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伯爵令嬢の憂い②

あの日…ヴィンと別れた日から体の熱が全く引かない。彼は屋敷まで私を送った後、姿を消した。それが信じられなくて庭先で泣いていたら、たまたま実家に戻ってきた兄が私を屋敷内に入れ、姉にも話が入っていたのか急遽、実家である我が家に帰ってきた。

問い詰められるものの、答えることも出来ず私は何も飲まず食わずで2日を経とうとしていた。

部屋の鍵を開けると、専属侍女のアリーが待っていた。


「お嬢様っ!!」


彼女はスポイトに水を少し含ませると、私を部屋に押し戻し、それを飲ませた。

物音に気付いたのか、兄と姉が部屋にやってきた。


「ルー兄様、ヴィー姉様」


彼らは私を交互に抱きしめると良かったと再び抱きしめられた。しばらくすると兄は私をソファに座らせ口を開いた。


「エルシアが生きててとりあえず良かったわ。で?お前がここまでして飲まず食わずだったのは一体なんなんだ?あ、ヴィー」

「何?私、エルちゃんとお話ししたいんだけど?」

「黙って俺の言うこと聞け」

「うるさいわね?そんなんだから彼女の1人や2人ができないのよ。このチェリーボーイ」

「うるせぇ。黙ってろ。俺はもうチェリーじゃねぇよ。この俺を舐めてんのか?俺の方肩書きはなぁ」

「あー。もう。はいはい。どうせあれでしょ?次期伯爵当主でしょ?」

「ちげーよ。俺、ルーウェルトはな、軍は軍でも軍師なんだよ。女なんて沢山寄ってくるから、困ってねぇし、俺だって彼女ぐらい居るわっ」


私はただどうでもいい兄と姉の兄弟喧嘩をぼーっとみていた。


「エルちゃん。顔色が悪いわ。しばらくベッドで横になりなさい。お父様がまたご心配するわ。今日だって、王宮に行きたくないって駄々をこねていらっしたもの」


兄は私をベッドへと運ぶと、ベットのそばにある椅子に座った。姉は侍女が入れたお茶を飲んでいた。


「で?理由を説明してみろ」


私は、兄や姉にヴィンと付き合っていたこと彼が屋敷勤をやめたこと。私たちが別れたことを話した。

経緯的には私の小説だが、私がシアであることを話すと姉が面倒なので、話すのをやめた。気づいていたらまた、涙が溢れていた。


「そうか…で?お前は純潔か?」

「ちょっと、ルー!乙女になんてことを聞くのっ!」


勿論彼はそんな酷い事はしなかった。

一言で言えば私が夜な夜な執筆していたのでそういった事は起こっていない。


「ルー兄様、ヴィー姉様。心配をおかけしてごめんなさい。お父様には黙っててくれる?お父様にお話しすると、ヴィンを社会的抹消に導く気がするから」

「あ、あぁ」


私は再び横になり侍女なしで動けるようになったのは3日後だった。


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