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6話:こんなキャラいかがでしょうか?

「ちょっとすいません」


 役員決めも、もうそろそろ終わる頃に、教室のドアが開いて国語教師の竹田信弘が入って来た。

 竹田は四十代の中年男性、いつも他人の事情を考えない自己中心的な性格の教師。


「どうかしたんですか、竹田」


 石原が、授業中に突然、あまり現れて欲しくない人物が来たので、竹田を(ほんの)ちょっとだけ睨んで質問した。


 竹田は教師にまで人気がないようだ……。


 今日は五月中旬だというのに酷く暑い。

 外に出ると、日光が体中に注ぎ込んで、血液を沸騰する勢いで温度を上昇させる。

 その割に空気は、日光を浴びても汗は砂漠のように、すぐ蒸発するくらいカラカラに乾いている。

 そんな乾いた空気によく合った竹田の乾いたような目。


 その目に入ったのはヤコだった。


「大変申し訳ないんですが、如月君をお借りできますか?」


 腰に右手を当てて左手でヤコを指差す。

 その表情も相手の出方を窺っているものではない。

 見つめる相手を自分に従わせようとする表情。

 ヤコは、そんな表情が気に入らない。

 いや、ヤコだけではない。

 クラスのほとんどは、そんな竹田の表情に腹を立てて、自分達の睨みを利かした視線を彼に突き刺している。

 でも竹田はそんな事は気にしない。


「ええ、かまいませんよ。おい、如月」


 石原は、そう言って右肘をまげて、腕を持ち上げてヤコに立つよう仕草する。


 竹田には気に食わないが、石原に言われちゃ従うしかないヤコは、席を立ち上がるついでに、座ってた椅子を力一杯後ろに引いて、静まり返った教室に、椅子の脚を引きずる耳障りな音を轟かせた。

 その音に皆は、驚き鳥肌が立ち、険悪な表情になる。

 特に周りのティコ達にはコレは強烈だった。

 しかし、皆と思いきや、敦子はヘッドホンで音楽を大音量で聞いて、燃えているので、音の事さえも気づかなかった(ちなみに今聞いてる音楽は、ボンジョヴィのバッド メディシン)。






「ティコ〜!マズいよ〜!ヤコちゃん竹次郎に連れて行かれたよ!」


「う、うん……。でもどうしてだろ?ヤコは何かしたのかな?」


 一時間目も終わって、次の授業の体育の為に朋子と二人で女子更衣室へ移動中。


 竹次郎というのは、ティコ達が一年生の時に、竹田につけられたあだ名で、名付け親は大介。

 由来はしまじろうから来ている。

 顔は全く似ていないが、しゃべり方にそれっぽさがあるので、ふと大介が口ずさんだのが、かなりウケたのだ。

 それ以降、皆カゲでは竹次郎と呼ばれている。


 その竹次郎に呼ばれたヤコ。

 いくらヤコとて一日に二回も先生に呼ばれる事は珍しかった。


 連れて行かれたヤコの事を心配して、頭にグルグルと渦を巻いていたティコは、朋子が急に話しかけてくるのに、少し遅れて返事をした。


「もしかしたらヤコちゃん二年生と何かあった?」


「……」


 竹次郎は二年A組の担任。


「ホラ、この前何か二年生の間でヤコちゃんの噂があったんだよ」


 並んで、歩きながら朋子が話す。


「噂?どんな噂?」


 キョトンと目を大きく見開いて朋子を見つめるティコ。


 口も、ビー玉くらいの大きさに開いている。


 普段もぱっちりした目がさらに大きくなるこの表情が、ティコのファンの間では一番かわいいと言われてるそうだ。


「それが、よくわかんないだよねぇ」


 そう、朋子は一つの事にしか興味を示さないことが普通だ。

 情報には花の数一つ見逃さない美雪なのだが、彼女は授業が終わると同時に教室から煙のように消えていた。


 と、そんな事を言ってる内に───


「おーい!朋子!ティコ!情報持ってきたーよ!」


 美雪が、後ろから伸ばすところがおかしい口調でこちらに走ってくる。

 走ると言ってもただ足が暴れながら進んでいるような走り方で、例えて言うなら、水泳で言うばた足で走っている。


 この行動からでもわかるが、美雪もなかなかの天真爛漫で、大ざっぱだ。

 顔はかわいらしいのに、これじゃあ子供っぽくてあまりモテない。


 まあ、本人いわく、そんなにモテたくないらしいが……。




 ただいま三人で並んで更衣室に移動中。


「ティコ!あんたのせいみたいだーよ!」※美雪


「?」※朋子


「どういう事?」※ティコ


 伸ばすところがおかしいのは二人共突っ込んで来ない。


「朝にヤコちゃんが石原先生に呼ばれたでしょ?それで───」※美雪




 数分後。


 読者の皆様の察しの通り、ヤコが呼ばれた理由はあの時に絡んできた不良グループの件、先生がかけつけた時には、倒れた四人組だけだったが、他の二年生の目撃証言でヤコがいたことがわかり、竹次郎に連れて行かれたのだ。


 ティコはその事を全部知った。


 自分が原因で四人とモメて、そのまま殴り合いに発展してしまった事を。

 喧嘩はする方じゃなかったヤコだけにティコが知った事はかなり衝撃的だった。


「……」


 話を聞いて、何も言えず俯くティコ。

 今、一階の一年生の教室の廊下で三人は立ち止まっている。

 周りの一年から見れば、かなり邪魔。


「ヤコちゃんはあんまりそんな事しないおとなしい子なのにねぇ」※朋子


「うーん……」※美雪 二人も頭を抱える。


「でも安川の情報なんだからほぼ間違い無いんだろ?」


 ふとどこからか、声がした。


「うん、そうなのよ………って保本?!何でここにいるの!?」※美雪


 声のした方を見ると、そこには汗びっしょりの達弘がいた。


「今グラウンド走り終えて帰って来たところ。話は全部聞いたよ」達弘


「何盗み聞きしてんだーよ!」※美雪


バシッ!


「イテッ!」※達弘


 美雪の平手打ちが達弘の坊主頭にヒット!


(作者よ、そろそろ髪をのばすのを許してくれないか?)※達弘


「とにかく落ち着いて!まず話の整理から」


「何であんたも話に入るんだい!」※朋子


「だって三人寄れば文殊の知恵って言うじゃん!」※達弘


「あたしらとあんた入れたら四人だーよ」※美雪


 …………。



「え?」


 ただいまの状況を効果音で表現します。


シーン……(周りの一年の事は省く)


 いつもよりティコのかげが薄くなっていたので、達弘はティコの存在にすら気づかなかったようだ。


「何でヤコはそんな事したんだろ…」


「「「!?」」」※達、美、朋


 突然、俯いて元気のない声で口を開いたティコ。

 別に悲しいからなどではない。

 なぜヤコが自分の事が原因で殴り合いなどするのかがわからなかった。

 それを考えながらしゃべっている。


「いや、えっと、それは……」※朋子


「愛だ!!愛のパワーだ!!!」


「「「「ビクッ!!!」」」」※達、朋、美、ティ


 後ろからした大声に、四人は文字通り、ビクッとした。


 振り返ると、それは敦子だった。


「あ、敦子ちゃん?!どうしたの急に」※ティ


「悪の手先から愛する姫を守る王子!最高の愛だね」


 ティコの声は聞こえてないようだ。

 まだヘッドホンで音楽をきいている。

 そんな敦子に、周りの一年はチラチラ見てくるし、四人は固まってる。

 外の太陽の光よりも、敦子から漂ってくる熱気の方が、四人には暑苦しい。


「愛こそはすべて……愛こそはすべてなのさ……」


 敦子はそのまま四人を追い越し、周りに熱気のオーラをユラユラ踊らせながら去って行った。


 この通り、敦子は普段はクールだが、時に訳も無くいきなり熱くなったりする。


「敦子ちゃん凄い迫力だったーね!」


オドオドしてる割には笑顔な美雪。


「島田ってちょっと変わってるよな。家でもあんなのなのかな?」


 最初から汗びっしょりだった達弘は、敦子の熱気でさらに汗だくになってしまっている。


「そんな事ないよ。私、あのサングラス取った敦子ちゃん見たことあるけどスッゴくかわいいんだーよ」


「え?安川それ、いつ見たの?」


 首を傾げる達弘。


「そりゃあ、敦子ちゃんはなかなかサングラス取らしてくれないからねえ。でも三年もねばってどうにかこうにか撮影に成功したんだよ!」


 そのねばり強い美雪の性格を証明する発言に、朋子が特に驚いた。


「撮影ってあんた……」


「やあねぇ朋子!ちゃんと本人の了解得てるよ!」


 そう言って朋子の背中をバシバシ叩く。


「イダァ!!何するのよ!」


「ハハハハ!」※達弘


「フフフフッ……」※ティ


 自然と笑顔になるティコ。




「おい!最近俺の出番無いぞ!!」※大介







 更新かなり遅れてしまい、申し訳ございません。

 ちょっといろんな事があって更新できませんでした。

 今後はこのような事は無いと思いますので、皆様どうか僕にお付き合いいただき、評価をくれれば凄く嬉しいです!

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