伯爵令嬢と貴公子の駆け引きの答え①
「それは感心しないなぁ」
カーテンの向こう側にいたフォーサス公爵様……叔父様が顔を出した。
わ、忘れてた…叔父様がいたんだった
私とヴィンは顔を見合わせさっと離れた。
「ヴィンセント」
「は、はい。父上」
叔父様はゆっくり私たちの方へ歩いてくる。
私たちの目線に合わせるように椅子に座ると叔父様は話し始めた。
「ヴィンセント・リーフ・フォーサイス。そして、エルシア・ユナ・サリヴァン」
『はい』
先程までとは医務室の雰囲気はガラリと変わり妙なぐらいに重い空気が流れる。
「君たちはどうしたい?」
どうすると聞かれてもどうしたことだろうか。
ヴィンは私の手に自分の手を絡めるように握った。
「私は…私は、エルと、エルシアを伴侶にしたいと考えています。父上が、私にたくさんの縁談を持って頂いているのも、婚期の女性の家の方から縁談をと上がっているのも知っております。でも、私はエルシアが心配なんです。どうしょうもないぐらい、彼女を愛してるんです。ずっと。だから父上には、認めていただきたいのです。結婚を」
「ヴィン…私からもお願いします。ヴィンとの結婚を認めてください」
エルシアとヴィンセントは深く頭を下げた。その間はまるで2人の愛を試すかのように。
「もし、君たちは両家から許しが出なかったらどうするつもりなんだい?」
2人は頭をあげると、エルシアの手を握る力をもっと強く握った。
「そうしたら、私はエルシアと駆け落ちします。身分も家も財産も全て捨ててでも。遠い地まで行き、彼女には苦労をかけるかもしれないけどそれでも彼女と居たいから。だから駆け落ちをします」
「そうか…」
ガリュエントは、目にしわを寄せ私を見つめた。
「エルシアは?」
私は………………