広がりよ、無数の未来へ導いて
「無限の広がりを持つこの世界 縮小する心 狭まる視野 それでも、人はまた世界を知るでしょう」
この世界は果てしないほどの広がりを持っている。広大な街並み。尽きることのない学問。新しく生まれ続けるビジネス──そのすべてが、世界の広さを証明している。あなたも、このような経験をしたことはないだろうか。高い建物から景色を眺めたとき、目の前に広がったあまりの世界の広さに、はっと息をのんだ。出会う人全てが異なる価値観を持ち、違う人生を歩んでいる。ただその事実に、圧倒された。読んでも、見ても尽きることがない芸術作品の多さと、その奥行きに胸をうたれた。これらは全て、私たちが生きるこの世界の広さから生まれたものだ。そして、今も世界は広がり続けている。
だが、あなたは同時にこのような経験をしたかもしれない。目の前を飛び交う記事やメッセージに含まれる、あまりにも多くの情報量とその感情に、思わず目がくらんでしまった。自分とは異なる価値観を持った人たちと交流するうちに、自分という存在がどのような価値観を持っていたのかを忘れてしまった。そんな時は目を閉じて、ゆっくりと深呼吸をして欲しい。そうすることで、少し心が静かになる。
ではなぜこのようなことが起こるのか。それは世界が拡大するスピードに、人の心が追いつけていないからだ。もしあなたが、そのことで悩んでいたら落ち着いて欲しい。あなたは世界に置いていかれたわけではない。人にはそれぞれ歩く速度がある。走る人もいれば、早歩きの人もいて、ゆっくりと歩く人もいる。その速度は常に一定ではない。たとえ、歩く速度が落ちたり、立ち止まったりしても、それは、あなたが新たな視点で世界を見る機会を得たということ。新たな世界を見るには、時に速度を落とす必要もある。
人は走る速度によって、見えている世界がそれぞれ異なる。あなたは自転車や車に乗ったことはあるだろうか。止まっている時は、自分やその周囲をゆっくりと観察することができる。歩くと、止まっていた時より、じっくりと観察することはできないが、見える景色は広がる。自転車に乗ると、更に速度が上がって遠くまで行けるようになるが、乗っている間は前と斜めしか見えない。車に乗るとほとんどの場所に行けるようになる。だが、風景は一瞬で過ぎ去り、じっくりと何かを見ることが難しくなる。これは、どれが良くて、どれが悪いかという話ではない。この全ての速度が、あなたの人生を、あなたの世界を広げてくれる。不安になってもいいし、心配してもいい。でも、そんな自分をそっと抱きしめてあげてほしい。
この無限に広がる広大な世界で、懸命に生きるあなたに敬意を。あなたの歩いているその速度は、あなたが真剣にこの世界を生きている証だ。例え心が弱っても、見える範囲が変わってしまったとしても、あなたの輝きは変わっていない。あなたの生きる世界は狭まっていない。あなたの歩みは、この世界を確かに広げる一歩となる。──そして、あなた自身という、かけがえのない光が、この世界を広げる灯火となる。




