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お嬢様の秘密

初作品になります!

読みにくかもですがぜひお楽しみください!

耳にかかる、熱い男の吐息。その吐息にビクビクっとなる私の身体。少し汗ばんだ男の手はさらにーー-


*****


「あぁ!ミシェル様、遂にっ」

「お嬢様」


後ろを振り返ると執事の姿があった。


「ノックは?」

「3回しましたよ」


彼はヴィン。3年前から私付きの執事だ。この家にきた際、何やらお父様と取引をしているらしいが私にはそんな事どうでもいい。


「やっぱバーベント先生の本いいわ!」

「小説ですか」

「いいえ、官「お嬢様!」「あ、そうだわ。ねぇ、刺繍糸欲しい」

「お嬢様もいい加減にして下さいよ?」

「何がよ」

「伯爵令嬢とあろうお方が、夜会やパーティにも出ずに、部屋に引きこもって、コソコソと……全く。何をなさっているんです?」

「…刺繍よ」


私はソファーから起き上がり、メイドが結ってくれた髪を下ろし、いつもの如く髪を三つ編みにする。


「さ、出かけるわよ」

「お嬢様!旦那様に怒られますよ?」

「じゃあ、ヴィンが上手く言いくるめて頂戴?バァーイ」

「お嬢様‼︎」


私は早足で屋敷を出たのであった。

屋敷を出て、しばらく歩くと、目的である、城下街に着いた。人混みで聞こえるのは人の声。まぁ、それもそうだろう。それ以外、何があるんだ?って感じだもんねぇ。


「ねぇ、シアの新作読んだ?」

「読んだわよ!フィリップ様が……」


「エリス様とフィリップ様!」

「そうそう!あの2人……」


「花燃ゆる2人の愛よね?」

「そう!シアの新作よ!アナベスの作品も捨てがたいけど、やっぱりシアの作品は奇抜でいいわよね。アナベスは古典すぎるから……」


うんうん。そうだろう?いやぁ実に鼻が高い。ん?それはね……街のいたるところで聞く、シア。あれは私。え?何で伯爵令嬢なのにって?それは簡単趣味だ。実はこれ、誰も知らない。そ、内緒。出版はたまたまあったのだ。素晴らしい運命!あ、ちなみに、私の名前はエルシア・ユナ・サリヴァン。シアは、エルシアのシアから。簡単でしょ?


「さ、インクインク!」


私はお気に入りの伊達眼鏡をかけて、インクを求め、文具店に入った。


「おぉ。いらっしゃい。シアちゃん」

「おじさん!」


おじさんはこの店の店主でいつもご贔屓にしてくれるのだ!


「シアちゃんはいつものインクかい?」

「はい」

「最近…いや、まだ店に出してない新作なんだが、万年筆どうだい?」

「え?新作?」

「シアちゃん、新作ヒットしたし、いつも贔屓にしてもらってるお礼で8割引はどうだい?あと、紙ね」

「え?本当⁈」


勿論、お買い上げしましたとも!

私はおじさんにお礼を告げると偽造の為、刺繍糸を買い、ルンルンで道で歩く……が、


「お嬢様」

「げ、ヴィン」


そこにいたのは執事でした。はーい。お約束の時間。


「げ、ではありませんよ?お嬢様?早く戻らないと旦那様に…」

「うるさいわね。もう戻るから帰るわよ」


私はヴィンを置いてスタスタ歩き、屋敷に戻る。自室に入る。さぁ!私のパラダイスだぜ!


「お嬢様」

「うわわぁ」


私は、万年筆だらけの引き出しを急いで締めた。ま、事があろうにも令嬢の机の引き出しが、紙、万年筆だらけっていうのもねぇ……って、そんな場合じゃあない!まず、このヴィンから作家なのを隠さなきゃ!


ヴィンは私の部屋の扉を閉めた。


「お嬢様?これ、一体なんですか?」


NOoooo!ヴィンが持っていたのはまさかの原稿用紙。何で?全部ゴミは……


「お嬢様?毎日、お部屋で何をされているかと思ったら…恋愛小説ですか。誠面白い。で?一体誰とこんな大恋愛を?そんな暇あるんですか?まさか、毎日のように、市街地に出たり、城下街に行くのは逢引をなさっているからですか?どうなんです?」


え?怒らないの?ってか、怒るのそこ?


「そんな訳…」

「はぁ⁈こんなもん描いといて?」

「し、失礼ね!こんなもんって何よ」


ヴィンはいきなり手袋を外し、ネクタイを緩めソファーに座った。


「ったく。心配させんなよ。こっちも大変なんだよ…ぶつぶつ」


何か怖い。


「誰?」

「俺?あんたの執事のヴィンだ。忘れたのか?」

「じゃあ、二重人格とか?」

「じゃねぇよ。猫被ってただけだ」


って人のソファーで勝手に寝るな!


「はぁ」


ヴィンが腰を上げこちらへと向かってくる。


「さっきのため息は何だ?まぁなんだっていいや。お嬢が恋愛小説ってねぇ?」

「な、何よ?」

「しかも、内容は…」

「やめて!」


この妙に黒い笑みは何⁈


「わ、分かったわ!何でも言うこと聞くから。お父様には黙ってて⁈」

「分かった。じゃあ俺とこの小説みたいな恋愛しろ」

「はぁ⁈」


まって、何でも聞くって言ったけど命令形なの⁈


「お嬢は人気小説家なのを俺は、お嬢とこんな恋愛がしてみたい。理にかなってるし、さらにお嬢は小説の参考になるだろ?」


まぁ、たしかに言われてみれば、そうだけど。よくよく考えたら悪くない。そろそろ、ネタ切れしそうだったし。お父様にバレるよりは何倍もマシ。


「この花燃ゆる2人って俺たちにピッタリじゃね?」


ヴィンが言う通り、私が書いている小説は執事とお嬢様の禁断愛。だが、駆け落ち寸前でお嬢様の父親に見つかるという。現在ハラハラな展開だ。このあとは、心中かしらと思っている。


「ま、仕事頑張れよ」


そのまま、顔を寄せると私の唇に触れた。


「⁈」

「あ、ファストキス?甘かった」

「な、」

「俺、仕事だから行くわ。いつもの如く鍵かけとけよ?エルシア?」


ヒラリと手を振ると扉を後にした。

私はその日何も書くことができなかったのだった。



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