表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
多重世界の旅人  作者: りゅう
黎明編
35/128

35 生活棟からの救出

 なんとか生活棟にたどり着いた。


 生活棟に入ってみたらユメノは本当に玉露を淹れて待っていた。流石、生活班。いや、作り置きの水出し玉露なのだが。


「うん。旨いな」

「これは、なかなか」とユリ。

「そうじゃないでしょ! あら、美味しい」とメリス。

「美味しいね」とセリー。

「ほんと、お上手ね」とメリス。

「いい嫁になれるね」

「いい嫁って、照れるのじゃ」とツウ姫。なんでお前が照れるんだ。


「とりあえず、そろそろ停止しそうなんで外に出るか」俺はユメノに言った。

「そうですね」


 ユメノも流石に外を見てびっくりしていた。

 だが、スペーススーツは着ているし、俺たちに掴まれば安全に降りられるだろう。


= あ~、マクガイ聞こえるか。こちらリュウ。ユメノを無事確保。これから戻る。


= こちらマクガイ。了解。感謝する。


 さすがにマクガイは安心したという声で応えた。


= それで、この生活棟はどうする? このまま地表に落下させていいのか?


 俺は生活棟の処理が気になって聞いてみた。宇宙では設備は貴重だからな。


= ん? なんとかなるのか? 出来ればなんとか修理したいが。無理はするな。

= そうか。ちょっと試してダメならユメノを連れて戻る。

= 了解。よろしく頼む。


「リュウ、何とか出来るの?」


 ユメノが期待を込めた目で聞いて来た。


「いや。知らん」

「えええっ!」


 ユメノ、思わず残念な顔をする。


「なぁ、レジン」

「聞いてくると思いました」

「すまん」

「いえ。どうぞ」


「パワードスーツモードで全員で支えながら降りるのと、生体フィルムをロープ状にして牽引しながら降りるのと、どっちが楽だろう?」


 俺は本気で聞いたのだが、レジンはニヤニヤしている。


「そうですねぇ。回転型の重力加速器なのでバランスは取れている筈ですから、みんなで牽引してもいいんでしょうけど。ここはこの防護スーツの加速器でゆっくり降下するよう調整してみましょう」


 レジンは俺の予想を覆す回答をしてきた。


「おお、さすがレジンだ。そんなことも可能なのか」


 何をするのかよく分からないが。


「はい。お任せください。あ、玉露のお代わりを頂いても? はい、ありがとうございます」


 レジンがこれだけ余裕なので俺たちもお茶を貰うことにした。これは、なかなか出来ない体験だしな。

 って、危機感全くないな。


  *  *  *


「おお、流石にこのエネルギーモジュールはパワーがありますね。全員分の加速だと余裕です」


 しばらく、みんなの防護スーツを調整していたレジンがそんなことを言うと、既に落ち始めていた生活棟がガクッと減速した。

 俺たちはやることもないので、ゆっくりと降下する生活棟からお茶を飲みながら外を眺めていた。

 もちろん外ではマクガイが大騒ぎしている。


 君、落ち着き給え。玉露がうまい。


  *  *  *


「お前ら、どっから突っ込んでいいか分からんぞ」


「ほほほ。お構いなく」とシナノ。


 俺たちは生活棟を無事に下して安全を確保した後、無事だった基地の汎用棟に戻った。


「これが、このチームの普通ですので気にしないでください」レジンもすまして言う。

「そうよね。確かに」とメリス。

「そうそう」とユリ。

「ですよね」とユメノ。

「うん」とセリー。

「のじゃ」省略し過ぎ!


「ああ、もう。とにかく、仲間を救ってくれてありがとう。恩に着る」


 マクガイは改めて頭を下げた。


「お互い様だ。とりあえず全員無事で良かったよ。被害はデカそうだが」


 生活棟がどうなってるのかはよく分からない。修理は可能なのか?


「生活棟の修理は大変だが、補修用部品で何とかなるだろう。日程にも余裕があるしな」


 マクガイも案外楽観的だな。まぁ、宇宙に出てくる人間は楽観的でないとやっていけないんだろうが。


「あら、じゃぁ、生活棟が修理できるまで私、リュウのベッドでお世話になりますね」


 いきなりユメノが変なこと言い出した。


「意味が分からん。一緒には寝れないぞ。それに、新しい生活棟があるだろ」

「生活棟が変わると寝れないの」


 枕が変わると寝れないみたいなことを言ってる。いや、こっちのほうが違うんだが。


「お前、そんなこと言ってると、ツウ姫みたいに世界から弾きだされるぞ」

「そうなのじゃ。狙い通り!」


 こいつを引き合いにしちゃダメだった。


「ああ、防護スーツじゃないと多分死ぬことになる」

「確かに、わらわもこれが無かったら、危なかったのぉ。今頃、地の底じゃ」


「わかったわ。冗談よ。ほほほっ」


 ほほほって笑うやつは信用しないことにしよう。


  *  *  *


 噴き出した温泉は既に止まっていた。

 この星では気圧がゼロだから、すぐに凍結してしまうのだ。間欠泉こそ珍しい。


「温泉はもったいない気もするな」


「そうか? 成分がヤバいことが多いんだが」とマクガイ。


「うまく引けたら、無限にシャワーが使えるぞ」

「引きましょう、是非温泉を引きましょう」生活担当のユウナが食いついた。

「温泉があれば健康管理にも役立ちます」


 確かにそうだよね。貴重な水も他に回せるしな。


「そうよね。もしかすると飲めるかも知れないし」


 ユメノも大賛成だ。やっぱり循環リサイクルは気分良くないし。


「いいね」とメリス。

「温泉かぁ、懐かしい」とユリ。

「温泉って? お風呂ですよね?」とシナノ。

「温泉! 実家にあった!」とセリー。うん? そんな訳は……あるのか?

「びばのんのん」ツウ姫、なんで知ってるんだよ?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ