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無理解の荒野に花を灯す

「すれ違う価値観 生じる疑心 揺れる天秤と誰かの涙 荒野に咲いた一輪の花 その小さなきらめきが、世界の色をわずかに変えるでしょう」


 人はそれぞれ違う価値観を持ってこの世界に生きている。食べ物の好き嫌い、人との関係の築き方、仕事に対するスタンス、善悪に対する捉え方。その全てが、人によって異なっている。あなたはこのような経験をしたことはないだろうか。ニュースを何気なく眺めていた時、あまりにも酷い事件が流れてきて、思わず目をみはった。内容を確認し、なぜこんなことが起こるのかと、天を仰いだ。もし、こんな状況に出会ったときは、目を閉じてゆっくりと深呼吸をしよう。衝撃的な出来事というものは、私たちの価値基準を揺さぶってしまう。沸騰した心は、私たちの目を濁らせる。そのような状況で、まともに判断をすることは難しい。運動をしたり、好きなものを見る。何でもいい。大切なことは、気持ちを落ち着けること。気持ちが落ち着けば、見える範囲や取れる手段、得る学びも格段に多くなる。


 生きるということは、価値観をすり合わせていくということ。あなたは生きるなかで、様々な価値観を持った人たちと出会うことになる。価値観とは、言い換えれば、一人の人間が持つ世界。人は、自覚にかかわらず、誰もが自分のなかに世界を持っている。イメージして欲しいのはシャボン玉だ。世界という空間の中に、大小様々なシャボン玉が浮いている。この中にある一つのシャボン玉が、あなたが持つ世界だとしよう。シャボン玉は時に、他のシャボン玉と接触する。これが、あなたが経験する、価値観の交流の正体だ。


 シャボン玉同士が接触した時、お互いの様々な情報が、シャボン玉の膜を通してやり取りされる。ここで注意して欲しいことは、シャボン玉の膜の厚みは、人によって異なるということ。紙一枚分の厚みで情報を通す人もいれば、数十メートルの鋼鉄の膜を通して、情報を受け取る人もいる。これはつまり、お互いの間で発生する価値観への影響は、あなたとその人で、全く違うものになるということ。誤解しないでほしいことは、世界を覆う膜の厚みに優劣はない。ただ、この世界で果たしている役割が違うだけだ。あなたの心の膜も、相手の心の膜も、この世界にとっては等しく大切で、価値あるもの。どうか、あなたが持つその心を、大切にしてあげて欲しい。あなたの心は、この世界に咲いた一輪の花だ。それは、数え切れないほどのシャボン玉が浮くこの世界でも、決して色あせることはない。


 無数のシャボン玉がゆらめくこの世界で、懸命に生きるあなたに敬意を。あなたが出会う様々な世界は、それがどのようなものであれ、あなたに確かな強さを与える。どうかその強さが、あなたの世界を優しく色づけてくれますように。今日もあなたという花が、世界を確かに色づけている。

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