矛盾とは混沌と変化の発火点
「人が発する矛盾 感情の変化か 前提の変化か それとも理解の不足か 人が持つ本質 矛盾の中にこそ 含まれり 矛盾とは 人を理解する最初の扉である」
私たちは生きるなかで一貫した在り方を学ぶ。それは不安定で不確実なこの社会において、人と人を結び付け、物事を達成するうえで必要となる重要な資産でもある。一貫性とは自分に対する約束であり、他者に対する保障。一貫性という資質は人に本来備わっているものではなく、厳しい鍛錬によって築かれる。だからこそ、人は矛盾を抱える生き物でもある。
あなたはこのような経験をしたことはないだろうか。得意な科目があった。その科目では合格点を下回ったことはなく、その科目に対してだけは絶対の自信をもっていた。しかし、ある日、様々な状況や不運が重なり生まれて初めてその科目で不合格を受け取った。その瞬間、生まれてから積み上げてきた一貫性が音を立てて崩れ去った。残ったのは、一貫した自分というものを維持できなくなった矛盾した自分。人はその在り様に葛藤を抱く。
葛藤の大きさとは生じた心の声の大きさでもある。心の声が大きければ大きいほど、それはあなたが持つ本質的な欲求に近い。ここで間違えてほしくないことは、あなたが持つ葛藤そのものを悪いものとして扱って欲しくはないということ。それがどのような感情であれ、あなたが抱いた大切な熱だ。その熱はあなたが今この瞬間を生きている証であり、自分を知る鍵でもある。
重要なことは熱を熱のまま放置したり、暴発させず、それをあなたが分かる言葉にすること。何が嫌で、何を受け入れられず、どうなることを望み、何が欲しいのか。それをひとつ一つあなたの言葉でノートにメモをする。矛盾とは分からないことで発生するものだ。全てが明らかになったのであれば、矛盾は矛盾足りえない。それはただあなたの行動によって解決することが出来る問題になる。
あなたが想う通り、これは言うほど簡単なことではない。あなたが抱く激情も、ドロドロとした熱も、全てを冷やしてしまうような敵意や諦念も、本物だ。その感情には嘘が混じっていない。心の奥底からこぼれたもの。それはこの世界に確かに生きているあなた自身に他ならない。
これは私が生きるなかで行ったひとつの方法。絶対的な解決策とは口が裂けても言えない。言葉にすら出来ない悩みも、弱音を吐くことが出来ないほどの立場や責任、状況もある。だから、こういう考えがあるのだと、世界を生きる一人の人間が得た知見としてここに置いていく。
一貫性と矛盾を胸に抱えこの世界を懸命に生きるあなたに敬意を。あなたが抱く感情も葛藤もその全てが本物だ。どうかその色があなたを温める灯火となりますように。今日もあなたという火が世界に確かに灯っている。




