましたよー」

 看護婦さんに呼ばれ、神様は神妙な面持ちで診察室へと向かう。

 部屋に入り、椅子に座ると対面に座るお医者さんはまずこう尋ねた。

「えーっと、あなたは全宇宙を司っていましたよね?」

「ええ」

「それで、太陽系というのをご存知ですか?」

「はい。確か私の左足の小指の爪の先あたりにある物凄く小さな器官のことですよね?」

「そうですそうです。よくご存知で。実は先ほどの診断の結果、その左足の小指の爪の先あたりにある物凄く小さい太陽系という器官に地球という細胞がありまして、そこがどうも悪くなっているようです」

「チキュウ? そんな細胞があるんですか。知りませんでした」

「まぁ無理もないでしょう。かなり専門的な医学用語ですから」

「で、そのチキュウがどう悪くなっているのですか?」

「はい。実が地球というのは菌がとても繁殖しやすい環境になっていて、その表面には色んな菌が混在しているのですが、その中に人間というウイルス菌が繁殖してしまったんです」

「ニンゲン? そんなウイルス菌があるのですか。知りませんでした」

「まぁ無理もないでしょう。かなり専門的な医学用語ですから」

「で、そのニンゲンは私にどういった影響を及ぼすのですか?」

「はい。この人間というウイルス菌は地球という細胞の環境を破壊し、どんどん蝕んで、最終的には使い物にならなくしまいます」

「大変じゃないですか。私の細胞が死んでしまうなんて。何か治療法はないのですか?」

「いえ、大丈夫です。地球なんて目に見えないどころか顕微鏡でも確認が難しいくらい小さな細胞です。だから地球がなくなっても神様の体に一切支障をきたしません」

「ああ、そうなんですか。では安心です。でもそのニンゲンが他の細胞に転移したりはしないのですか?」

「人間というウイルス菌は地球でしか繁殖できないので、地球が使い物にならなくなれば、一緒に死滅します」

「へぇ。何だかずいぶん頭の悪いウイルス菌ですね」

「でしょう? 一体何がしたいのか現代の医学でもまだわかっていません」

「ほほう。実に興味深い」

「ただ、極たまに月や火星といった細胞にも人間というウイルス菌が確認された例がありますので、そちらに転移しないよう念のためですがお薬を出しておきますね」

「ありがとうございます」

「この薬は地球を蝕む人間を死滅させる効果があります。人間は菌の中でも結構長生きなほうで、他の菌みたいに天災的なことがあってもなかなか死なず、寿命まで行き続ける可能性が非常に高いのですが、これを飲めば簡単に死滅します」

「なるほど、この薬はニンゲンの天敵になるわけですね」

「そうですね。良い例えです。ではこれで今日は終了です」

「ありがとうございました。来週また来ます」

「はい、お大事に」


 了

 なんとなく、私たち人間は何かの生物の体の一部なんじゃないかと思う時があります。

 だって地球とか月とか火星とか太陽系って見た目が細胞っぽいじゃないですか。人間はそれらに付着する菌、みたいな。

 うーん、分かりづらいか。

 人間の体の中にいる数多の菌からしたら母体となる人間のことを何だと思っているのでしょうか。

 それと同じように人間も何かの生物の体にいる菌みたいなもんで、それじゃあその『何かの生物』って何? という話になると人間の言葉では『神様』っていうのが一番近いのかなと思うわけですよ。


 何が言いたいのかうまく言えませんが、何かそういうことです。

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