朝日を眺めて一日を始める
「手に持ったコーヒー 重いまぶた 静かにくびを振り カーテンを開ける 差し込む朝日は 一日の始まりの証だ」
現在という時代は、容易く時間の感覚を失ってしまう。太陽の光が届かない夜でも、無数の照明器具が輝き、時間を問わずインターネットで人と繋がることができる。あなたはこのような経験をしたことはないだろうか。調べ物をしていたらつい楽しくなってしまい、気がついたら朝になっていた。締め切り間近の提出物が完成しておらず、コーヒーを片手に徹夜で仕上げた。これは、体力と精神力がある人ほど出来てしまう。もし、あなたがそうなのであれば、それは本当にすごいことだ。体力と精神力を高い水準で保つには、並々ならぬ研鑽が必要だ。意識的であれ、無意識であれ、それはあなたの努力が作り出したもの。私はその努力を心から尊く思う。
だが同時に、注意する必要がある。夜通し活動すると、気づかないうちに体力と精神力が削られていく。イメージして欲しいのは、精神力という燃える炎の上に、体力という四角い氷があぶられている状態だ。精神力という炎は、コーヒーを飲んだり、精神に刺激を与えることで勢いを強めることができる。徹夜中におかしなテンションになった場合は、炎が勢い良く燃えさかっている状態と捉えてほしい。炎の勢いが強くなればなるほど、氷のとける速度は上がっていく。これは、非常に危険な状態だ。
体力という氷は二つのエネルギーから作られている。表面を覆うのが『体力エネルギー』、そして中心に位置するのが『生命エネルギー』だ。氷の外側を形成する体力エネルギーは、日常的に消費することを目的に作られている。これは、いくら溶けても、もう一つの生命エネルギーがある限り、眠っている間にじわじわと補給される。通常は、この体力エネルギーしか消費されない。なぜなら、体力エネルギーが尽きた時点で、人は疲れて眠ってしまうからだ。
だが、例外が存在する。それが、睡眠不足と興奮状態。この二つの状態のとき、普段は使われないはずの生命エネルギーが消費されてしまう。生命エネルギーとは、人が生きるために必要な超重要なもの。体力エネルギーを作り出す氷の核であり、ここまで炎が到達すると、冗談抜きで命にかかわる。睡眠不足によって、体力エネルギーの氷の層が薄くなる。そこに興奮の熱が注がれると、炎は勢いを増し──氷の奥、命の核へと迫ってくる。静かに燃え盛る炎は気がつかないうちに、あなたの生命をとかしてしまうかもしれない。
もし、あなたがあまり睡眠をとれていないのであれば、無理をせず夜にゆっくりと眠って欲しい。責任や役割、職務や状態によっては十分な睡眠がとれないこともある。その時は十分でも良いので、時間を小分けにして、たくさん睡眠時間を確保して欲しい。大切なことは『眠る』という行為を意識して、生活に取り入れるということ。そうすればあなたは、より長く、明るく輝くことができる。
常に太陽が輝くこの世界で、懸命に生きるあなたに敬意を。睡眠とは、あなたをより長く、明るく輝かせるために必要なものだ。あなたが世界にいる、それだけで変わる未来はある。どうか、あなたという火が、一日でも長く世界に灯り続けますように。今日もあなたという火が、世界を確かに照らしている。




