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多重世界の旅人  作者: りゅう
創造者の世界編
87/128

87 白球に異常あり

 無限回廊調査隊本部の緊急放送を聞いて、観測球にいた俺たちは急ぎ中央作戦室に向かった。


「どうした、何があった!」俺は、中央作戦室に着くなり言った。


「おお、リュウ来たか!」と世界ゼロのホワンが指令席から振り向いて安堵するように言った。

「白球が消えたって?」

「そうだ。突然、白球U0002が消えた」とホワン。


「U0002というと確か世界Fの近くだったよな?」

「そうだ。あの白球だ」

「誰か使ってたのか?」

「いや、誰も使って無い。紫世界球の件で使う予定だったが解決して中止になった」


「そうか。誰もいなかったのか。それは良かった。しかし、白球は消えるものなんだな」

「そんなわけないでしょ! 今まで消えたことなんてないじゃない」と後から来たメリスが言った。

「ホントよ。透明化しても見えるんだから、消えるなんて変よ!」とユリ。


 白球は透明化することは出来るが、それはあくまで内部の人間にとって透明になるだけだ。外から見て透明になるわけではない。白球は外から見ると常に白球なのだ。


「もしかして、白球は外部からリモート操作で消せるのかな?」

「まさか!」とメリス。

「リモート操作って、からくりの一種かえ?」とツウ姫。ああ、自動化されたシーケンスだった可能性もあるか。


「おおツウ姫冴えてる!」

「そ、そうか?」

「何かの条件を満たして自動的に消えたのかも」

「タイマーとかで?」とメリス。

「トリガーになることが何かあったのかも」

「世界球の融合とか?」とユリ。

「それで、なんで白球が消えるのよ」とメリス。

「知らないわよ」とユリ。

「確かに、世界球がどうなっても、安全地帯としての白球が消える理由にはならないか」

「そうでしょ?」とメリス。


「問題はトリガーだな。俺たち以外の誰かが関与したとしたら問題だ。そうでないなら、さらに問題だ」と俺は言った。

「どゆこと?」とユリ。

「白球の消滅が誰かの仕業なら、それは俺たち以外の誰かが存在することになる。もちろん、俺たちより白球を良く知っている誰かだが」

「そうだな」とホワン。

「確かに、私たちに白球は消せないもんね」とメリス。

「うん。絶対無理」とユリ。


「俺としては、他の誰かを期待したい。もしかしたら、協力できるかも知れないからな」

「ああ。俺もだ」とホワン。

「そうね」とメリス。

「うん」とユリ。


「しかし、誰もいなかったとしたら白球の信頼性に問題があることになる。最悪、白球システム自体に問題が発生しているのかも知れない」

「ううむ。確かにそれは問題だな」とホワン。

「やばいじゃん!」とメリス。

「やばいね!」とユリ。

「責任者は誰じゃ!」とツウ姫。

「いや、それいないから」

「そこよね」とメリス。

「そこよ。てか、私たちは勝手に使ってるだけだし」とユリ。

「そうであった」とツウ姫。


「いづれにしても、作った者に聞かないと無理だよな」

「あるいは管理している誰かにだな」とホワン。

「管理者か。いるのかな。いたとして、俺たちが使ってるのを見てて消すかな? まともな管理者じゃないかもな」

「確かに」とホワン。


「そういや、あの白球で変な事があったな」俺は、ふと思い出した。

「変な事?」

「ほら、世界Fの事件の時の話だ。俺たちが駆けつけて覗き込んだ時に人影を見たんだが、次の瞬間に消えた」


「ああ、そんなことを言ってたな。見間違いかと思ったが、今にしてみたら十分怪しい出来事だな」ホワンは渋い顔で言った。


 ただ、この日はその後何事もなく、一つの白球の事件として監視の強化が指示されただけだった。


  *  *  *


 しかし数日後、新たに別の白球も消滅した。

 これを受けて、無限回廊調査隊本部は大騒ぎになった。白球は俺たちが安全に無限回廊で活動していくために必須の存在だからだ。これが、突然前触れもなく消えたのだ。

 急遽、臨時多重世界研究協議会が開催された。


「マニュアルに消滅に関する記述はないのか?」一応、俺は聞いてみた。

「マニュアルは、まだまだ翻訳出来てないし、調べた限り消滅するような機能の記述はない」とホワンは言った。


 白球内に本部を置いてから、当然本部内でも白球の調査を行っている。当然、マニュアルの翻訳についても、白球の持つ辞書を更新しつつ調査している。


「個別の白球の問題ならいいが、何らかの原因で白球が維持できなくなっているとしたら大問題だ」とホワンは続けた。


 大問題というか俺たちの危機だ。


「いつ消えるか分からない可能性が出て来たんだ、ここは撤退するしかないだろうな」

「そうだな。リュウの言う通りだな。折角無限回廊に慣れたばかりだが仕方ない。直ぐにそれぞれの世界に撤退させよう」とホワン。さすがに判断が早い。出来る男の証明だなと思う。


「ちょっと待ってください。この状況では撤退もやむなしですが、最小限の活動も検討してください」とレジン。

「むろん、そのつもりだ」とホワン。

「撤退と同時に、原因究明にも取り組もう。ここまで無限回廊を調査したんだ。簡単には手放せない。もちろん現時点では一時的な撤退と考えている。」ホワンは、そう締めくくった。


 実際、大きな予算を組んで始めてしまったからな。一時撤退ならまだしも、完全撤退するには相当な抵抗が予想される。ただ、白球に持ち込んだものは少ない。ほとんどは物理生成したものだから消えても問題ない。


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