伯爵令嬢の憂い
今回は短めです。
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事の起こりは昨日。
私の手元には2通の手紙。差出人は同じ…
“ユリウス・リーフ・フォーサイス”
そして彼の真名を知る前まで名乗っていた
“セン”
内容は全く違う。一つは謝罪文。そして、もう一つは先日貰った手紙。
おかしい。だって謝罪文は湖畔の時のだった。たしかに私は彼と一緒に行った筈だ。
「書かれてるのは、《先日はお断りの連絡を入れてしまい、申し訳ありません。改めて私と、湖畔に行きませんか。貴女の瞳に似た、美しいバイオレットが綺麗に咲いています》か」
これは一体誰が書いたんだろう。そして貴方は一体…だれ?
________________2日後
私は現在、『花燃ゆる』シリーズの新作を執筆中だった。その名も
『純情愛可憐〜花燃ゆる2人の愛〜』
この作品は、前作の『初恋純情〜花燃ゆる2人の行方〜』で、昔の記憶を戻したヒロインのエリスに、やっとの思いで身分を打ち明けることができたフィリップス。2人の愛は更に深まるのだが、フィリップスの命を狙うリヴァール侯爵。侯爵は、偶然夜会に出席したエリスに一目惚れ。エリスは、リヴァールの策にはまりリヴァールの元へ行こうとするが…という感じだ。いやぁ書けた書けた。
疲れた〜。明日編集長に渡そう。そろそろインクも切れそうだし…明日買いに行こう。
そういえば、記憶の蚊帳の外だった、ヴィンってどうしてるんだろう?
「でも、この手紙…ヴィンの字によく似てるなぁ」
私はヴィンが書いた直筆の手紙とその手紙を比べてみる。
ユリウス様とセン。彼らは同一人物な筈だ。どうしてだろう。私はセンと名乗っているの方に妙に親近感が湧いてしまう。ユリウス様の字はその美しい見た目とは裏腹に、力強い字をしている。でも、センの字とヴィンの字は、達筆で少し癖字な印象を受ける。
「字が、あまりにもに過ぎている。貴方は本当に誰?早く戻らないと、私…ユリウス様とっ」
目の前にいるはずがないのに、目の前にいるみたいで…貴方に会いたい…。貴方に触れたい。そう思うこの苦しい感情はなんだろうか?
ヴィンの手紙をくしゃくしゃに握りながら、私は鍵のかかった部屋の中で一晩中、泣き今日疲れ深い眠りへと着いたのだった。
こんにちは、初めまして!
作者の月星茉莉です。
読んでいただいてありがとうございます。
違和感が半端無いですねww
さぁ、どうなるのか…お楽しみに。
ヴィン、ファイト!