伯爵令嬢と執事
私はあれからぐっすり眠れ、今は城下町に出ている。目の前には三階建ての建物。_________そう。ウェールズ社。私が、シアとして出版している出版社だ。そして目の前にいる、ショートベリーのできる女性。(この時代の最先端を行く女)多分そう…。多分じゃ無いな。絶対だ!だって明らかに男性用の服(乗馬用)この女性こそ、私の担当者で編集長兼社長。アンネ・ルーヴェル氏だ。第一印象男。私が令嬢なのは知らない…筈⁈
これ内緒。
「いやぁ〜。シアちゃん!執筆早いねぇ!話も盛り上がって!まぁ、よろしく頼むよ。君次第でこの社も上がるし…ね?」
なんだろう。このプレッシャーは。
この人、顔が美形な分、無駄に圧力がかかってくる。美人怖っ!
私はヘロヘロとウェールズ社を退社した。
再び城下町を歩いていると、ゴロツキに絡まれてしまった。
「よぉ姉ちゃん。俺たちと気持ちいいことしねぇか?」
私は、サリヴァン家の体術を仕掛けようとするも、押さえられている力が強くてうまく仕掛けられない。
「いやっ!」
その声も叶うはずもなく、男達は私の服をゆっくりと脱がしていく。
「やめて!離してっ!」
「ぐっ」
かろうじて動けていた足で男の腹に一撃で入れることが出来た。が、それだけでは効くはずもない。さらに私の腕を掴む男の手に力が入った。
「いい度胸してんなぁ。あ?」
男は私の着ていた服を破き、上半身が露わになった。
「やっぱ、姉ちゃん。いい乳持ってんな。いい声で啼けよ?」
ニヤリと男は笑う。薄暗い路地にひんやりと風が吹く。その風が吹くたびに、鳥肌が増し悪寒がする。
誰か、助けて。
男は露わになった胸をゆっくりと揉み始める。それと同時に顔を近づけ、唇に触れようとしたその時だった。
突然現れたマスクマント羽織った男は、先ほどまで襲っていた男に蹴りをかました。沢山の木箱が破損する物音とそして砂埃。マントの男は私をマントの中に隠し、そのまま、男が泊まっているであろう宿へ連れられた。部屋に入ると男は服を与えてくれた。服を着ると、
「俺が怖いか?」
と、無口だった男が声をかけてきたと同時にその覆面マスクを取った。私は気づいたら泣いていた。だってしょうがないだろう。彼はもう帰ってこないと思っていたのだから。
「ヴィン!!」
ヴィンに抱きついて子供のように泣いていた。彼はしゃくりを挙げている私をまるで割れ物を扱うような手つきで撫でてくれる。
「エルシアが無事でよかった。路地でエルを見た時無性に腹が立ってな、つい。でも、本当に無事でよかった。怪我はしてないか?」
「し、してない」
「そうか、触られただけか」
そう呟いたヴィンはニヤリと口角を上げ笑うと耳元で囁いた。
「俺が上書きしてやる」
______________________2日後
私は生気がない顔をしていた。
2日前、彼は上書きが終わった後、屋敷を辞めたことを告げ、私の元を去った。
《新しい恋しろよ》と…
こんにちは、こんばんは!
作者の月星茉莉です。
読んでくださりありがとうございます。
終わりましたね!ちょいエロめのこの回。いかがでしたでしょうか?
ヴィンは一体何がしたいのか…
駆け引きの行方は何処へ笑笑