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15_惑星改造する天宮さん


《報告:マスター、この惑星の現状についてほぼ情報が集まりましたのでご報告します》


 オペちゃんが突然声を掛けてきた。


 私の正面数メートル先では、ミーナさんに寄り添われるように女の子が猛烈な勢いで牛乳を飲んでいる。


 只今3パック目。乳脂肪分3.5%以上のよくある牛乳だ。


 着ていた服は崩れてきた瓦礫のせいでボロボロという有様だった。ひどく粉っぽく汚れていたが、何故か出血は殆ど無し。丁度彼女が朦朧としていたということもあり、これ幸いとひん剥いて体を拭いて、適当に服を見繕って着せた。


 尚、その途中でオペちゃんに、彼女にアイアンクローをしてくださいなどと訳の分からないことを云われたけど。


 なんでも、アレで言語を通じるようにしたそうだ。この世界の……というか、彼女のネイティブ言語のデータを収拾。それと同時に、日本語と英語を彼女の頭に叩き込んだという事。


 へー、凄い。って、ダンジョコアの体に憑依したまま思っていたら、さらにとんでもないことを云われた。


 その能力、私がダンジョンコアのいた世界でアノ神様の使いに同じようにされたときに、ダンジョンコアがその神様の使いの能力データを根こそぎ引っこ抜いたらしい。


 あの神様の使いが、痛いはずが無いとかなんとか云っていたのは、馬鹿げた情報量を無理矢理頭に転写したのが原因とのことだ。


 いや、オペちゃん、なにやってんの?


《回答:またとない機会でしたので。神のデータなど、早々とれるものではありません。これによりマスターとダンジョンコアは、少なくとも神の使いと同様の力を得ています。もっとも、それを扱うための訓練は必要となりますが》


 などと、とんでもないことを云われて怖気づいたよ。だってさ、ダンジョンコアにだけ情報が入ったのかと思ったら、私にも刻んだっていうんだもん。……もしかして称号の【聖霊】って、そのせい?


 訓練すれば大抵のことは出来るって云われたけど、怖いから基本これまで通り過ごすつもりだ。


 さて、この世界の報告とはなんぞ?


《報告:純人類ですが、絶滅しています》


 純人類?


《回答:普通の人間のことです。あそこの少女は吸血鬼です。そのような変位人類種は僅かに生き残っておりますが、互いに捕食しあっているため、近く絶滅するでしょう》


 捕食って、えぇ……。


《例えば吸血鬼ですが、糧とする人類が激減、現状絶滅。もはやゾンビしかいなくなってしまったため血液を得ることができなくなりました。結果。同種の吸血鬼を捕食するという有様になっています》


 わぁ、酷い。


《報告:この世界を滅ぼしたカビですが、現状は生物以外には寄生しませんが、その変異速度は異常です。不死者はもとより、我々にも遠からず影響を及ぼすようになるでしょう》


 ……面倒臭ぇ。よし。駆除しよう。つか、もうこの星を造り替えよう。神様いないんでしょ? なら貰っちまえ! えっと、テラフォーミングっていうんだっけ? そんな感じの事をやっちまおう。


《質問:いったい如何様にしてそのようなことを成し遂げるのでしょうか?》


 いや、オペちゃんや、なにを云っているのさ。ダンジョンコアなんていう超絶アイテムがあるじゃないのさ。廉価なものなら造れるんでしょう? それなら周囲をダンジョン化をできるやつ、あの排水路に使ったのとほぼ同じものを作って、世界全体をダンジョンにしちまえばいいんだよ!


 でもってカビを駆除! 汚染された動植物もまとめて駆除! 星をただの水のたまった泥団子にしてから、適当に植物を植えりゃいーよ。


 なんという力技? いーんだよ、私ゃ脳筋だかんね!


《回答:了解しました。ダンジョンコアの生成を開始します》


 そういや、オペちゃんたちの管理してたダンジョンって、どうなってんの?


《回答:放置されています》


 え? いや、マズいでしょ。あんな大規模ダンジョン。とりあえず代替品のダンジョンコア据えておこうよ。


《回答:了解です。そちら用の管理運用ダンジョンコアも生成、完了次第設置します》


 よろしくねー。


 あ、そうだ。この世界、まともな生存者ってまだ他にいる?


《回答:リビングドール、ゴーレム等を確認しています。ですが、彼らはいうなれば社会性をもった昆虫と似たような存在ですので、接触するだけ無駄かと。吸血鬼は数体生き残っていますが、同種激減の結果互いに遭遇できず、飢えからゾンビを捕食。結果カビの影響を受けています。不死者のままではありますが、脳に異常を起こしています。カビの除去はできますが、治療は不能です。また、現状まだまともな者は、餌とみなしている我々と相容れることはないと思われます。あの少女はイレギュラーとお思いください》


 Oh……。


 治療は不能ってことは、脳みそのデータが死んだのね。だから吸血鬼持ち前の回復能力でハードが治ってもソフトは修復不能と。でもって吸血鬼は基本敵と。あの子は……まぁ、私たちは恩人ってことだろうしね。


 ……でもあの子、よく生き残ってたな。


《回答:血液の残存量が僅か120CC程度でした。恐らくは、吸血鬼に襲われて吸血鬼化。その直後にビルの倒壊に巻き込まれたと推測します。もし、カビの汚染者を襲っていたら、彼女もまた終了していたでしょう》


 運が良かったんだか悪かったんだか。


《報告:現在、この世界の各種資料を回収中。新聞、書物、書類等の解析を開始します》


 そうやこの世界の科学技術ってどんな感じなの?


《回答:魔法と科学のハイブリッドです。やや科学よりでしょうか。魔法は人が使う物であり、科学はその補助、或いは雑事を代替するものといったところのようです。科学技術としては、蒸気機関が主流となっており、自動車、飛行機の動力として使われています》


 え、蒸気機関の飛行機? 飛ぶの? クッソ重くない? いや、それ以前に、飛行時間とか短いだろうし、なにより上空って寒いよ。蒸気機関と相性が悪すぎないかな?


《回答:飛行魔法を使えない魔法使いでも飛べるように開発されたもののようです。それが洗練され、爆撃機として主戦級の兵器となっているようですね。尚、動力の元はパイロットとなる魔法使いの魔力のようです。蒸気機関の熱源ですね。自力で飛ぶよりも効率が良いようです》


 この世界の魔法使いは箒じゃなく、飛行機に乗って飛ぶのか。


 ……云ってることだけをみれば、すごい当たり前だな、これ。ちょっと見てみたいな、蒸気飛行機。


《回答:損壊せず残っているモノを回収します》


 ついでに自動車もね。オートバイとかもあるのかな? そういえば蒸気機関がメインのSFがあったけれど、あんな感じなのかな?


《そんなものがあるのですか? くっ、時間が足りませんね……》


 なんかオペちゃんも随分と人間味がでてきたな。UPグレードの結果かな? まぁ、いろいろと楽しんでいるようでなによりだよ。


 そうだ。オペちゃん。あの子、牛乳を飲みまくってたようだけど、問題ないの?


 牛乳を飲み終わった女の子はというと、まるで気絶するかのようにひっくり返った。実際、意識を失くしているようだ。


《回答:状況を鑑みるに絶対的に問題ない――とはいえませんが、応急処置としては十分です。後程、生成した血液と申しますか、赤血球の凝縮液を与えますので大丈夫でしょう。詳しい検査は地球に戻ってより行います。借り受けた部屋を一時的にダンジョン化すれば、各種作業を行えますので》


 よろしくねー。


 というか、私もダンジョン関連に関して色々覚えておいた方が良さそうだな。はからずもダンジョンマスターなんてものになっちゃったんだし。






 ということで、量産したダンジョンコアをクロウラーたちに設置してもらうべくあちこちへと向かわせた。


 惑星全土をダンジョン化するのに掛かるであろう時間は、長くとも半年程度とのこと。


 ……随分と早くね? まぁ、早い分にはいいか。


 で、ダンジョン化の完了したところから、この厄介なカビの除去を開始。汚染された死体、即ちゾンビはすべて焼却処理だ。海が無事だったのは幸いかな。さすがに塩水までは克服してなかったようだ。このカビ。


 ……なんか、その途上で回収した綺麗な状態の死体やら死骸やらをオペちゃんがコレクションしているみたいだけど。


 死体なんてなんの役に立つんだ? あんだけゾンビも回収したっていうのに。


 地球では縁もゆかりもない死体だから、殺人の冤罪を作り出すのに役立ちそうだけど。そんなことやらないしなぁ。


 ……秀太朗の真似事をするなら私が祟り殺すほうが早いし。


 でもそれをやると厄介なんだよなぁ。


 例え悪党でもヘタに殺したりすると怨念が周囲に散るから、事後処理が面倒臭いし、死神にネチネチ説教されるから嫌なんだよ。


 死神? いるよ。ただ、生き物を殺す、死をもたらす神ってわけではなく、魂の回収をする役目の存在だけど。死神っていってるけど、実際には天使に近い存在なんじゃないかな。


 私が拠点にしてた界隈を担当してる死神は口が悪くてさー。


 そういやリンゴが好物だったな。某漫画の死神の設定にあるように、死神ってリンゴ好きなのか?


 いや、それはどうでもいいんだ。


 海洋生物はまったく無事ってことでいいんだよね?


《回答:無事です。カビの影響は一切ありません》


 地上の生物……動植物を適当に移植するわけだけど、折り合いとか大丈夫? 食物連鎖的な影響とか。


《回答:絶対的に問題ないとはいえませんが、さしたる影響はないでしょう。あったとしても調整は効きます》


 ふむ。あ、食用に出来そうなのいくつか持っていける? 検疫的に無理?


《回答:検疫に関してはご安心ください。適切に処理します。こちらの料理雑誌を確認するに、アノマロカリスに酷似したエビが食用としては人気であった模様。日本でいうカニのようなポジションでしょうか。現在の地球で云うならば、ちょっと変わった巨大なうちわエビといったところでしょうか》


 アノマロカリスて……。


《サイズは80センチ程度が標準のようです》


 でっか! いや、アノマロカリスはもっとでかかったんだっけ? まぁいいや。面白そうだからそれ持って行こう。フライだと形が分からなくなりそうだな。丸茹でしてマヨネーズでもかけるか。……形的にグロすぎるかな?


 食べ方はあとでちゃんと考えるとして、ナディアちゃんを驚かしてあげよう。


 それじゃ、最後に移動を簡易化するための魔法陣を設置して、地球に戻るとしよう。


 半年後、この世界がどうなっているのか楽しみだ。


 あ、そうだ。


 オペちゃん、生き残り吸血鬼だけど、ちゃんと死滅していないと困るから処分はしておいてね。


《了承:畏まりました。各ダンジョンコアに指令を追加しておきます》


 今度来た時に、飢えて狂乱状態の吸血鬼なんて、相手にしたくないからね。



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