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第二話 6歳の誕生日

今日は特別な日、僕が6歳の誕生日を迎えるからだ!


朝、目覚めるとママの姿が見当たらない。僕の誕生日なのに、どこに行ったのだろう?


パパ「お!起きたか界路。今日は早起きだな」


界路「ママは?」


パパ「ママなら買い出しに行ったぞ!今日は界路の誕生日だからな。きっと豪華な食事になるぞ〜。」


「おっと、そうだ。界路が起きたら夕飯まで遊びに行くか、稽古を頼まれたんだったな。

起きて早々すまないが、出掛ける準備をしろ!」


おそらく、ママはサプライズのために豪華な食事を用意しようとしているのだろう。


子供ながらに、パパはきっとバカなんだなと思った⋯


そして準備を終え、僕はパパと外に出掛けた。


パパ「夕飯までお前を稽古しようと思っていたが、今日は誕生日だしな。昼までは好きなことをしていいぞ!」


界路「昼からは何するの?」


パパ「もちろん稽古だ!」


僕の悪い予感は的中した。でも昼までは僕のやりたいことができる!!


界路「町に行きたい!!!!」


パパ「お!いいぞ界路。それじゃあ、町へ行くか!」


町に出掛けたい本当の理由は、少しでも遠くへ行って稽古の時間を減らすのが目的だ。


パパ「ん?どうした界路?顔がニヤけてるぞ。気味の悪いやつだな」


界路「ま、町に行くのが楽しみなんだよ!!」


パパ「そうか。まぁそうだよな!町には魅力的なものが沢山あるからな!町に着いたら何をしたい界路?」


界路「おもちゃ屋さんに行きたい!」


そんな話をしながら、僕たちは馬車に乗り込み町へと向かった。


町の名前は【バーニア】だ。


僕が住んでいる村【フレッグ】から馬車で30分ほどの距離にある。


界路「楽しみだねパパ!」


パパと話しながら、馬車の外からみえる景色を眺めていると、30分はあっという間だった⋯


僕たちは【バーニア】に到着した。


町は、僕が住んでいる場所よりも賑やかで、どこを見ても楽しそうな光景が広がっていた。


界路「すごいね、パパ。僕の住んでる場所と全然違う!」


パパ「ははは。そうだろうな!界路が住んでいる場所は田舎だからな。

おもちゃ屋さんに行きたいんだよな?」


界路「うん!!」


迷子にならないように、パパは僕の手を引いておもちゃ屋さんに向かっていった。


おもちゃ屋さんには魅力的な物が沢山あった。


その中に、氷の女神を象った人形が僕の目に止まった。


界路(うわぁ…すごく綺麗な女の人だ。)


パパ「お前こんなのが欲しいのか?男なら剣のおもちゃとか龍の人形の方が良いんじゃないか?」


界路「ううん、僕これがいい!」


そう言って僕はその人形に手を伸ばした。


界路「あっ」

女の子「あっ」


僕と同時にその人形に手を伸ばしたのは

白い髪が混じった、僕と同い年くらいの可愛い女の子だった。


女の子「ごめんなさい…」


界路「い、いや、いいよ…ちょっとこの人形が気になっただけで僕が欲しいのは龍の人形だから!!」


そう言って、パパの手を引いて龍の人形を手に取り、店主の元へ向かった。


女の子「あ、ありがとう!」


僕は少し照れながら、パパと一緒にお店を出た。


パパ(界路ももうそんな年か…)


パパ「さっきの子、可愛かったな。」

パパが小さな声で僕にそう告げた


界路「そ、そうだった?僕は普通の女の子に見えたけど。そんなこと言ってたらママに怒られるよ!」


パパ「ははは。そうだな界路。今のはママには内緒だぞ?

よし、じゃあ少し町を散歩して次は稽古だ!」


界路「…はーい。」


そして町を出て稽古を終えた僕たちは、家に帰ってきた。


ママ「お誕生日おめでとう界路!食事の準備できてるから早く席について!」


いつもよりご機嫌なママと、とても美味しそうな匂いが漂う食卓へ、僕は急いで向かった。


界路「す、すごい…」

思わずそう呟いた


パパ「ママ、料理上手いだろ?なんと言っても、パパのママだからな!」


ママ「そんな事はいいから早く食べてみて!界路が好きな物たくさん作ったんだから。」


少し嬉しそうなママが僕にそう言った。


界路「いただきます!!」


おいしい!!すごく美味しい。


6歳の誕生日とはそんな特別なものなのかな。


いつもの誕生日よりも豪華な食事に浮かれているなか、ママが僕にプレゼントを渡してきた。


界路「わぁ…すごく綺麗。」


それはとても綺麗な首飾りだった、そしていつもママが付けていた首飾りだ。


ママ「それはね、界路が生まれた時におばあちゃんからお守りとして貰った【時の歯車】という首飾りなの。」


界路「そんな大事なもの、もらっていいの!?」


ママ「いいのよ。界路が大きくなったらお守りとして渡すように言われてたの。界路はママにとって、一番大切な存在だから、早めに渡しとかないとね。」


パパ「良かったな!界路。パパが一番じゃなくて残念だけど、お前ならいいぞ!」


ママ「何言ってるの。パパも、界路と同じくらい凄く大切なのよ。界路もパパも、一番大切なママの家族だからね。」


そんなことを言われて少し照れているパパと、パパと同じ事に少し悔しかった僕がいたけど

綺麗な首飾りとママの愛情を貰った僕は、とても幸せな1日になった。






挿絵(By みてみん)

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