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多重世界の旅人  作者: りゅう
創造者の世界編
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91 創造者の痕跡

 俺はマクガイからガニメデストーンを受け取り、早速『創造者の世界』へ持って行くことにした。


「で、なんでお前らまで付いて来るんだよ」

「だって、リュウチームだし」とメリス。

「そうよリュウチームよ」とユリ。

「のじゃ」だから省略し過ぎだって。


「あのなぁ、危険なミッションなんだから俺だけでいいんだよ」

「そんなのダメよ」

「そうよダメよ」

「だめだめなのじゃ」

「なんでだよ」

「帰ってこなかったら困るじゃないの!」とメリス。


「だから、白球が大丈夫だって言ってただろ」


 俺たちは白球にシステムの状況を聞いた。もう使えない状態なら困るからな。白球の回答は、エネルギー不足は白球を消すことで対応しているらしい。なるほど、それで白球が消えてたんだ。やっぱり、俺たちが無限回廊ステーションを作ったりしたんで過負荷になったのか? このくらい誤差だよな? 触媒渡すからチャラにしてほしい。


「だったら、私たちがいてもいいじゃない」

「あ~、でも白球を減らしてるくらいだからリスクが高いのは確かだ」


 実際、今日も白球が減っていた。


「どっちなのよ」

「俺にも分からん」

「つべこべ言ってないで、とっとと行くわよ!」とメリス。漢だな。

「うん、行こう!」

「わらわも、行くのじゃっ」なんて奴らだ。


 こうして俺たちは、白球が要求したエネルギーモジュールの触媒を持って『創造者の世界』へ旅立つのだった。


「世界を救う要が、露天風呂の敷石ってのが微妙」とユリ。

「動けばいいんだよ動けば!」


 ま、単なる素材だからな。敷石にしたのは俺だし。別にガニメデストーンは悪くない。


 俺たちは、『創造者の白球』から『創造者の世界』へと飛び、さらに創造者の街の上空へと転移した。


  *  *  *


 そこは、広大な廃墟だった。

 地球に似てると言えば似てるが、全然違うと言えば全然違う。そもそも重力が地球の9割しかない。お陰で軽々と飛ぶことが出来るのだが、これでは地球というより金星だ。俺たちの世界とこの世界の違いは地球誕生の頃から始まっていると言うのだろうか?


 空気は無限回廊の成分とも違っていたが呼吸できないわけではなかった。

 長い年月で空気の組成が変わったのだろう。海は地球の半分くらいだろうか。深さを測った訳ではないので水の総量ははっきりしないが、かなり少ないと思う。そのせいか植生が大きく違うようだ。ここは岩ばかりの土地が続いていて空気も乾燥しているようだ。

 地球なら、ここを都市にはしないだろうが都市化した後で砂漠化したのかも知れない。


 俺たちはもちろん飛翔モードではなくスペースモードで飛んでいる。病原菌の危険性はあるからな。飛びながら上空から目的地を探しているが、目印があまり無いので苦労する。


「荒野と言うより砂漠といった感じね」とメリスが辺りを見渡しながら言った。


 街は、元はビルや住宅だったのかも知れないが、瓦礫の山が延々と続いているだけだった。


「そうだな」

「まさに、廃墟を絵に描いたようなところね」とユリ。

「廃墟と言うより、こりゃ遺跡かな」


 俺は、白球が示した地図をスクリーンに投影して改めて見比べた。同じ遺跡でも植物に覆われて無くて良かったかもしれない。上空からだと微かに街並みが見て取れる。植物に覆われていたら、全く見分けがつかなかっただろう。


「この地図。アップデートしてないな」白球が保持していたそれは、遺跡になる前の地図だった。

 まぁ、白球は地上の管理者として君臨していたわけじゃないだろうから無理もない話だな。だが、これではたどり着けるかどうか怪しい。


「あの高台あたりじゃない?」メリスが指さして言った。


 荒地が続く中、そこに一段高くなっている場所があった。元は、大きな建物があったのだろうか?


「一体、どのくらい経ったら、こんなになるんだろうな」

「ホントよね」とメリス。

「あそこに階段がある」ユリが気が付いた。


「階段ってことは、ここはもともと高台だったのか」


 建物が崩れたわけじゃないようだ。石で作られた古風な階段だった。


「なんだか、神社のようじゃのぉ」とツウ姫。なるほど。


  *  *  *


 俺たちは長い階段の先の小さな広場に降り立った。

 そこには石の台座のようなものがあるだけだった。いつの間にか、古い遺跡の発掘調査に立ち会っているような気分だ。

 しかし、ここは俺たちよりもずっと進んだ世界だった筈だ。何が原因でこうなってしまったのか全く分からない。もしかして、世界Fのように隕石に襲われたんだろうか? だとすると、これだけの技術を持っていたのだ。他の世界に逃げ出せたに違いない。

 ただ、逃げ出せたとしても当時の文明を維持するのは難しいだろうなとは思う。人口や社会を維持出来ないなら文明は崩壊するからな。


「何これ」と石舞台のような岩を見てメリスが言った。

「さあな」

「ここに置くの?」とユリ。

「多分、ここだろう」そう言って俺は持ってきたガニメデストーンを、一畳ほどもある岩の台に置いた。


「何も起こらないね」しばらく見ていたがメリスが言った。それでも、俺たちは、そのまま様子を伺っていたが変化はなかった。

「そのままだね」とユリ。

「まぁ、ただの岩だしな」俺は、転移させるのかと思っていたがそうではないらしい。


 さらに待っていると空から何かが下りて来た。プロペラは無いがドローンのような物体だ。そしてガニメデストーンに覆いかぶさると掴んで飛び上がった。


「そう来たか」

「ここにエネルギーモジュールがあるわけじゃないのね」とメリス。

「追いかける?」とユリが俺を見て言った。

「いや、いいだろ。無理やり白球システムを見つけようとすると勘違いされる。うまくいったら、許可が出るだろうし」

「そうね」

「信頼関係が大事よね?」とメリス。

「うむ。越後屋ようやった」とツウ姫。って、俺が越後屋かよ。


 これで任務完了である。うまく行くのかどうかは分からないが、俺たちがここでやることは、これでなくなった。後は、帰って結果を待つだけだ。


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