アマラさんの小品集 その1~7
アマラさんとメッセでやり取りをしている間にいただいた、
メッセのみのやり取りにしておくには勿体なすぎる小品集です、
掲載許可はいただいております。
アマラさんのHUC二次「そみんだってがんばっています?」も併せてお楽しみください。
◆その1 ネストにて◆
「やはり両手からあふれかえるほどの大きさが一番なのだ! デムス(現実世界で言うところのFカップ)こそ至上である!」
「デムスはおっぱいに圧倒されすぎ、美女を全体としてめでることができなくなります! やはり安心しておっぱいと美女を楽しめるのはガッタ(現実世界で言うところのCカップ)でしょう!」
「この・・・! 若造が! 貴様はおっぱいを恐れておるのだ!」
「な、なんですって?! 私はおっぱいが大好きだ! 今の言葉は訂正していただこう!」
「真のおっぱい好きであるならばやはりデムスだ!」
「デムスを尊ぶのは古いしがらみに縛られたご老体たちの悪しき風習だ! ガッタのすばらしさに振り返るべきだ!」
「おのれぇぇぇ!! 王よ! パウル王よ! お言葉を!」
「そうだ! 王のご意見を賜りたい!」
「・・・(ごごごごごご)」
「・・・(な、なんという迫力だ)」
「パッタキオ(現実世界で言うところのAカップ)には・・・夢が詰まっておる・・・」
「な、なんと!」
「そうか。 我々は希少ばかりに目を取られ、身近なおっぱいの美しさを忘れていたのですね」
「さすがパウル王・・・賢王と呼ばれる御方だ・・・!」
◆その2 けもみみ◆
『というわけで、いろいろと意見を聞きたいんだが』
『はい。 実は以前から思っていたことがあるんです。 アガルタって、データの世界ですよね?』
『まあ、当たり前だが』
『じゃあ、獣耳の住民って作れないんですか!』
『は?』
『なん・・・だと・・・! けもみみに目をつけるなんてっ! 赤い神様さては天才だなっ!』
『人とは違う特徴を受け入れられる民生を作り上げ、本当の意味での楽園を作るんですよ! どんな存在も受け入れられる心を育てられれば、将来一般の方をむかえいr』
『その心は?!』
『かわいいけもみみの人に祝福してみたいっ!』
『チーフデザイナーはここだぞーっ! ばりばりばりー!』
『やりましょう伊藤さん! 私たちでアガルタ(ここでは楽園の意味)を作りましょう!』
『けーもみみっ! けーもみみっ!』
「なあ、産休なんてやめて帰ってきてくれないかな。 手に負えん」
「やです」
◆その3 絵画教室◆
「絵の教室のほうは順調みたいだな?」
「ああ、ロイ。 みんながんばって書いているよ」
「見慣れない顔が多いな。 ネストの方が多いみたいだけど」
「うん、ネストの人たちは絵に興味があるみたいだね」
「もともと楽しみが少ない土地だと聞いたからな。 生活にゆとりができて、生きるのに必要最小限以外のこともできるようになったんだ」
「赤い神様のおかげだね」
「ナズさん! ちょっとよろしいでしょうか!」
「うん、今行くよ」
「質問するのもネストの人が多いんだな・・・」
「どうしたんだい?」
「ここの立体感がどうしても出せなくて」
「明るくする箇所の周りを合えて暗くすることで、陰影を強く出すことができるんだ。 影が立体感を引き立たせるから・・・」
「なるほど! 確かにこれでより実物感がでますね!」
「すごく真剣な顔だ。 いい傾向だな」
「ありがとうございます! これでまた理想のおっぱいに近づきました!」
「?!」
◆その4 アイのあさ◆
アイの朝は殺気に気がつくところから始まる。
家の屋根、いつの間にか掘られた地面の穴。
草の束のカモフラージュの中や、塀の上。
日によって場所はさまざまだが、その主はいつも同じ。
ソミタだ。
アイは寝転がったまま様子を伺う。
気がついていると悟られると、かえって危険だからだ。
我慢の限界を迎えたのだろう。
ソミタは人間離れした跳躍力でアイに向かって一直線に走り出した。
迎え撃つため、アイはすばやく飛び起きる。
そして。
「朝っぱらから何やってんだ!」
ソミオの蹴りがソミタを吹き飛ばした。
走っていた勢いも手伝い、ソミタは5m以上吹き飛んでいく。
「おお。 にーちゃん。 おはよう。 なんでおれそとにいるんだ」
「まったく、寝ぼけてアイ襲うのいい加減やめろよな」
ソミオとソミタが去っていく。
こうして、アイの朝は始まる。
◆その5 モンジャにて◆
『皆さん、お絵かきですか?』
「あかいかみさまー! そうだよー!」
「おえかきー!」
『これはモフコさんですね? これはだれです? 羽があって棒がついてて・・・』
「えとわーるさまー!」
「もりがささってるのー!」
『よくかけていますねー』
『赤い神様。あとでお話があります』
『勘弁してください』
◆その6 悪口◆
「かみさまってかっこいいよね!」
「神々しさもあるが、お顔の造詣もすばらしい」
「かみさますごくきれい!」
『現実世界との扱いの差で、逆に悪口いわれている気になるんですよ』
『赤い神様フツメンだもんねっ!』
『それはそれでぐさっとっ!』
◆その7 さかなをとるのもたいへんです◆
小魚もいいけど、大型魚も大好き
食べることが大好きなモンジャ民にとって、大型魚は垂涎の的だ
大きな魚にいい香りの草と塩をまいて蒸し焼き
魚の内臓と塩を混ぜて、しばらくほうっておいた汁、現実世界で言うところの魚醤でにてもおいしい
マルマルは、「肉より魚がすき」という分かりやすい理由から漁師に転向した、元狩人である
比較的初期に追加された素民にもかかわらず、それなりに成熟した精神構造を持ったかれは、いろんな人にいろんな相談を持ちかけられる
カルーア湖沿いのがけっぷりなど、あまり人気の無いところにいることもあってか、何時しか「マルマル相談室」と呼ばれるようになっていた
朝、まだ日が昇らない時刻
マルマルはグランダ近くの湖面から遠い崖の上にいた
ここのすぐ下の湖底は岩場になっていて、大きな魚が隠れる場所がたくさんある
投網で取った小魚に針をかけて投げ込むと、大きな魚を狙うことが出来るのだ
十個ほど仕掛けを湖に投げ込み、糸をを石で固定する
あとはじっくり、魚がかかるのを待つだけだ
近くに生えていた食べられる草をもしゃもしゃしていると、シツジにのった少女がやってきた
ネストのお姫様、ミシカだ
「おはようございます」
「あ。 おはよー」
どうやら二人は顔見知りらしい
ミシカはシツジを近くに待たせると、マルマルの横に並んで腰を下ろした
「最近、おとうさまや家臣の方々がおっぱいおっぱいひどいんです」
「はぁ」
「会議でもおっぱおっぱい。 赤い神様がいらっしゃる前はあんなに一生懸命国のためにがんばっていたのに・・・」
「まあ、あれだよ。 今まで緊張しっぱなしだった反動なんじゃない。 下は怪獣だらけで、上は食べ物なくってでしょ。 やっと手に入れた娯楽なんだよ」
「娯楽、ですか?」
「たのしみが無いと生きていけないって。 モンジャは食うのが好きで、グランダはけんかが好きでってかんじじゃん」
「でも、いくらなんでもおっぱいって」
「ミシカもおっぱい好きじゃない?」
「へ?!」
「ほら、モンジャの集落の近くで水浴びしてる男子がさ、こう、ぬれた髪を手で後ろに持ち上げて、ふぅって成ってるときの体つきのよさに思わずきゅんっとするとか」
「なっ そんなっ! な、ないっ」
「このあいだ地味に見とれてなかったっけ?」
「ないですっ!」
「まぁまぁ、そういわずに今日当たり見に行ってみれば? 男子の胸。 否定ばかりじゃなくてお父様たちの思いに近づくのも大事だよ」
「そ、そういうものですか?」
「そういうものです」
ミシカはしばらく何事か考えるようにうなった後、意を決したように立ち上がった。
「きょ、興味があるわけじゃないんですが、見に行ってみてみます・・・!」
若干頬を赤くしながら、ミシカはすばやくシツジにまたがった。
「別に、興味があるわけじゃないんですよっ! 本当ですよっ!」
「はいはい。 じゃあねー」
「ほんとうですよーっ!」
しつこく確認しながら駆けていくミシカの背中を眺めながら、マルマルはぼそりとつぶやく
「よっぽど見たいんだなぁ。 胸板」
がたがた
石の転がる音に、マルマルはすばやく後ろを振り向いた
「あ、かかった。 でかいなこりゃ」
かなり悪戦苦闘して吊り上げることに成功した魚は、なかなか大きいサイズだった
一番近くの都市であるグランダにそれを持ち込むべく、マルマルはその場を後にした
グランダで魚を売りテツを手に入れると、マルマルはすぐに次の漁へと出た
太陽は真上まで昇り、すっかりお昼だ
お弁当のプチプチおにぎりを頬張りながら、仕掛けに魚がかかるのを待つ
「あー。 あいつ斜めってるからねー」
一人でいることが多い人特有のよく分からない独り言をつぶやいていると、空をふよふよ飛んでいる物体を発見する
まあるい毛玉
モフコだ
『やっほーマルモリー』
「こんにちはモフコさまー」
モフコはマルマルの横にぽふっとおりると、ぼつぼつと話し始めた
『友達がさー。 今婚活中でさー』
「はぁ」
『でも、特殊な仕事でさー。相手にどんな仕事してますとか言えなくってー』
「はいはい」
『年収もものっそい高いんだよー』
「仕事が特殊だから?」
『そーそー』
「でも女の子が稼ぎいいと、男の人引いちゃうんじゃ?」
『そうなのよー。 言えないよねー。そうなると婚活マジむずかしくてさー。友達の話なんだけどー。 で、職場にいい感じの人が新しく入ってきてさー。アタックしてみようと思うんだけど友達の話なんだけどー』
「うん」
『どうやってアプローチすればいいかなー』
「え、相手の人、新人の人?」
『うーん、ていうか部署が変わって新しく来た人。 職歴はとんとん?』
「えー。 じゃあ普通に仕事の話とかできっかけつかむべきじゃないの」
『でも変に先輩風吹かすかんじにならないー?』
「ほら。ここではこうしてますけど、そっちではどうでしたー? みたいな」
『情報交換的な!』
「もしそっちのほうがよかったら、採用しようとかって話になるじゃん? あとこっちが勝ってても、~さんがかんがえたんですよぉー すごいですよねー的な感じにして?」
『自分を下げて感動する感じなのね。それイタダキ私じゃないけど』
がたがた
石が転がる音がして、釣り糸がピンと突っ張る
「あ、かかった」
『ほんとだ! じゃあ、邪魔しないようにわたしいくね! ばいばいマルモリ!』
ふよふよ飛んでいくモフコの後姿を眺めて、マルマルはぼそりとつぶやいた
「精霊の世界でも紺活ってあるのか・・・モフコ様も大変だね」
がたがた
「ああ、はいはい」
このとき連れた魚も大型で、マルマルは今日に引き目の大物に大いに喜んだ
グランダからネストへと出ているシツジ便に魚を預けると、えっちらおっちらネストへとむかって歩き始める
赤い神様が作った滝に、魚が住み着き始めたといううわさを聞いたからだ
「針にかかる魚だといいんだけどね」
モフコがかけた橋を歩きながらのんびりと景色を楽しむマルマル
「どんな魚がつれるかな」
移動するお悩み相談所「マルマル相談室」
恐らく次に釣り糸を垂れた先でも、悩める子羊が相談を持ちかけてくるだろう