過去編 放課後の約束
「おはよ、久しぶりだね、翔平くんにさ、ちょっと放課後、大事な話があんねん、悪いけど校門で待ってもらえへん?」
僕は授業中も、放課後の呼び出しで、頭がいっぱいだった。
なぜなら葉子はかなりの美少女で、いじめられているのに同情しているのか、他の男子よりも妙に馴れ馴れしかった。
そんな態度に、僕には下心しかなかった。
葉子もチラチラこっちを見てくる。
そして、目があったら遠慮がちに笑いあった。
その春の日のようなピュアな笑顔が僕の期待を膨らませる。
そして、放課後 何故だかわからないが、久々だったので怖気付いたのか、虐めっ子から呼ばれることはなく、今日一日、虐められることもなかった。
「ごめん、待たせた?」
「ふふふ、同じクラスなんだから放課の時間は一緒やから待つわけないやん、おもろいなぁ、翔平くんは」
「ごめん、そうだったよね。」
「ふふ、翔平くん、なんかデート待ち合わせみたいやなぁ」
「ち、ち、ち、がうよ! それよりさ、話ってなんなんだよ。」
「そそ、話って言うのはね、、てか、せっかくやし一緒に下校デート...しながらはなそっか...」
小悪魔のように笑う彼女に、僕は顔を赤くするしかなかった。
「話って言うんわね、謝りたいことがあるねん...、
今まで虐めのこと見ないふりしてゴメン、助けてあげれば良かったのに....」
「あ〜それは大丈夫だよ、もし助けてくれたら君が標的になってしまうだろ...」
「翔平くん、優しいんやね、これからも今までみたいに仲良くしてね...」
互いの匂いを感じれるほどの距離で、甘えた声で、上目遣いをされたら、僕に断れるはずがなかった。
葉子が手を差し出す。
その誘いに答えた僕は、葉子の手をそっと、控えめに握った。
「こんな手になるまで止められんくて、本当にごめん」
その後、初々しく甘美なムードを漂わせ、黙ったまま二人歩いた。
しばらくすると
その沈黙を切り裂くように、聞いたことがないほどの
爆音のサイレンが聞こえた。
「物騒なもんやね、たしかに、ものすごい煙が見えるけど...」
呆然とした。
僕の家の方向であり、位置的にも僕の家である確率が高かった。
「僕の家かもしれん」
「え!!!!」
「ゴメン、いってくる」
互いに汗ばむ程繋いだ手を離して、僕の家に走った。
続きが気になったらブクマとか色々お願いします(土下座)