第四話 初級校入学
今日は学校の入学日だ。
6歳から12歳まで通える、基礎知識を学べる学校を【初級校】
12歳から剣術または、魔術のどちらかを専門で学べる学校を【中級校】
12歳からどちらも才能のある者が通える魔剣士学校を【上級校】と呼ぶのがこの世界の一般名称だ。
そして僕は初級校に入学する訳なんだけど…
────火の国村立フレッグ初級校
界路「……」
本で見ていた学校と違う。本ではもっと大きくて綺麗で色々な建物があり、町のような賑やかさがあった。
ママ「どうしたの界路?」
界路「本で見たのと違う。」
ママ「んー、たぶん界路がみたのは中級校や上級校だと思うよ。初級校はたくさんあって、こんな田舎の初級校はこじんまりしてるのが一般的なの。」
界路が住んでいる村は田舎で、ここの初級校は小規模だ。1学年15〜20人ほどしかいない。入学式は行われず、直接教室に向かうようだ。
思い描いていた学校の姿とは違っていて、界路は少し落胆した。
しかし、それでも新たな発見や出会いに胸を躍らせて界路は校門の中へ足を踏み出した。
校舎の中に入って界路がこれから学ぶ1年生の教室に向かった。
ママ「ママが一緒にいられるのはここまでだから後は頑張ってね。応援してるわよ!」
と言ってママは帰って行った。
界路「……」
周りにはざっと15人くらいだろう。界路と同い年くらいの子供たちがいる。
席について少し時間が経った後に、教室に誰か入ってきた。
ガラッ
「みんなおはよう!今日からみんなに勉強を教える安土牧兎だよ。」
急に入ってきた先生が自己紹介をして、1人ずつ自己紹介をする様に言われた。
先生の印象は男だけど中性的な見た目で優しそうな印象だった。
みんなひと通り自己紹介を終えた後、先生は「今からは自由時間です。隣の人や周りの人とお話ししよう!」と言って、お話をする時間を始めた。
界路「……」
僕は学校に入学して早くも新たな発見をしていた。
それは、どうやら僕は人見知りみたいだ。
誰とも話せないでいると、隣の女の子が僕に話しかけてきた。
女の子「ねぇ、きみ界路くんでしょ?
よろしくね。私の名前おぼえてる?」
界路は自己紹介できいた名前を覚えていなかった。
界路「えっと…。」
「あんこちゃんだよ。」それは界路の耳元で小さく呟く安土先生の声だった。
界路「あんこちゃん!」
そう、彼女の名前は桐谷杏子だ。
杏子「そうだよ!良かった、覚えてないかと思っちゃった。よろしくね界路くん。」
それは、初めて界路にお友達ができた瞬間だった。
そんなこんなでお話の時間は終わり早くも安土先生が授業を始めた。
この世界には【三大国家】を中心に、小規模・中規模国家が点在し、【第六天魔王】と呼ばれる六体の魔王が存在している。その他にも様々な勢力が複雑に絡み合っているようだ。
僕にはこれらのことがあまり理解できなかったが、魔法の勉強や剣術の学習とともに、これらの事を6年間で学ぶらしい。
界路は魔法を学べる事にワクワクしつつも、その情報量の多さに少し不安な気持ちになっていた。
そして午前の授業が終わり、待ちに待ったお昼の時間がやってきた。
安土先生が食堂までみんなを案内して、ここでご飯を食べる事を教えてもらった。
僕は食堂のおばちゃんからご飯が乗ったトレーを受け取り、空いている席に着いた。
杏子「となり座ってもいい?」
界路(あんこちゃんだ!!)
界路「う、うん。いいよ」
杏子「授業難しかったね。界路くんは理解できた?」
界路「うーん。ちょっと難しかったけど何となくは理解できたよ。」
本当は全く理解できなかったけど、僕はすこしカッコつけてしまった。
杏子「界路くんは頭良いんだね!すごいなー。」
界路は少し罪悪感を感じつつも杏子ちゃんに褒められて少し照れていた。
界路「杏子ちゃんは魔法つかえる?」
杏子「炎の魔法なら少しつかえるよ!見てて。」
ブワッ
界路「…!!」
杏子ちゃんの手のひらから、とても小さな炎が出てきた。
界路「す、すごい!!もしかして、杏子ちゃんって炎の支配者なの!?」
杏子「あはは。大袈裟だな界路くんは。これくらいならそんな難しい事でもないし、界路くんも学べばすぐにできるようになるよ。」
界路は自分が変な嘘をついてカッコつけたことに恥ずかしさを感じつつも、自分も学べば手から炎を出す事ができる可能性がある事に胸が高なった。
そしてお昼の時間が終わり教室に戻ると先生がみんなに帰る支度をする様に伝えた。
(あれ?午後の授業はないのかな?)と界路が思っていると、クラスの人が
「午後の授業はないの?」と先生に聞いていた。
安土先生「今日はみんな初めての学校だったからね。本格的に授業を始めるのは明日からだよ!」
と先生が伝えた。それを聞いて僕は帰る準備をして迎えにきたママと一緒に家に帰っていた。
ママ「はじめての学校はどうだった?お友達はできた?」
界路「うん!杏子ちゃんって子がいてね、手から炎がだせるんだよ!!」
そんな楽しそうに界路が話す姿をみてママは安心しながら2人で家に帰って行った。