EP38 メッセージ
「シンが狙われてるってどういうこと!?」
花は状況が飲み込めていない。
「いいかい?あの部屋は密室だったんだ!
マスターキーは使えなかったから、あの部屋を開けるにはシンの鍵を使う必要があったんだ!」
そこまで言って花にも察せられたようだ。
「今、シンが殺されたら罪を被らされちゃう!」
「そういうことだ!急ごう!」
清也たちはシンのいるホテルに駆け込み、部屋番号を知らなかったので、廊下から大声で叫ぶことにした。
「シン!居たら出て来てくれ!」
清也が叫ぶと暗い表情でシンが部屋から顔を出した。
「何だよ、今は1人でいたいんだ。」
シンは落ち込んでいる。
「話がしたいんだ!入れてくれ!」
「あなたの命に関わるの!お願い!」
「まぁ、花ちゃんがそう言うなら……。」
シンは折れた。
部屋に入ると、整理された机の上に、金の延べ棒が三段に積み重なっている。
貸与者一覧リストと書かれたノートと、なにやら難しげな計算やなどが書かれたノートが、その下に敷かれていた。
「えっとそれは……給料さ!」
シンは少し慌てて言った。何かを誤魔化そうとしているようだ。
「単刀直入に言うよ。シン、君は狙われてる可能性がある。」
清也は落ち着いた口調で告げる。
「何だって!?」
「状況的に見れば君は怪しすぎる。
あの部屋に入って、しかも施錠し直せるのは君しかいない。それに……」
清也は言葉を詰まらせた。
「なんだよ?」
「ダイイングメッセージに、君が人狼だって書いてあった。
保安官がすぐに君を探しにくる。だけど、犯人が罪を着せるために、君を消しにくるかもしれない。」
シンは少し震えているが、それは恐れから来るものではなかった。
「上等だ!俺の方が奴を消してやる!俺は逃げないからな!指名手配なんてされてたまるか!」
「分かった。君の無実を証明してみせるよ。……気をつけろよ。」
清也がそう言うとドアが叩かれた。
「バンカーさん!いらっしゃいますか?」
覗き穴から見ると、確かに保安官だった。
「今行きます。」
シンはそう言って扉を開けようとした時、立ち止まって清也に"109号室の鍵"を渡した。
「こいつをお前に渡しとくよ、お前が夜に捜査できるように。施錠されたら困るだろ?」
シンは目くばせした。
「あぁ、任せてくれ。」
清也がそう言うと、シンは花と清也をクローゼットに押し込むと扉を開けた。
「バンカーさん、あなたに逮捕令状が出てます。一緒に来てください。」
保安官は、シンに手錠をかけて連れて行った。
保安官たちが去っていくと、清也と花はすぐに部屋から出た。そして、今後について話し合う。
「これからどうするの?黄金の魔術師は……。」
「まずは、今回の事件を解決しないと……。
直感で分かるんだ。この事件は人狼と繋がっているし、人狼はきっと魔王と繋がってる。」
「清也はシンが犯人だと思うの?」
「まだ分からないけど、少なくともダイイングメッセージを書いたのは、黄金の魔術師じゃないかも知れない。」
「え!?何でわかるのよ?」
「姿勢だよ。彼は殺された時も、発見された時も、椅子に座らされていた。
それなのに椅子の下に書かれているのは、体勢的におかしいだろ?」
「でも、それなら書いた後で、また座らせれば良いんじゃないの?」
「そこまでするなら自分で書くよ。
それに、あそこに書かれたのが自分の名前なら、犯人だって消そうとするだろうし、シンが犯人なら"逆に"残そうとするかもしれない。
被害者が書けない事を逆手に取って、シンが容疑を逃れようとして書いたのかもしれない。
犯人には無限の選択肢がある。それが人狼だとしたら特にね。あのメッセージに信憑性はないよ……。」
「じゃあ、密室の謎はどうなるのよ?やっぱりシンの鍵でしか入らないのかしら?」
「合鍵を使ったのかもしれないけど、一番怪しいのはシンになるね……。
それに、金の延べ棒の山……シンは何かを隠してると思う。」
「夜にあの部屋を操作するなら、私も手伝うわ。」
「あぁ、助かるよ。まずは捜査の基本、聞き込みをしようか。」
清也は花を連れて受付に向かった。




