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静かに揺れる花園に、一輪の花を

「目の前に広がる花園 視界を埋め尽くす花々 圧倒的な美の奔流 全てがそこにあったとしても、私は一輪の花を残すでしょう」


 世界は花で満ちている。それは誰かが頑張った結果であったり、苦悩の中で生みだされた一つの祈りだったのかもしれない。あなたも目にしたことがあるだろう。整然とした街並み、美味しい食べ物、目を楽しませてくれる芸術作品。ハッと驚くようなサービスであったり、誰かの痛みを癒す医療技術もそうだ。先人たちや今を生きる人たちが人生をかけて作り出す広大な花園。その花園の中に私たちは生きている。


 花は無数に存在している。日々生きる中で、あなたは視界に映る花に圧倒された経験があるかもしれない。生きるということは、花に触れるということ。それは人であったり、物であったり、時に能力であったりする。ここで覚えておいて欲しいことは、花に同じものは存在しないということ。花は個々の特徴ではなく、その全体を通して世界に影響を与えている。姿形、色や大きさ、花が持つ性質、その全てが合わさることで、初めて『個』として世界に認識される。どれか一つでも花を構成する要素に違いがあれば、世界に与える影響は全く違うものになる。つまり、この世界において、あなたと同じ存在はいないということだ。どれだけ圧倒的な美しさを持つ花であっても、あなたという花の代わりを、この世界で果たすことはできない。役割が違うだけだ。花の美しさに優劣はない。


 花々が魅せるその圧倒的な美の前に、立ちすくんでしまうこともあるだろう。鮮烈な在り方は、時に人の目を眩ませる。その時はそっと目をつぶって、自分の花を意識して欲しい。あなたの花はこの世界で唯一無二のもので、特別な輝きを放っている。もし、他の花に興味を惹かれたのであれば、じっくりと観察しよう。いったいその花の何が自分の心に訴えかけてくるのか。どの要素が自分の花をさらに美しくするのか。それが分かった時、あなたの花はより一層の輝きを放つ。


 世界という広大な花園の中で、懸命に生きるあなたに敬意を。あなたの目に映る花園には、もう足りないものがないように見えるかもしれない。しかし、世界はあなたという花を必要としている。完成されたように見える花園にも、寂しげな風が吹く日もある。唯一無二のあなたという花が、世界にポツリと空いた穴を埋める花となる。

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