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夜に輝く星は、あまねく全てを照らすでしょう

「光すら届かぬ暗い底 零れ落ちた流れ星 どれだけ雨が降ろうとも その輝きが全てを照らすでしょう」


 あなたがこの言葉に触れる今、どんな夜を過ごしているだろうか。静かな雨音の中かもしれないし、ただ何もない真っ暗な部屋かもしれない。世界には輝くような朝と、陽の光すら呑み込んでしまう夜が交互に訪れる。これは人が生きる世界の理で、人はその在り方に強く影響を受ける。あなたは経験したことがあるだろうか。喜びや期待で胸を膨らませた時に感じた、世界の美しさを。見るもの全てが明るく輝き、頬を撫でる風は清々しい。世界の全てが自分を受け入れているような感覚。だが、同時にあなたは経験したかもしれない。天上に輝いていたはずの太陽がかげり、冷たい風が身体を震わせたことを。人生という長い旅路の中では太陽が隠れてしまうこともある。輝いていたはずの光が、見えなくなってしまうこともある。


 その時はどうか落ち着いて欲しい。まるで世界にあなたが一人だけになってしまったかのように感じることもあるだろう。冷たい風が吹き付け、暗闇があなたを怖がらせてしまうかもしれない。だが、心配することはない。あなたは暗闇の中で輝く星を持っている。あなたの内に、誰にも奪えない火種がある。その小さな灯りが、やがて闇を優しく照らしていく。


 暗闇の中、手探りのまま進もうとするあなたの前に、風のように現れては消える、数多の困難が立ちふさがることがある。不安や焦り、渇望や悲哀、その全てが音を立ててあなたを責め立てるかもしれない。無理解と理不尽があなたを圧倒することもあるだろう。


その時は、そっと目を閉じて、胸に手を当て、深呼吸をして欲しい。あなたはあなたで、暗闇と同じものではない。暗闇はあなたという星に手を伸ばそうとする。だが、あなたの中にある光を奪うことはできない。なぜなら、その熱は、あなた自身の心の奥で静かに燃え続けているものだからだ。たとえ見えなくても、それは確かに、あなたが灯したもの。暗闇はあなたの輝きを見えなくすることができるかもしれないが、完全に消すことはできない。星は夜の深さに磨かれ、最も暗い空の中でこそ、その輝きを増す。


 明かりと暗闇の狭間で歩くあなたに敬意を。暗闇があなたの光を隠してしまったら、そっと胸に手を当て、光を感じ取って欲しい。あなたの星は、あなたの内側で確かに輝いている。あなたの星が、いつか闇を照らすだろう。どうかその時まで、健やかな旅を。

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