プロローグ
評価されると更新が早まります
ストックありますが、変える可能性大
――アフリカ マッカ部族――
暗い夜中の草原に一匹の鹿が立っていた。
周りには草と木々だけの静かな地帯。 唯一音がするのは鳥の鳴き声や虫の鳴き声などの雑多の音だけだった。
その威風堂々とした鹿を見つめている人影。 彼らの装備は軽装だ。
皮で作っただけの衣服。 だが、その中でもそれぞれの服装には特徴があった。
彼ら部族は強い順に良い物を与えられる傾向がある。
一際目立つ出で立ちをした男は仲間達に手で合図を出した。
その合図に徐々に鹿に近づいて行く彼ら。 未だに気付いていない鹿。
そして、リーダーの部族は声を張り上げた。
「いくぞぉー! 仕留めろー。 ヤァー! 」
「「おぉー」」
リーダーの部族の声に大きな声で答える黒い人影達。
そう、彼らは今鹿を狩っている。
鹿は彼らの声が聞こえた直後逃走をはかった。う
だが、遅かった。 鹿はスピードを出すのに時間が掛かる生き物だ。
既に飛び出して獲物に突っ込んできている狩り人にはかなわない。
やがて、追いつかれた。
部族のメンバーは手にもった木を鋭く尖らせた得物で鹿に滅多刺しを食らわせた。
鹿は悲痛の鳴き声をあげた。
「ピーーーーーーー(助けてーマンマー)」
何度も尖らせた木を突くと徐々に抵抗されなくなった。
数分達、完全に鹿はいき絶えた。
鹿は空に浮かぶ満月が好きだった3歳の女の子であった。
部族のリーダーは仲間に指示を出し蔦で手足を縛り持ち上げた。
住居まで慎重に進んで行く。 この草原は他人の獲物を横取りする事を生き甲斐にするハイエナがようさんいて、部族でもちょくちょく被害を受けていた。
草木を掻き分けやっとのおもいで住居に到着した。
近付くと仲間の部族達がわらわら出てきた、そして鹿を見定めた直後歓声が巻き起こった。 その視線は英雄に対する熱い眼差しに変わっていた。
ここでは肉は貴重である。 それを狩る部族の男衆は部族内の生命であった。
リーダーの部族は背負った鹿を住居の真ん中に置いた。
すると髭を蓄えた凄味のある老人が前にでた。
「シルバよ。 よく獲物を持ち帰った。 お前はもう部族でトップの男だ」
老人の鋭い視線をシルバは見返した。
「これより、部族長の引き継ぎを行う。 シルバ、しゃがみなさい」
シルバは老人を見つめたあと直ぐにしゃがんだ。
ナイフを取り出した老人は手を軽く裂き、首から下げていた綺麗な水晶に向かって血の水滴を垂らした。 それを地面に置き水晶に当たるように唾をかけた。
老人は周りを見回し、一度首を縦に振った。
すると、周りの部族の面々は水晶に向かって
「「「「「べっ」」」」」
っと唾を吐きかけた。 その唾まみれの水晶の首飾りの紐を持った老人はシルバの首に掛けた。
「これにて部族長引継ぎ儀式を終了する。 以後、儂の事はクリオと呼ぶように。 新たに生まれた部族長に拍手を!」
全員がシルバにむけて拍手で称えた。 新たな統率者として、最強の戦士として皆、これからを思い拍手を続けた。
その日は新たな部族長の誕生により、宴が行われた。
普段は出ない贅沢に贄をこなした食料を食べたシルバはこの食事を毎日行えるくらい立派な部族にしたいと固く誓った。
目線は水晶に移り、少し生臭く肌に触れている部分は嫌悪があるがこれは単衣に部族のみんなからのエールでもある。
己の一部をこの水晶につけて、それを部族長が想いも一緒に背負うという責務として行われる。 非常にありがたくいことに嬉しくて涙がシルバの頬を濡らした。
シルバは幼い頃からやんちゃやんちゃな性格で手の掛かる子供として多大な迷惑を部族のみんなにかけた。 だけど、俺は今度は子供に迷惑をかけられる側だ。
少し未来の事を思いながら緊張した。そのせいか、手汗が凄かった。
思考に没頭しているとツンツンと横から突かれた。
後ろを振り向くと愛娘のラナが立っていた。
「ラナ、どうした?」
「パパン。 今日ねトイちゃんとね蔦で罠を作ってねへび捕まえたの」
そう言って調理されたヘビの丸焼きを差し出した。
手で鷲掴みにし、丸焼きを齧った。
「ねぇ、パパンおいしい? おいしい? 料理はラナが作ったの」
齢6歳の愛娘に言われ嬉しくなり何度も美味しいと言い頭を撫でた。
気持ち良いのか目を細めながら微笑んだラナは可愛かった。
暫く撫で続けていたらラナは眠ってしまった。
もう、宴も終盤に差し掛かりちらちらと各々の住居を帰って行く姿が見える。
シルバはラナを抱き上げながら自宅に向かった。
自宅に着いたら妻のキールが出迎えた。 ラナを寝所に置きキールに今日の成果を報告した。 キールは移住した人間で、部族の事は分からなかった。
移住と言っても語弊があるかもしれない、草原に倒れていたキールをシルバが見つけ集落に連れ帰ったのがはじまりである。
元々、農家で生まれ育った彼女は最初この野蛮人の生活を見てていつ殺されるのかとびくびくしながら耐えていた。
それから紆余曲折があり、いつも強いシルバの弱い心を知り自ずと二人は惹かれあった。 そのシルバは今では部族長になってしまったようだ。
私は今、妊娠中なのもあり自宅の住居に篭っていた。
シルバの様々な報告でこの先の集落は大きく変わるだろうと確信した。
数時間話し疲れたのかシルバは目を擦り始めた。
キールはシルバをラナの隣に寝かせた。 これからは威厳が大事だよね。
ニコニコしながらシルバの族長としての服を編み始めた。
コンコン。 ゴンゴン。 風の強い音かのような強く鈍い音が響いた。
キールは立ち上がり、ドアを開けた。
その瞬間、首筋に痛みを感じた。 暗くて見えなかったが何かに噛まれたと事は確信した。 念のため首筋を強く摘み血を抜こうとしたら視界がガクンと揺れた。
徐々にぼやけて行く視界。 シルバ! ラナ! 幸せだったよ……。
視界が途切れキールは死亡した。
シルバは眠い目を擦りながら朝日を浴びた。 隣にラナがいないとなるともう遊びに行ったのかな? キールも辺りにはいない。
すると横からキールが飛び出てきた。 近付いてくるキール。 近寄るシルバ。
だが、違和感を感じたシルバは足の後ろに力を入れた。
いつもの狩りで培った危険察知の能力だ。
キールは徐々に口を大きく開きこちらに飛び込んできた。
透かさず、後ろに飛んだシルバは叫んだ。
「キール。 どうした? 何があった!?」
何度も叫ぶが一向に聞き入れないこの状態に異常を感じた。
これは本当にキールなのか? 見た目はキールだが……。
考えても仕方ない、取り押さえるか。
そう判断したシルバはキールに向かって素早く近付き首目掛けてチョップを繰り出した。 キールの身体能力では追いつけまい。
首にクリーンヒットし、安堵の溜息を吐いたのがいけなかった。
気絶する筈のキールは気絶せず、シルバの首に噛み付いた。
痛みに顔を顰めたが直ぐに持ち前の肉体で引き剥がした。
シルバの視界がぶれた。 なるほど。 これがキールの正気がなかった事実か。
まだ、何とか意識を繋いだ状態。 視界にラナが映る。
すぐに危険を察知した俺はラナを抱き上げた。
するとラナにガブリと噛まれた。 あぁ、既にラナもなっていたか……。
生きる意味だったラナが変異した事で繋いでた意識が完全に途切れた。
この日、アフリカのある部族は壊滅した。
残ったのは85人のゾンビだった。
――フランス パリのある邸宅――
小さな女の子が庭を満面な笑みを浮かべながら駆けた。
その女の子の後ろから必死に追いかける同い年の男の子。
「ま、待ってよ。 シャルちゃん」
ふふふと笑みを絶やさない彼女は一度後ろを振り向いた。
「待てと言われて待つもんかーー! クリスの本気を私に見せてよ」
ポーズをとったシャルロットはクリスに向かって人差し指から小指を立ててカモンと挑発した。
それに触発されたクリスはアリスに向かって走る。
シャルロットのツインテールの髪が尻尾のように左右に揺れて、綺麗だった。
しかし、逃げているシャルロットには余裕があった。
何度も振り向き挑発し、仕舞いには歌を歌いながらの余裕の逃走。
クリスは限界に達し、庭の草っ原に倒れこんだ。
汗を大量に浮かべ、息も絶え絶え。 視界もグラグラしている。
今のクリスは限界を僅かに超えた状態だ。 シャルロットはクリスの元にまで戻り顔を寄せた。 クリスは気付かぬ振りをして息を整えた。
力を振り絞り飛んだ! 比喩ではなく本当に飛んだ。
「シャルちゃん、つーかまえた」
飛んだ勢いでシャルロットを抱えて庭に転がった。 離れないように腕を腰から回した。
「あぁ〜。 捕まちゃった。 でも、クリス遅いよー!」
ぶーぶーと少しきつ目に怒りながらシャルロットはクリスの頬を引っ張った。
それから泥だらけになりながら微笑みあった。
シャルロットの自室に引き上げたクリス達だが視界に赤い汁がかかって見える。
徐々に認識していく二人。 その黒いのは血であった。
すぐにその場を離れていれば万に一の可能性があったかもしれないが二人は遊びの疲れでヘトヘトであり、披露の蓄積により判断を誤ってしまった。
二人の前に人の形をした何かが覆いかぶさりぐさりと腕と首を噛まれた。
血がどくどく漏れているせいか、別の要因なのか二人は意識がはっきりしない状態だった。
暫くすると二人だったものは意識をなくし絶命した。
立ち上がった抜け殻にはもう二人はいない。
資産家の一家と友人一家は邸宅にてゾンビになった。
使用人含め45人のゾンビが誕生した。
――アメリカ合衆国 ホワイトハウス――
「こちらマーク。 現在、大統領はホワイトハウスに向かっております。 厳重な体制をお願いします」
「了解しました」
レクサー警備長の指揮下に入り、早5年の歳月が経ちようやく一端の警備隊の一員として先輩同伴なしの任務を請け負う事になった。
今日の任務はホワイトハウスの入る際の警備。
大統領という仕事は常に命の危険に晒される仕事だ。
私たちの任務は大統領や大統領の身近な人たちの敬語が主に行っており、他の一般企業に比べると激務であった。
暫く経ち、大統領の乗せた防弾使用のリムジンがこちらに向かってくる。
ルリ大統領が車を降りる際にすぐに決められた警備員がドアを開け危険を確認してから大統領に降りるように指示を出した。
この一連の動作だが本当に難しい。
大統領が降りたとこで私の合流点に到着。
警備隊長に目令し、すぐさま大統領を守る位置に着いた。
いついかなる時も守れる体制だ。
ルリ大統領はこんな一端の隊員に感謝を示しているところが何より素晴らしい。
ホワイトハウスの室内に入るや否や顔が真っ青な隊員が正常じゃない状態で近付いてくる。
腰から銃を取り出し構えた。 こちらにむかって襲いかかって来た。
バーンと銃声が響き渡る。 肩に銃弾が命中した。
怯まず近づいて来た。 大統領を守る他の隊員とで陣形を固めた。
先程の銃声で同じような症状の人たちが集まって来た。
ざっと2500名。 勝ち目がない。
何とか大統領を連れて逃走を図るのを試みるが難しい。
飛びかかってきた人から大統領を守るために前に出る警備員達。
案の定、何名かの隊員が噛まれた。
すると同じように変化し出した。
「おい! 危険だ。 そいつらに噛まれると乗っ取られるぞ」
声を張り上げて働きかけたがもう既に半数以上が犠牲になり敵になった形になった。
私の最後は呆気なかった。 後ろにいた隊員に押され、生贄にされ噛まれまくった。
最後の足掻きに眉間に銃を放った。
死んだ。 動かなくった。 ヘッドショットが有効だと見ていた隊員が狙い澄ました。
大統領含め警備員合計5200人に登る数がゾンビになった。
死亡者は1500名になった。
そんな最悪の魔の手が日本にも伸びようとしていた。
◆◆◆◆
世界各国がゾンビの襲撃を受けてちょうど一週間の時が経っていた。
ここ日本でも僅か一日遅れによるゾンビの襲来。
結果、世界の人口が激減した。
ゾンビの感染力は凄まじく一度都市に広がれば瞬く間でに増加していった。
ゾンビは人類の2倍ものを数に増えていた。
世界はこれにより、ようやく上層部が重い腰をあげた。
およそ、一週間の時を経て、ゾンビ殲滅作戦ーー『Z計画』を発した。
これにより国民は歓喜した。 買い物もろくにできず徘徊しているゾンビに怯える日々。 それを打倒する為の作戦が世界全土で協力作戦が行われるという事に……。
だが、僕たちはあまりにもゾンビという存在をなめていた。
世界全ての軍で行われたZ計画は人類の敗北による最悪な結果に終わった。
お読み頂きありがとうございます
主人公はまだでません