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多重世界の旅人  作者: りゅう
無限回廊編
73/128

73 調査隊本格始動と予報局

 確率の帆や転移ポイントの特定方法はともかく、メリス発案の確率天気予報機関は承認後すぐに設置することになった。


 無限回廊調査隊本部内に確率予報局と言う名で作るとのことだ。最近は、空間転移装置は以前のようなパワーで転移実験をしていないので転移のトリガーになることはなくなった。しかし何らかの衝撃で転移する可能性のある人間にとっては、たとえ地上にいたとしても確率風は重要な情報なのだ。

 将来的には、この部署は24時間休みなく活動する事になると思う。


「速攻で承認されたな! メリス、お手柄じゃん」


 会議後、食堂に向かいながら思わず声を掛けた。承認から設置までの早さがその重要度を示している。


「ふっふっふ。まっかせなさ~い」とメリス。

「ホント、やったねメリス! 確率予報局はこれから大事な部署になるよきっと」とユリ。

「そりゃ、そうだろう。将来的には確率予報省になったりするんじゃないか?」

「そ~ね~、そうかもね~」嬉しそうに言うメリス。

「そうすると、初代局長はメリスか!」

「えっ? なんで?」と、メリスは驚いた顔をする。

「いや、だって、発案者だし。言い出しっぺだし」

「そ、そんなこと言われても」とメリスは急におろおろする。

「別にいいだろ。予報省に骨を埋めろよ」

「何よそれ。私を邪魔者扱いしないでよ」

「別にしてないよ」

「うそっ! 絶対してるっ」と睨んでくるメリス。

「なんじゃ? メリスは偉くなりたくないのか?」と俺の横からツウ姫が言う。

「そういうわけじゃないけど」


「じゃ、いいじゃないか。ふんぞり返って仕事できるぞ」

「出来たばかりで、そんな訳ないでしょ? 多分、一番仕事が多くなる」

「そりゃそだな。立ち上げの時が一番大変だもんな」

「あ、それ分かってて言ってんだ!」とメリス。振り返って、ちょっと責めるような目で言う。


「あ、リュウは逃げるの早いよね~」とユリが無責任なことを言う。

「うむ。リュウは、逃げるのがうまいのじゃ」

「お前ら、人聞き悪いぞ。ただ、ほっとくと一番仕事を回され易い危険な立ち位置なんだ。用心に越したことは無い」

「やっぱり逃げてるし」とメリス。

「いや、だって。全然、俺に出来そうにないし」

「出来そうにないって、わかるんだ?」

「なんとなくな。メリスは向いてそうだけど」

「どうかなぁ? むしろマナブとかのほうが向いてるかも?」

「ああ、確かにマナブは真面目だし、適任かもね」とユリ。

「そうそう」とメリス。

「なるほど」


 ホワンに言っとこう。


  *  *  *


「それで、僕のところに話が回って来たんですね」マナブは、謎が解けたという顔で言った。

「出来そうか? 無理そうなら訂正するけど?」

「いえ、当面の大きなテーマはありませんし、確率風の予報は面白そうです!」


 確かに、シミュレーションとかも含めてやることは沢山ある気がする。まずはデータ集めだろうが、地上組として俺たちをサポートしてくれると思うと頼もしい人材だ。


「マナブが立ち上げてくれたら、俺たちも安心できる」

「分かりました。頑張ってみます」マナブは喜んで了解してくれた。転移装置のお守は、後輩たちに任せるようだ。


  *  *  *


 世界Lからレジンたちが支援隊を引き連れて世界ゼロにやって来た。

 別世界との連携は最小限にすることになっているので、多重世界研究関係は全て世界ゼロで活動することになったからだ。

 無限回廊調査本部の転移室に転移して来たレジンは明るい表情だった。


「やはり、専用の転移室があるのはいいですね」レジンが言った。

「そうだろう? 出発転移室と到着転移室は絶対必要だと思ったんだ。それぞれ三部屋しかないけどな」と出迎えた俺は言った。


 中央のロビーは共通だ。もちろん、その前に検査室を通過して出て来るようになっている。


「検査のスキャナーが高速なのにはびっくりしました」とシナノが感想を言った。

「レディ相手の設備としては、まぁまぁね」とセリー。


 確かに、俺も最初びっくりした。空港の持ち物検査かよと思ったものだ。あれで、細菌レベルの物までチェックできるんだろうか? 体表と口などの消化器系を先に調べるって話だが、それでも早いと思う。


「支援隊は、これが全部か?」俺は連れていた若い研究員を見て言った。

「そうです。十八名います。私たち三名では、これが限界でした」

「いや、十分だよ。おかげで最初から四十二名体制になる」

「そうですね。六名が常駐するとして、待機を考えても白球二拠点は運用出来ますね」


 レジンは既に支援隊の運用で頭がいっぱいのようだ。

 確かに初動としては多い人数だが、無限回廊に展開すると心細い人数ではある。ただ、現状は無限回廊内で移動出来るのが世界ゼロ近傍に限られるので、これでいいだろう。

 俺は、支援隊本部と宿舎を軽く案内した後、全員を連れて食堂へ行った。ささやかな彼等の歓迎会を予定している。ここは、建物と一緒に出来たばかりで綺麗だし快適だ。後から、他の支援隊や調査隊も来ることになっている。


「無限回廊での速い移動方法が見付かるまでは、この人数で限界でしょうね」とレジン。


 確かに。必ず世界ゼロの光球から無限回廊へ展開する必要があるからな。


「そうだな。そういえば、無限回廊ステーションの使い心地はどうだった?」


 世界ゼロに来る途中に立ち寄った筈だからな。


「素晴らしいですね。別荘にしたいくらいです」


 確かに、遊んでいいなら最高の環境ではある。


「まぁ、無限回廊を作った種族ならもっと快適に使ったんだろうけどな」

「そうですね。私たちはマニュアルさえまだ読めてないわけですからね」とレジン。


 しかも、解読作業は白球任せである。どこに処理装置があるのかも不明だ。


「あの白球そのものが驚異だからな」

「そうですね。常駐しながら白球の研究も必要でしょうね」とレジンは意欲的なことを言う。気合い入れすぎじゃないか?

「まぁ、使えればいいだろう。それ以上は、ちょっと危険だからな」

「それは、そうですね」知り過ぎることの危険性というのは判断が難しい。


 その後、この世界の支援隊員や調査隊全員、第一研究室のメンバーなど関係者が一同に会しての歓迎会となった。これから、宇宙の果てのような無限回路で一緒に働く仲間たちだ。

 マナブが予報局員として集めた十名程も含まれているので、既にかなりの大所帯になっていた。


 そして、調査隊のトップはもちろんホワンだ。レジンの支援隊、マナブの予報部が追加され無限回廊の調査体制が固まってきた。これで本格的に活動を開始することができるだろう。


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