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真なる美しさは、陽だまりのように人を包むでしょう

「揺れ動く美の在り方 誰かの涙が零れる 内に流れる真なる美は、そっと涙をぬぐうでしょう」


 人が生きるこの世界では、大勢の人たちが日夜美の在り方について議論を行っている。あなたは経験したことがあるだろうか。雑誌で目にしたモデルに目を奪われ、これこそが真なる美だと確信する。だが、時間が経つにつれて、正反対の特徴を持つ人物に美しさを感じてしまった。そんな時、自分の美とはいったい何なのかと考え込んでしまうかもしれない。その反応はとても純粋で尊いものだ。悩むということは、真剣にその問いと向かい合っているということ。恥じたり否定的に考える必要はない。


 人は関わりの中で美を学んでいく。その行いはとても美しいものだ。だが、社会によって形作られる美の基準は、酷く不安定なものであると押さえておいて欲しい。国や時代が違えば、美の基準は変わる。この日本でも平安時代の美と現代の美では大きな違いがある。インターネットが登場した今では、更に早く美のトレンドは移り変わっていく。


覚えておいて欲しいことは、他者評価における美という基準は人の数だけ存在するということ。そこに絶対の基準はない。もしあなたが、他者から見た自分の美について悩んでいるのであれば、どうか落ち着いて欲しい。あなたの抱えるその理由はとても切実なものだ。涙が零れたとしても、そっと自分を受け入れてあげて欲しい。誰かの視点で考えるということ。それは、誰にでも出来ることではない。あなたがそれを自然に行えるのは、きっと、あなたの中に――他者を受け入れる優しさがあるからだ。その優しさは、暗い夜空に灯る星のように、この世界にとっての灯りになる。


 世界は多様な美を求めている。私たちが生きるこの世界は、過去に生きた、今に生きる人たちの美を持ち寄って作ったものだ。その美には、当然あなたも含まれる。あなたが持つ唯一無二の美しさを世界は渇望している。


自論ではあるが、美とは人の本質に宿った輝きのことを指すのだと思う。喜びや悲しみ、愛情や恐怖、あなたが経験してきた全ての感情が、あなたという美を作る。美とは外見だけを指すのではない。あなたの内面も、あなたの美に影響を与える。深呼吸をして、そっと目を閉じてみよう。あなたの心の中に、あなただけが持つ美の形が必ずある。見えなくてもどうか落ち着いて欲しい。大切なことは、自分の心が何を美しいと思うのかを見逃さないこと。ひとつ一つはほんの小さなささやきでも、集めれば揺るぎない柱となる。あなたがその柱を手にした時、揺るぎない美があなたの涙をそっと拭うだろう。その時は、必ず来る。


 揺れ動く美という在り方の中で、懸命に生きるあなたに敬意を。あなたの心には、揺るぎない美の原型が既に根付いている。どうかその輝きを、あなたが見つけてあげられますように。冬の寒さがまだ残る朝、窓辺に差し込むやわらかな光のように。あなたが持つ美の形は、春の陽だまりのように誰かの心を包む灯火となる。

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