表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
多重世界の旅人  作者: りゅう
原初の星救出編
125/128

125 分岐点に立ち会うもの

 夜はパーティーである。

 まぁ、俺たちはおまけ的な存在なので傍で見ていればいい。そんなわけで、端っこのテーブル付近にたむろしていた。


「まぁ、こんなところにいらしたのですね」


 声に振り向くと、キュレル首相がいた。


「ずいぶん捜しましたよ」とキュレル。


「俺たちはわき役なので」

「何をおっしゃいますか」


 キュレル首相はそう言って笑うと、つと近づいてきた。


「ホワン殿によれば、キーマンだとか」


 ホワンめ、何か言ったな。


「たまたま、いろんな場面に遭遇するだけです」


 つまり、責任は取れません。無責任男です。


「そういう運命なのでしょうね。でも、それも大事なことです。分岐点に立ち会う人の定めと言えましょう」


「分岐点ですか」


「ええ。もちろん私もそうした運命にある者のひとりでしょうね」


 なるほど。確かに、星の命運は彼女の手に委ねられている。


「恐れ入ります」


「それで、そのような宿命の人の意見はぜひ伺っておきたいと探しておりました」


 なるほど。


「俺に何か言えればいいんですが」


「もちろん、既に沢山ご協力いただいていますが、何か気掛かりなことでもあればお聞かせください」


「気掛かりなことですか」


 何かあったかな?


「空間建築技術は?」とメリス。人工大陸を建設した技術のことだ。


「それは、ホワン殿からも聞いています。もちろん協力させてもらいます」とキュレル。


 既に、技術協力の話が進んでいるらしい。


「あれは、素晴らしい技術ですね」


「多少なりとも提供できるものがあって、皆喜んでおります」


 そうか、そういう価値観の人たちだもんな。うっかりしていた。


「空間を最大限に生かせる素晴らしい建築技術ですね」


「はい。何しろ土地の狭い星ですから。古来より、私どもの最大のテーマです」


 確かに、島しかない星だからな。


「いっそのこと海水を汲み上げて大陸を作りますか?」


 俺は、パーティージョークとして言ってみた。


「汲み上げた海水はどうなさいます?」


 ちょっと、可笑しそうにしたキュレル首相だが、悪戯っぽい目で言った。


「とりあえず、凍らせて衛星にでもしたらどうでしょう?」


 どうせ、エネルギーは沢山あるし可能かも知れない。転移技術も使えるうちなら何でもありだったりして。


「なるほどっ!」


 キュレル首相は軽く手を打って感心するように言った。えっ? そこ、笑うとこですが? 見ると真顔になっていた。


「そういう手もありますね!」


 いえ、ジョークですけど? そんな手はありません。


「大陸を作る! 素晴らしい考えです。白球システムが使える百年間を掛けたなら可能でしょうか?」


 いつの間にか大きな声になって言った。


「出来るでしょうね」話を聞きつけたレジンが言った。いつの間に来たの? てか、出来るんかい!

「ほう、面白いじゃないか」とホワンまで来た。

「やってみるのだ」とレム。

「旨いケーキを作るのだ」とリム。話聞いてた?


「恐らく、百年も掛からないと思いますよ。五十年ほどで、あとは陸地の整備をすればいいでしょう」とリジン。


 いいんでしょうか。って、なんですぐに具体案が出て来るんだ? もしかして考えてた?


「とてもすばらしいお話です。大陸が出来る! ああ、なんて夢のある御提案でしょう!」


「そ、それは良かった」


 俺、提案したっけ? ジョークは言ったけど。天才相手のときの冗談は止めたけど、首相相手でもだめなのか? ああ、周りに天才がいたからか。


 とりあえず、その後はレム、リム提供の『多重世界スイーツ検出器』で見つけたケーキが振舞われて話題をかっさらっていった。よしよし。


 ただ、後で聞いたらあれはジョークでは終わらず本当にやることになってしまった。百年大陸計画だそうだ。


 確かに、分岐点に立ち会っているな俺。知らんけど。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ