表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/15

伯爵令嬢と貴公子の駆け引きの答え②

私は……


これまで過ごした時間。何も思わなかったわけじゃない。昔の私だったらきっと駆け落ちという選択をしていたのかもしれない。でも、


「私は、お父様も叔父様も私たちがどのような恋愛をしようと手助けをしてくれる。って思ったから、そんなに気にしたことがなかったし、本当に結婚を認めないのであれば、私やヴィンにお父様方は縁談を取られていたでしょう?」


するとヴィンや叔父様は2人揃って笑い始めた。


「お、ははっ、ヴィンセントお前本当に幸運なやつだな」

「はははっ!おもしれぇ。俺やっぱエルシアめちゃ好きだわ」


「だそうみたいですよ。ヴェルダン義兄さん」


ガリュエントは一息つくと、ヴェルダンが寝ているカーテンをそっと空けた。

そこには先ほどまで寝ていたはずのヴェルダンが起き上がっていた。


「嘘、お父様!」

「エルシア、心配かけてすまない。怪我はしてないか?」

「大丈夫…ヴィンが守ってくれたから。怪我は彼がしているわ」


まだカスカスの声だが威厳ある口調でヴィンを呼ぶ。


「まぁ、さっき決意を聞かせてもらったがね、一応確認。ヴィンセント・リーフ・フォーサイス。君はエルシアと結婚したいか?」


ヴィンは私を見て深呼吸をしお父様に顔を改めて向ける。


「はい。娘さんを一生をかけて幸せにします。今回のように危険な目にあっても、私が身を呈して守り抜くと約束誓います」


お父様の表情はとても穏やかだった。


「ほほう。それは頼もしい。そうだね。エルシアをもう二度と泣かせないと誓うなら結婚を認めよう」


___________1年後


今日は暖かい穏やかな日だった。

また、純白のドレスを見にまとった私もとても心穏やかで幸せな気分になっていた。

そう。今日は私達の結婚式。私は教会の一角にある新婦控え室にいた。


「エルちゃん!とっても綺麗よ。でも聞いてちょうだい!」

「どうしたの?リアナが起きちゃうよ?」


相変わらず騒がしい姉の腕には元気な女の子が抱かれている。 でも、姉が騒がしいのはなんとなく察しできる…いや、確定の部分で。


「シアの今度の最新作で花燃ゆる2人終わりなんですって!」


そう。私は改めて次巻で完結することを公表した。私はヴィンに言われたあの日からずっと私達のことを書いていた。それはもう鬼神が乗り移ったみたいに。

興奮しきった姉は、妻と娘を迎えに来た姉の旦那…バーベント伯爵に連れていかれた。入れ替わりに入ってきたのはお父様とお兄様。けど2人とも私の姿を見るなり、号泣し、そそくさ出てってしまった。しばらくするとシスターに連れていかれ、式場の扉に立った。そこに待っていたのは沢山の記章を身につけ紺色のタキシードを見にまとったヴィンがいた。彼は腕を差し出し私はそれを絡めた。


「綺麗だ。エルシア」

「ふふっ。ありがとう。あなたも素敵よ。ヴィンセント様?」

「なぁ、一年前の賭けの話覚えてるか?」


そんなの勿論忘れるはずがない。あの賭けをヴィンから持ち出さなければ結局の所私達はすれ違ったまま終わっていたのだろう。


「勿論。覚えているわ。でも私はその賭けには負けたわね。ヴィンセント・リーフ・フォーサイス様と言う麗しの貴公子様に心を持ってかれてしまったもの」


ヴィンは顔を真っ赤にする。


「そうか…俺こそ、君に出会った瞬間から心惹かれてるんだ。今日をずっと待ち望んでいたんだ」

「あら、最初から私に惹かれていたの?」


私は彼の発言に驚いた。


「そんなのずるいじゃない」

「まぁ、怒るなよ。でもその分、沢山君を傷付けてしまった。だから次は今度こそ、俺の手でエルシア・ユナ・サリヴァンを幸せにするということを誓おう」


この台詞は私は婚約式にももらった。なんとも言えない胸が苦しくなったり、怖かったり、様々な感情を抱いた。でもやっぱり、、、彼じゃないといけないと痛感した。それはお互い様だ。

だから、、私は


「私こそ、あなたを幸せにすると誓うわ」

「頼もしい奥さんだ。どうやら完全に勝ったつもりでいたんだが賭けは引き分けだな」


彼は私の腕を組んでいる手の甲に唇を少し落とす。


「さぁ。そろそろ行こうか」


ここまで来るのに沢山の壁があった。私はその壁を打ち破った彼と結婚をする。賭けの最中、彼は、私の思っている以上に沢山の傷を負ってくれた。守ってくれた。そんな彼に心を動かされた。この賭けは引き分けだと言っているが私は最初から彼の勝ちだと思っている。

沢山の人に見守られ祝杯を受け神の加護を受けられる私達はとても幸せ者なのだろう。


再び彼を…ヴィンをみる。


「そうね、ヴィン。ありがとう」


優しい目を向けた彼はニコリと笑い言った。


「こちらこそ。さて、賭けも無事終わったし、幸せになりに行こうか」


彼は私の返事を待たずして、ゆっくりな歩幅で御幸の光が差し込んでいる式場に踏み出した。それはまるで天使や女神が祝福をしている光の中へと…


〜Fin〜

完読ありがとうございました!初めての作品でドキドキしましたが楽しめていただけたでしょうか?

時間があれば2人のその後や、ユリウス氏のその後などを描こうかと思っています。新作の方もよろしくお願いします!

ありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ