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多重世界の旅人  作者: りゅう
創造者の世界編
90/128

90 ガニメデストーン

 ふざけて白球に呼びかけたら、応答が返って来た。


「なんで、みんな俺の冗談を本気にするかな。しかも、今度は白球だよ。管理プログラムだよ」と愚痴ってみる。

「そう言えば発声機能がどうのとか言ってたよねリュウ。それで、白球システムがリュウのために努力したんじゃないの?」とメリス。


 そうか。確かに、そんな話もしたかもしれない。いや、いくらなんでも、そんな訳あるか! 絶対関係無いだろ。


「そもそも、音声に反応していたのですから、こうなるのは時間の問題だったかも知れません」とルジン。おっしゃる通り。


 それはともかく、談話室は今や全員が俺の通信に注目していた。これは、呼びかけた俺が何か言うしかないだろう。見るとメリスも不安そうな顔だが頷いた。


「あ~っ、白球に質問だ。最近白球が消えているが何か問題があるのか? 俺が解決してやるから教えろ!」


 まぁ、ダメ元で言ってみた。


ー 回答します。現時点の問題は、エネルギーモジュールの触媒枯渇です。


「マジか」横で、コーヒーカップを持ったまま、ホワンがつぶやいた。

「凄いっ」とメリス。

「やった~っ!」とユリ。

「のじゃ」とツウ姫。

「ホントに、私たちでは出来ないことをやりますねリュウさん」とルジン。いや、今そんな突っ込みは要らないから。


「ホントかよ。白球よ。異常は無いって言ってなかったか?」


ー 回答します。このシステムに異常はありません。触媒が枯渇しているだけです。


「なるほど。システムとしては正常だが、エネルギー切れでシャットダウンしようとしていたってことか」

「聞き方が悪かったのね」とメリス。

「バッテリー切れだもんね」とユリ。

「おやつの時間かえ?」とツウ姫。そうかも。


「まぁ、そうなるとセーフモードみたいな特殊なモードにいるのかもな」

「そうね」

「確かに」

「使い過ぎたのじゃ」とツウ姫。


「「「あっ」」」


 いや、知らないし。


「まぁ、いい。じゃ、続けて白球に聞く。その触媒とはなんだ?」


ー 回答します。触媒はガニメデストーンと呼ばれる特殊な鉱石です。


「なんだそれ?」

「私も知らない」とメリス。

「なんでしょうね」とルジン。

「ガニメデって、あのガニメデだよな?」

「他に無いわよ」とメリス。

「ガニメデストーンなんて聞いたことないぞ」

「私も、衛星ガニメデの開発は聞いていますが、そういう鉱石のことは聞いてませんね」とルジン。ルジンが知らないなら誰も知らないよな?


「で、そのガニメデストーンがあったとして、いつまでなら白球システムを復活させられるんだ?」続けて俺は白球に話し掛けた。


ー 回答します。既に枯渇状態です。予測不能領域のため早急に補給願います。


「そりゃ、障害出てるくらいだもんね」とメリス。恐らく、システムとしては残量ゼロなんだろう。

「了解だ。なるべく早く用意しよう。あったら、白球に持って行けばいいか?」


ー 回答します。『創造者の世界』の指定の場所に置いてください。


「分かった。待ってろ」そう言って俺は白球との通信を切った。俺は、思いっきり変な汗をかいていた。


「とにかく、ガニメデストーンを探そう」俺は絞り出すように言った。


  *  *  *


 それから、俺たちは世界ゼロ、世界L、世界N、世界Gと、木星の衛星ガニメデを開発している世界全てに問い合わせた。白球には、ガニメデストーンの成分などの詳細を問い直して、間違いのないようにした。


「要するに、ガニメデ特有の構造と組成を持つ鉱物のようですね」ルジンが言った。

「ああ、単に元素や化合物があればいいって訳じゃないんだな。だが、物理生成機能で作れないのはなぜだろう?」俺は不思議に思った。


「わかりません。ただ、ガニメデでも普通に掘削しただけでは見付からないようです。触媒という話ですがキーを兼ねてるのかも知れません」


「うん? キーって何のキーだ?」

「白球システムを維持させるためのキーです」


「ああ、誰にでも使わせる訳ではないってことか?」

「はい。もしかすると試されているのかも知れません」

「それは、俺たちに彼らの遺産を継承する資格があるかとかいうことか?」

「そうですね」

「面倒な話だな。まぁ、そういうものを残す気持ちは分かるが」


 実際自分でも、同じことをするかも知れないと思った。管理できない者に大きな力を譲ることはしたくないだろう。無限回廊を使えば多重世界銀河を自由に出来る訳だからな。


「しかし、いったいガニメデの何処にあるんだよ!」


 時間ばかりが過ぎて、俺は焦り始めていた。こういうことは、もっと早く言って欲しいものだ。


  *  *  *


 しかし、俺の叫びは間違っていた。問題は「ガニメデの何処にあるか」ではなく、「何処のガニメデにあるか」だったのだ。


 焦る俺たちに思わぬ朗報が届いた。それは世界Gのガニメデからだった。


ー こちらマクガイ。リュウ、聞こえるか? 久しぶりだな!


 いきなりガニメデからの通信が入った。そういえば、世界Gは評議会の参加世界ではないが、多少は情報交換をしている。


「こちらリュウ! マクガイか。なんだ、どうした?」


ー いや、俺たちが発見したガニメデストーンが必要だと聞いてな!


 なんだって~っ?


「ほ、本当か? それは有り難い! マクガイたちが発見したのか! 凄いじゃないか!」


ー そうだろう? 俺たちも頑張ったのさ。わははははっ。


「ああ、そうだな! 俺も必死に探したんだが見つからなくて焦ってたんだ。良く見つけたな!」


ー そうか? 確かに普通なら見付からないかもな。なにしろ『ガニメデの盃』の敷石だったからな!


「なんだって~っ? 『ガニメデの盃』の敷石だと~?」


ー いや、めずらしい石だなぁって思って調べただけだけどな! 例のバクテリアの一種があの石を作るらしい。


 そういえば、珍しいバクテリアを見つけたっけ。あれがガニメデストーンを作るのか。


「まぁ、いい。分かった。じゃ、取りに行けば貰えるか?」


ー ああ、用意して待ってるよ


「そうか、よろしく頼む」俺は、そう言ってマクガイとの通信を切った。


「ガニメデストーン、あったんだな!」ホワンが勢い込んで言った。

「ああ。たぶんな」

「『ガニメデの盃』の敷石ってなんだ?」とホワン。


 いや、それ聞かれても、ちょっと困るんだが。


「あ~、露天風呂の敷石にした石だ」

「ガニメデで露天風呂? 意味が分からんっ」とホワン。


 面倒くさいから、その話は端折ることにした。


「とにかく行ってくる」

「リュウ、お前だけが動く必要ないぞ」とホワン。


 いや、説明するのが、凄く面倒なんだよ。


「そうだが、白球に俺が行くと言ったしな。訂正するのは面倒だ」

「それもそうだな。じゃ、すまんが頼む」

「分かった、任せろ」


 俺は、早速世界Gへと飛んだ。


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