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BRAVE GIRL  作者: 星菜 琉衣
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第1話

ほんの少しだけBL要素があります。

あまりないとは思いますが、苦手な方はご注意ください。


今回はあまりありません。




「お~いこのサボり魔~、ここにいるのは分かってんだぞ~。」

「…チッ…またあんたかよ…。」

屋上で寝ていた金髪の女生徒は、舌打ちをし眉間に皺を寄せ体を起こした。

「俺の授業サボるなんていい度胸じゃねえかオイ。」

「うるせぇなコラ。」

「あ~教師の前で堂々と煙草吸っちゃうの君。」

「あたしはあんたを教師と思った事なんか一度もねえよ。」

「相変わらず可愛い顔して口悪いねぇ。」

「うるせえな早く授業戻れよ。」

女生徒はくわえた煙草に火をつけそっぽ向いた。

銀髪のその教師は、気づかれないように近寄り煙草を後ろから取り上げた。

「あっ…なにすんだよ、返せ。」

「女の子が未成年で煙草吸うんじゃありませんー。」

「チッ…なんなんだよあんた…。」

「君の担任ですぅ。」

「うぜえ消えろ。」

「…あ~あ、勿体ねえなぁ。可愛い顔してんのにこんなガサツな不良娘なんて。」

「はいはい、ガサツで悪かったな。」

銀髪の言葉を軽く流した女生徒は、逃げるようにして出口に向かった。

「お、授業行くのか?」

「誰が行くかよ。帰る。」

「……。」

頭を掻きながら階段を降りようとしたその後姿にまた気づかれないように近づき、短いスカートをペラッと思い切り捲った。

「ッッ//!!?んなっ…!!?]

真っ赤に顔を染め慌ててスカートを手で押さえた。

銀髪は顎をさすりながらにやりと笑う。

「へぇ~ヒョウ柄かぁ。そういうのが好きなのか?またセクシーなのつけてるね~。」

「んなにしとんじゃぁぁぁぁ!!!!」

「うがぁっ!!」

見事顔面に跳び蹴りを喰らった銀髪だった。


地元最強の不良の称号を持つ男の妹。

早瀬千歳はやせちとせ(16)

身長172㎝、体重49㎏。

すらりとした無駄のない、誰もが羨む綺麗なスタイル。長い金髪に小さな顔。

整った涼しい顔立ち。

普通なら女子にも男子にも好かれるような美貌の持ち主だが、

誰ともつるまない一匹狼の不良として地元でも有名だった。

他校を全部潰し地元制覇を果たした『早瀬兄妹』は、

不良界の伝説となっていて、二人を知らない者はいなかった。


「ってぇ~っ…ちっくしょ…あの野郎のせいで見つかった…っ」

ついさっき生活指導に拳骨を喰らった千歳は、そこをさすりながら廊下を歩いていた。

校内はもう昼休みで、廊下は生徒達で賑わっていた。

千歳が通っていく度、そこだけがしんと静まり返る。

「こっわ~、早瀬さんだよ…。」

「学校来てたのかよ…。」

「ピアスの数また増えてない…?」

怯えるような生徒達の小さな声を無視して、ポケットから取り出したガムを口の中に入れる。

「おい、千歳!」

「…?」

後ろから名前を呼ばれ振り向けば、一人の男が笑顔で立っていた。

「うっわ…!早瀬千影さんだ…っ!」

「は、早く行こ!」

その男を見た途端、周りの生徒は悲鳴をあげながら逃げていった。

「千影…学校来てたのか。」


地元最強の不良の称号を持つ男で、千歳の兄。

早瀬千影はやせちかげ(18)

身長186㎝、体重64㎏。

長身ですらりとしてるが程よい筋肉のついた体型。

童顔だが整った顔立ち、金に近い茶髪。

特定の仲間とはつるまず、基本はほとんど一人か千歳といる。

千歳と二人で地元のトップに上りつめ、

いまや伝説の人物となって恐れられている。


千影は千歳を指差してにやにやと笑った。

「お前さっきゴリラにしごかれてたろ。」

「あ?なんだよお前見てたのかよ。」

「おお。なに捕まってんだよだっせえな。」

「うるせえな担任しばいてたら見つかったんだよ。」

「担任?ああ、圭か。相変わらずお前にちょっかい出してんのか。…あ。」

「笑い事じゃねえよ。あの変態教師にどれだけ迷惑かけられt」

「誰が変態じゃ不良娘。」

その声と共に再びふわりと捲れる千歳のスカート。

「ぎゃあああああ///!!!」

「お、ヒョウ柄。」

そう笑った千影を睨み、スカートを押さえながら振り向くと、顔に絆創膏を貼っている銀髪がいた。


湘凜しょうりん高校国語教師。

柊圭一ひいらぎけいいち(29)

身長188㎝、体重65㎏。

どうして注意されないのか、教師とは思えない綺麗な銀髪。

チャラそうな綺麗な顔立ちは、年齢を感じさせない若々しさ。

耳にピアスもつけていて、ネクタイも緩くてだらしない格好。

生徒達からの人望も厚く人気者で、千影の二年の頃の担任。

そして、今は2-Aのクラスを受け持つ、千歳の担任である。


「ったく、高校生のクセにそんなすけすけのパンツ履きやがってこの淫乱娘。」

「誰が淫乱だぶち殺すぞ!!」

「久しぶりだなぁ、圭。」

「あらら、早瀬兄じゃねえの。珍しく学校来てんの。」

「ああ、妹が世話になってるみてえだな。」

「そりゃもうお前以上に世話焼いてるよ。お前担任誰だっけ?」

「んー?久世センセ。」

「あ~久世くんね。あいつめんどくせえだろ~?」

「…まぁ、な。」

千影は意味ありげに圭一に笑ってみせた。

「ま、頑張れよ。あと半年で卒業だし。」

「おお。」

「早瀬妹ー、5限目は出なさいね。」

「さっさと消えろセクハラ教師。」

「うわ、セクハラとか傷つくなー。」

圭一はその銀髪頭を掻きながら去っていった。

千歳は疲れたように息を吐いて頭を掻く。

「…千影、お前なんであんなにあいつと仲いいんだよ。圭なんて呼んでるし。」

「んあ?…まぁ、あいつ面白いし?いい性格してるよなー。」

「ただなんにも考えてないだけだと思うけど。」

「お前本当あいつ嫌いだなー。なんで?」

「…嫌いっていうか苦手っていうか…まぁ、嫌いだな。」

「…千歳、いいこと教えてやろうか?」

「…いいこと?」

千影はにやりと笑って、千歳の耳に唇を寄せて囁いた。

「あいつ、お前のこと好きなんだよ。」


…―――はい?


「あいつって、誰?」

「圭。」

「……はあっ?」

クールな千歳もさすがに目を丸くした。

千影は面白そうにその反応を見て笑う。

「変な顔(笑)」

「な、な、なに、馬鹿なこと言ってんだよ…。」

「直接圭から聞いたんだぜ?『お前の妹のこと好きなんだ』ってさ。」

「っ……。」

千歳の顔が少し赤く染まる。

千影は未だに面白そうに笑いながら、煙草を取り出し火をつける。

「不満か?あいつ美形だし、お前とお似合いだと思うんだけどなぁ?」

「…はっ、くだらない。」

「おーおー、気になってるくせに強がっちゃって。」

「お前っ、馬鹿にするのもいい加減にっ…!」

千歳がカッとなって言い返そうとしたその時、校内に昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。

「お、授業始まるぜ。あいつのHRじゃん、出てやれよ。」

「誰が出るかよ面倒くさい。あたしは帰る。」

「ふうん。じゃ俺教室行こーっと。」

「…え?」

既に背を向けていた千歳は、千影の言葉に再び振り返った。

「授業…出るのか?」

「ああ。」

「めっずらし…。」

「そんなに驚くことかよ。」

「だって3年になってからほとんど授業なんか出てなかったじゃん。留年の危機だっつうのに。」

「んー…まぁ、行きたい理由があってさ?」

「…理由?」


バサバサッ―――


千影の背後から聞こえたその音に振り向くと、ファイルや教科書等が床に散らばっていた。

その持ち主の男が、目を丸くしてそこに立ち尽くしている。


湘凜高校数学教師。

久世巳月くぜしづき(25)

身長180㎝、体重61㎏。

サラッとした黒髪に、涼しげな目元。

硬派な整った顔立ちに、黒縁の眼鏡がよく似合っている。

性格も硬派なので、女性の教師や女生徒達の密かな憧れである。

ただ厳しいため、陰では《氷の帝王》と呼ばれている。

3-Aのクラスを受け持つ、千影の担任。


千影はそんな巳月の姿を見てにやりと笑い、くわえていた煙草を手に取った。

「おはよー、久世センセ。」

「っ…お、おお…ちか…早瀬。が、学校来てたんだな…。」

明らかに動揺しどもっている巳月に近づき、千影は黙って散らばった物を拾い始めた。

その行動に千歳は思わず目を丸くする。

拾うどころか蹴り飛ばすのかと思っていたのだ。

巳月は、千影の行動に慌てて自分も一緒に拾い始めた。

「…なにキョドってんだよ?久世センセー。」

「なっ、別にそんなことはないっ。た、ただお前が珍しく学校に来てたからっ…。」

「ふうん?あ、そういえば次センセーの授業だよな?教室行くなら一緒に行こうぜ。」

「じゅ、授業受けるのか?」

「ああ。…おれ、数学大好きだから。」

意味ありげに千影が笑うと、巳月の顔にサァッと朱が昇った。

千歳は二人のやり取りに首を傾げる。

二人は拾い終わり立ち上がる。千影は自分が拾った分を巳月に差し出した。

「はいよ。」

「す、すまない。…じ、じゃあ、行くか。」

「ああ、そうだな。…あ、千歳。」

「へ?」

思わず唖然としていた千歳に声をかける千影。

「そういやお前、背中…、」

「背中?」

「…いや、やっぱなんでもない。じゃあな、千歳。」

「あ、ああ。」

千影は言いかけてにこりと笑うと、携帯灰皿で煙草を消してどぎまぎする巳月についていった。

「…あいつ…そんなに数学好きだったっけ…?」

(久世も妙に動揺してたし…。)

「…ま、いいか。帰ろ。」

千影達と反対方向に進みだした。

千歳は味のなくなりかけたガムを噛み続けながら、携帯を取り出そうとポケットに手を入れる。

「………あれ?」

(……ない。)

サアッと青ざめる。千歳は他のポケットや体をパンパンと叩いて確認していくが、携帯の姿はない。

「うっそ…まさか落とした…!?」

「あ、あの、早瀬さん…。」

「あァ!?」

「ヒッ…!!」

思わず殺気立ってその声の方に振り向くと、ビクビクと震え怯えきった一人の男子生徒が立っていた。

「あ…悪い。なんか用か?」

怒鳴ってしまった事を謝り、なるべく優しく問いかける。

「あっ、あのっ…せ、背中になにか貼ってありますよ…?」

「…背中?」

「じ、じゃあ僕はこれでっ…し、失礼しましたぁぁぁぁ!!!」

男子生徒は青ざめながら一目散に走って逃げていった。

千歳はすぐ近くのトイレに駆け込み、鏡に背を向ける。

「…んなっ…!?」


『携帯返してほしけりゃ授業に出なさいヒョウ柄パンツ娘。by柊』


「あっ、あの野郎いつの間にっ…!?」

千歳は悔しさのあまり顔が赤くなってくる。

「ふっ、ふざけんなぁぁぁぁ!!!」


授業中の女子トイレに、なぜかガラスが割れる音が聞こえたという。




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