火事
家に着けば、予想通り、俺の家は取り返しがつかないほど燃えていた。
ほぼ全焼で、周りには多くな野次馬が集る。
「え?、え?、え?、え?」
突然のの事に混乱し、変な声を上げるしかなかった。
家族は大丈夫なのか、これから自分はどうなってしまうのか心配だった。
「まだ、子供が中におるぞ!!」
妹のことだと思った。
二階の窓から人影らしいものが見えた、まだ生きているかもしれない、しかし、淡い望みだった。
しばらくして、救助された妹と母は、
無惨に焼死体になって発見された。
「息子さんですか...、お悔やみ申し上げます」
無機質な言葉や、目の前で、起こっていることに理解が追いつかなかった。
突然の事だった、家族を失った事を、まだ僕は実感出来ずにいた。
赤く燃えている我が家、優しく、女で一人でそだてくれた母、一番大切だった妹、家族の思い出さえも、燃えて消えてしまいそうだった。
しばらくの時間は喪失感に満ちていた。
しかし僕は驚くほど落ち着いていた。
明日から祖母の家で過ごすことになった。
「翔ちゃん、大丈夫? しばらく学校は行かなくていいからね」
「大丈夫、変な気を遣わないで」
次の日
「キーンコーン、すいませーん、翔平くんおりますか?」
「どうしたの?....」
「渡したいもんがあんねん、昨日言い忘れたことなんやけど...ハイ、コレ」
オレは丁寧にピンクの便箋に入れられた手紙を受け取った。
「じゃあね、明日学校来てよ...」
「わかったよ...じゃあな...」
ガチャ
「てか何で、ばあちゃんの家わかったんだろ...まあ、いいやとりあえずコレだな」
中を見ると、外面は拘っていたが中身はシンプルなものだった。
「拝啓。
あなたのことが好きです。明日の放課後、屋上で待ってます、返事をください。
敬具。」
それは飛び上がる程嬉しかったが、今は色々複雑だった。
「キーンコーン 翔太くん、一緒に行こ」
雨が降っていたから、迎えに来てくれたが、互いに気を遣ったのかとても登校は静かな時間だった。
心なしか家にいる時より雨音は大きくなっていた。
自分の席に向かうと机と椅子がなかった。
いつもの場所を探してみても見つからなかった。
先生にも無視され、今日一日はたって授業中を受けることになった。
立って授業中受ける僕は客観的にとても目立つがここでは空気のような扱いだった。
クラスでは僕のはなしで持ちきりだった。
僕の噂は僕を置いて独り歩きしている。
他の人に同情の視線を向けられることはなく、大きな溝を作るばかりだった。
放課後屋上に行くと誰もいなかった、扉を閉めた瞬間いじめっ子グループと葉子が入ってきて、
「オイ!はよ鍵閉めろや!!」
「ハイ!」
バァァン!!
僕は屋上に閉じ込められた。
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