表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
多重世界の旅人  作者: りゅう
黎明編
13/128

13 新たなテーマ

 ルジンの研究にアイデアを提供したりユリの研究に付き合ったりして気を良くしたわけではないが、俺もこの世界で何か出来そうな気がしてきた。ちょっと面白い。


 それはともかく、ユリに提案していたヒカリゴケの転移中断実験はうまくいった。

 ヒカリゴケを増殖させたあと、別世界に転移させようとしたら予想通り発光した。そして発光したタイミングで中断すれば転移は起こらなかったのだ。しかも、転移装置の外のヒカリゴケまで発光した。恐らく、この世界のヒカリゴケ全てが一緒に発光している。

 これは次の定例ミーティングで発表された。


 ユリのこの発表は大きな反響を呼んだ。謎の一つが解明されただけでなく、応用できそうな基礎技術が発見されたからだ。


「これで、その転移先の世界にヒカリゴケが存在するかどうかをチェックする事が出来るようになったね」とルジン。なるほど、そういう使い方もあるか。


「はい。そうですね」発表を終えたユリは、ほっとした表情で言った。自分だけ進展がないと気に病んでたからな。

「うん、これは大きな成果だ!」ホワンも絶賛した。


「もしかしてヒカリゴケが発光した時って、全ての多重世界にあるヒカリゴケも発光してたりしてな~」

「えっ?」とユリ。

「おいっ」とホワン。

「まじ?」とメリス。

 自分で言ってあれだが、ちょっと面白いと思った。


「可能性あるね」とマナブ。

「ありうるな」とトウカ。

「そ、そうね。でもそれは検証できないね」ユリは残念そうに言った。

「まぁ、そうだけど。もし、そうなら……あっ」俺は、ふと思いついた。


「もしそうなら?」とユリ。

「なんだ?」とトウカ。

「なになに?」とメリス。食いつき過ぎ。

「もったいぶってないでさっさと言え」ホワンに突っ込まれた。


「うん、多重世界の通信に使えるんじゃないか?」俺は考えを披露してみた。

「えっ? いや、だって存在しない世界では光らないよな?」とホワン。

「そう、それは無理。でも、存在する世界全部で光ったらシグナルとして使えるだろ?」

「おおおおおぉぉぉぉぉ」ホワン驚きすぎ。

「きゃ~~~~~っ」ユリ期待し過ぎ。

「それ、出来たら凄いぞ」とトウカ。

「そうよね。大変よ」とメリス。

「やっぱり、リュウだな」とホワン。

「リュウ、最近凄いんじゃない?」とマナブ。

「そ、そうか? 暇だったからな」


「でも、存在しない世界にシグナルを送るには……ああ、別のものを使えばいいのか!」ホワン、言いながら自己解決してるし。

「そうですね。とりあえず他の世界で絶滅してるとか存在しないものなら使えると思います。まぁ、確率波みたいなものですかね」俺は思い付きをそのまま言った。


「確率波か。うん? それ、この世界の通信としても使えるんじゃないか?」とホワン。

「ああ、そういえば、そうですね」っていうか、なんで気付かなかったかな?

「あ、確かに」とユリ。


「おお、じゃ、すぐに検証できるじゃないか。これは早急に確認取って転移装置チームに話してみよう。他の世界に呼びかけることが出来たら、世界が変わるぞ!」とホワン。

「そうですよね」


 ひとしきり、何を別世界に呼びかけるかとかで盛り上がった。まぁ、ブロードキャストなら、そうそう使えないと思う。だって全多重世界共通になってしまうしな。

 とりあえず二つの世界で使えるだけでいいのだが。


  *  *  *


「小型化が出来れば、もっといいんですけどね」

 みんなの興奮が収まった頃、さらに追加の提案をしてみた。

「今度はなんだ?」とホワン。なんか、悪戯坊主が叱られてるような気分。

「えっ? 小型通信機が出来たら当然、探査機を作って送り込みますよね? エージェントでもいいし」俺は普通のアイデアだと思うけど?


「おおおおおぉぉぉぉぉ」とホワン。


 いや、これ普通だし。みんな思い付くし。


「きゃ~~~~~っ」とユリ。またか。ってか、大声出したいだけな気がしてきた。

「それ、欲しい」とメリス。って、どれ? 通信機? 探査機? 美人エージェント? とは言ってないか。

「そうね。凄いね」とユリ。

「来た~~~~~っ」ここ突っ込むべき?


  *  *  *


「ということは、リュウは転移するとき光ってたの?」帰り際、ユリが、ふと疑問を口にする。

「へ? なんで?」

「だって、この世界にリュウは居なかったじゃん」

「いや、俺は希少生物でもないんでもないぞ」でも存在確率が変動するなら在り得るのか?


「私、ヒカリモノ好きだよ」

 何言ってんの?


 とりあえず、希少生物を使った別世界通信の可能性は研究者にとって刺激的なテーマだったようだ。発光するエネルギーを考えると、希少生物だから発光が検出されたのかも知れない。さすがに、たくさん存在するものを発光させるとなると半端ないエネルギーになるからだ。希少でないものでも多少は発光するのかも知れないが、検出出来ないように思う。もちろん、エネルギー源は転移装置だろうから、無駄なエネルギーの消費も出来ないので、勢い希少生物を選ぶことになる。この希少生物の選択は難しそうだ。


 それからというもの、ユリは熱心に珍しい苔を集めては俺と実験を繰り返すようになった。まぁ、付き合わされるのは大変だが、俺も暇だしな。けど、俺の部屋に苔を持ち込むのはどうなんだろう?


「私の部屋に持ち込めないし」ユリはそんなことを言うが、俺の部屋ならいいのかよ。

「盆栽みたいなものよ」


 いや、そんな訳ないだろ。てか、盆栽なら俺の部屋に持ち込んでいいのか? せめてベランダにしといてくれよ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ