夏模様
蝉時雨が夏の到来を報じる
公園の柳に腰掛ける
芝生は鮮やかな緑を湛え
天を突くように直立する
遠くを走る一台の白の軽トラが
日を照り返し
ゆっくりと時を刻んでいく
そよ風が汗でへばりついたシャツを引き剥がした
草木が風にざわめく
草木のざわめきが蒸し暑い夏に雪崩る
目の前を蝶が横切った
空を見上げれば
深海の蒼
分厚い雲の海に泳ぐは
真っ白な鯨
黄緑の稲のうえを
トンボの花びらが舞っている
鮮やかな色彩を持って迫ってくる夏に
自らもその一部となり
心まで溶けてしまう
今年も夏が始まり
そして終わる
心の一欠片を残したまま