EP229 悲哀の温度差 <☆>
「勇者が・・・揃ったな!」
「・・・はい。」
「お久しぶりです、エレーナ様!」
「うむ、久しぶりだな。楠木花。」
エレーナの待つ玉座に直接召喚された征夜と花は、既に召喚されていたシンと合流した。
正三角形を描くように並んで跪く三人は、普段よりも畏まっている。
「・・・どうしたのだ?吹雪征夜、顔が暗いな?」
「はい・・・まぁ。」
「何かあったのか?」
色々と有り過ぎて、何を話せば良いのか分からない。
だが、最も悲惨だった事を一つだけ選ぶなら――。
「・・・仲間の一人が、死にました。まだ・・・成人すらしていない少女です・・・。」
「そうか、それは残念であったな・・・それでは、本題に入ろうか。」
「・・・ッ!?は、はい。そうですね・・・。」
涙を呑んで絞り出した征夜の言葉を、エレーナは呆気なく受け流した。
まるで何事も無いかのような振る舞いで、彼女にとっての"本題"へと移ったのだ。
女神からの"深い追悼"を期待していた征夜は、流石に面喰らってしまった。
「君たちは与えらえた使命を全うし、魔王を討伐した。
転生者の召喚条件に則れば、使命を果たした者には報酬と対価を与える事になる。」
「何が対価になるのですか?」
「分からん。」
花の質問に対し、エレーナは首を横に振る。
「お願いを聞いてくれたりするんですか?」
「分からん。」
征夜の質問に対し、エレーナは首を横に振る。
「何も・・・分からないんですか?」
征夜は何処か呆れたような目線を、玉座に座り込んだ女神に向ける。
「君たちの成果に関しては・・・その・・・元老院の方で審議中でな・・・。
私には彼らの判断が皆目・・・見当が付かん・・・。報酬にしろ対価にしろ・・・君たちへの処遇にしろ・・・私には何一つ分からんのだ・・・。」
最高権力者のくせに、「何も分からない」と宣うエレーナに対し、征夜は若干の苛立ちを覚えた。
先代の魔王が言っていた「今の女神はろくでなし」と言う趣旨の発言も、あながち間違いではないのかも知れない。
「取り敢えず三つの部屋を用意した。風呂は特別に、神も使う大浴場を使いなさい。」
エレーナは淡白な応対を終えると、逃げるように玉座の間から去ろうとした。
しかし、征夜の中に芽生えた疑心と苛立ちは、足早に去る女神の背中を逃がさない。
「あの!エレーナ様!」
「・・・なんだ?」
「さっき言った子の、葬式をしたいのですが!」
死に際にすら巡り会えなかった少女でも、自分と共に魔王に立ち向かい殉死した"立派な英雄"なのだ。
魔王を倒した報酬として自分たちが"祝福"を受けるなら、ミサラもその内に入っていなければ変だ。
だが、エレーナの回答はあまりに"冷淡"な物だった――。
「その娘は、魔王を倒す使命を帯びていたのか?」
「え?」
「其方が勝手に仲間に加えたのなら、私の"管轄外"になる。葬式をしてやる訳にはいかない。」
「そ、そんな!」
「魔王を共に倒した英雄なら、地上で葬式くらいは開かれるであろう。それで良いではないか。」
一言で言えば、"事務的"な回答だった。
心が篭っていない返事は、冷淡な口調で投げ返された。
しかし、虚空を舞う女神の言葉は、征夜の心に染み込まない。
「し、しかし!僕は自分の手で!」
「無理を言わんでくれ。君たちは私の部下なのだ。上司として、全ての願いを聞くわけにはいかん。」
「・・・部下?」
自分たちは、いつ女神の部下になったのだろう。
自分たちは、いつ女神の管理下になったのだろう。
喪った仲間の葬式すら挙げてもらえない存在に、いつから堕ちたのだろう。
これでは、まるで"奴隷"ではないか――。
「君たちを統括する私には、膨大な制約と手続きの義務がある。転生者でもない人間の処遇に関しては、私の仕事ではない。
他の者に頼むか、地上に戻ってから個々人で"精算"して欲しい。私とて、暇ではないのでな。」
「・・・はぁ?」
"精算"という言葉が、耳に引っ掛かって離れない。
まるでミサラの死が、"個々人の問題"とでも言いたげな口調に、征夜は納得出来なかった。
彼女は英雄なのだ。
力無き者の為に戦い、その果てに落命した悲劇の英雄。
勇者は征夜だけではない。"双牙の閃刃"、即ち二人が合わさってこそ、世界を救う道が開けたのだ。
そんな彼女の死が、女神には"死者数の中の1つ"に過ぎないのだろうか。
何千・何万と死んだ今回の戦いの中で、彼女だけを特別扱いするのは、確かに変かも知れない。
だが、せめて"天界から与えられた使命"の為に命を賭した彼女には、神からの追悼が与えられるべきではないのか。
何故なら、彼女は"英霊"なのだから――。
「あの?僕たち、魔王を倒したんですよね?それなのに、女神は仲間の葬式も挙げてくれな」
「いやはや、本当に見事な活躍であったぞ征夜!
見込みが有るとは思っていたが、まさか本当に一人で魔王を倒して見せるとは!
仲間の件は残念であったが、それを"差し引いて"も見事な手腕であると私は思うぞ!」
「・・・は?」
「案ずるな!"仲間を一人失ったから"と言って、報酬が減る事は無い。其方には、最高級の栄誉と祝福を与える事を、私が約束しよう!」
「・・・は?」
"差し引く"とは何だ。
"仲間を一人失ったから"とは何だ。
ミサラの命は、そんなにも軽い物だったのか。
征夜はいっその事、「報酬は与えない」と言われた方が嬉しかった。
「仲間を死なせた貴様は勇者ではない」と言われた方が、彼の心は納得出来た。
だが、エレーナの言い分は、彼にとって容認しかねる物だった――。
(やべぇ、この女マジで話通じねぇわ。)
征夜は心の中で暴言を吐き捨てると玉座に背を向け、扉へ向けて歩み出した。
「おい、どこに行くのだ吹雪征夜?」
「別に・・・!」
「ま、待って!征夜・・・!」
女神の呼び掛けに、素っ気無い態度で返答した征夜の後を追って、花は慌てて立ち上がった。
大扉を抜けた先で、トボトボと歩いていた征夜の肩を揺すり、恐る恐る話しかける。
「征夜・・・?」
「花・・・ごめん・・・今は・・・一人にして欲しいんだ・・・。」
「そ、そっか・・・。」
振り返った征夜の顔は、クシャクシャに歪んでいた。
怒りと後悔と悲しみ、やり場の無い感情が渦を巻いて、彼の顔を歪めている。
「征夜・・・気をしっかり持ってね・・・。」
「ハハッ、大丈夫だよ。」
征夜は乾いた笑いを作ってみせると、女神の言っていた宿泊先の部屋に向けて歩み出した。
「・・・ヘラヘラしてんじゃねぇよ。」
花が十分に遠かったのを確認してから、征夜は立ち止まって呟いた。
その声は僅かに震えており、肩と拳には力が入り過ぎて、ガクガクと震えている。
「ミサラが死んでるんだぞ!笑ってんじゃねぇよッ!!!」
征夜は張り裂けんばかりの怒号を上げると、右手の拳で豪奢な壁を殴り付けた――。
~~~~~~~~~~
「アイツ・・・どうしたのだ?」
「さぁ?なんか怒ってましたね?」
「理由は分かるか?」
「何でしょう・・・宴会でウハウハしてる時に、都合悪く呼び戻されたとか?」
「それって、其方の話ではないか?」
「・・・そうですよ!良い所だったのに!」
シンとエレーナは、征夜と花が居なくなった玉座の間にて、色々と話し込んでいた。
シンはどうやら、征夜や花ほど心労を溜め込んでいない。と言うより、あまり気にしていないらしい。
「ハハハ、そう怒るでない!天界の女神は美人揃いだぞ?私ほどではないがな!」
「・・・マジすか!?」
「うむ、本当だ!」
「なんとかゲットしたいなぁ・・・。」
「フフフ♪程々にするのだぞ?色々と厄介だからな。」
「お任せあれ!」
どうやら"程々"なら、手を出しても良いらしい。
耳寄りな情報を聞き出したシンは、意気揚々と玉座の間から出て行った。
「良いところで呼び戻しやがってよぉ・・・仕返しだ!」
色々と楽しむ直前だったのだ。
"続き"を天界の女神でするのは、至極当然な発想だろう。
そんな中、シンはエレーナに言われた"浴場"の前に辿り着いた。
普段は神しか使わない浴場だが、ごく稀に人間の客が入浴する事もある。
その為、女湯・男湯を示す立て看板は、神語と人語で、合わせて"4つの看板"が置かれているのだ。
「・・・おっ、良い事思いついた。」
シンはそう言うと、人語で書かれた二つの看板を入れ替えた。
それ即ち、"人間の男と神の女"が混浴する浴場が、天界にて顕現した事を意味する。
「ククククッ、これで俺は女湯に入れる!我ながら天才だな!」
バレたらタダでは済まないが、後からいくらでも誤魔化せる。
ハイリスクだが、ハイリターンなギャンブルだ。
賭けない理由が無いと悟ったシンは、バスタオルを取る為に部屋に向かおうとした。
だが駆け出す直前になって、ある事実に気付き、彼は慌てて立ち止まる。
(一応、まだ戻しとくか。俺が居ない間に男が入ったら、ハーレムが台無しだ。)
彼が目を話した隙に、他の人間が女湯に入る。
それでは、せっかくのハーレムが台無しも良いところだ。シンはそう思い、看板を元に戻してから颯爽と走り去った。
そして、シンの読みは当たっていた――。
「はぁぁぁ・・・。」
彼が居なくなった数秒後、征夜は暗い廊下の奥からフラフラと歩いて来た。
その足取りはまるで亡者のようであり、一切の精気が感じられない。
「風呂・・・ここなら・・・良いか。」
征夜は何かを思い立ったように不穏な言葉を並べると、バスタオルもシャンプーも何も持たず、吸い込まれるようにして男湯に入って行った。
そして、その直後――。
「待ってろ女神ぃーッ!いやっほぉーッ!」
征夜とは正反対に、活力の満ち溢れたシンは看板を入れ替え、"新たな男湯"に飛び込んで行った――。
~~~~~~~~~~
「・・・あら?」
「え?女!?」
(よし、成功だ!)
シンの目論見は、見事なまでに成就した。
シャワーを浴び終えて湯船に浸かっていたシンの元に、一人の女神が現れた。
身長はシンより少し高い、おそらく170㎝ほど。
眩いばかりに輝く美しい金色の長髪と、栗色の瞳の女神だ。
「うわっ、URだ・・・。」
現れた女神は、目の肥えたシンから見ても最上級の美貌。絶世の美女と呼ぶに相応しい女性だった。
彼の中で、これまでの最高点は"セレア"だ。彼女には友情を超えた情を感じていたので、それを上回るとすれば"結婚相手"くらいだろう。
だが、目の前の女神はセレアに次ぐ美女だ。
恋愛感情を抜きにして、なおかつセレアを"殿堂入り"とした場合ではあるが、彼女は間違いなく他に類を見ない美貌を持っている。
「えっ、あっ、申し訳ありません!私、入るお風呂を間違えてしまったみたいです・・・///」
「うーん・・・どうやら、人間用の看板が入れ替わってたらしいな。」
シンは白々しく嘘を吐き、無垢な女神を完璧に騙した。
「ど、どうしましょう・・・あちらには、殿方がいらっしゃるのですね・・・。」
「取り敢えず、看板を元に戻そうぜ。」
征夜が既に入浴しているとも知らないシンは、彼の乱入を避ける為に、外へ出て看板を置き直した。
「これから・・・どうしましょうか・・・。
向こうには入れないし、あなたを追い出すのも忍びないですわ・・・。」
「お前はどうしたいんだ?」
(あー、勝ったな。コレ。)
この女神は中々に優しい。女湯に入っている男など、たとえ事故でも追い出すのが普通。
そこを見逃してくれるのだ。お人好しにも程がある。おそらく、押しにも弱いだろう。
「え、えーっと・・・もう脱いでしまったので・・・外で待つのは辛いですわ・・・。」
「しゃあない、一緒に入るか?」
「・・・フフッ♪ご一緒しても構いませんか?」
シンの誘いに対し、女神の表情は一挙に晴れた。
外で待たされるくらいなら、その方が断然マシのようだ。
「おう、お前ぐらいの美人なら大歓迎さ!」
「またまた、調子の良い事をおっしゃいますわ♪・・・それでは、失礼致します♪」
女神は優しく微笑むと、全身をタオルで覆ったまま湯船に浸かり込んだ。
「それにしても人間さん、どうして天界にいらっしゃるのですか?何か使命でも?」
「実は俺、転生者でさ。たった今、魔王を倒して来たんだよね。」
「えぇっ!?魔王!?その話、是非聞かせてください!」
「おう、俺を"シン様"って呼べば良いぞ。」
実際にラースを討ち滅ぼしたのは、征夜と花だ。人命救助に尽力したミサラはともかく、シンは大した活躍をしていない。
その割に、自らの手で魔王を倒したとでも言わんばかりの態度が取れるのは、もはや"詐欺の才能"だろう。彼は顔色一つ変えずに嘘を吐く術を、十分に知っているのだ。
「シン様!お願いします!」
「良いだろう!・・・もうちょっと、こっちに寄れるか?」
シンはそう言うと、隣に座り込む女神の腰に手を回し、強引に抱き寄せた――。
~~~~~~~~~~
「俺の話はこんな感じだ。今度は、お前の話を聞こうかな?」
「えぇ、何でもお聞きください・・・!」
花から聞いた征夜の活躍を余す事なく語り、"彼と共に死闘を繰り広げた"と嘘八百を並べたシン。
多大な脚色を加えた冒険譚を語り終えた彼は、話題を相手の女神に振った。
「へぇ!25歳!俺より二つ上か!でも女神としては、かなり若い方なんじゃね?」
「そうなります・・・♪」
「モテるだろ!?」
「実は先日、フラれたばかりですわ・・・。」
「ふ〜ん・・・彼氏は惜しい事したなぁ・・・!」
シンは不敵な笑みを浮かべると、本気で女神を口説きに行った――。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「それでは、部屋で待っております・・・シン様・・・///」
「おう、俺もすぐ行くぜ。」
女神は軽く会釈すると、湯船を上がって服を着た。
恋人にフラれた彼女は、一人寂しく夜を過ごすつもりだった。だが、今夜は"ワンナイト"の誘いがあったのだ。
最初は拒む素振りを見せていた彼女だが、結果は言うまでも無い。最終的には、シンに押し負けてしまった。
「シン様、早く出てこないかなっ♪」
女神は鼻歌混じりに歩み出すと、期待に胸を膨らませた調子で、大浴場の暖簾をかき分けた。
「出て来たか。」
「だ、誰ですか!?」
女神の目前に、謎の黒衣の男が突如として現れた。
彼女より高い目線から見下ろし、顔に巻き付けた布を透けて、二つの球体がギラギラと輝いている。
そこに居たのは、"オデュッセウス"だった――。
「えっ、あっ・・・は、はっ・・・あ・・・!」
「ん?・・・あぁ、怖がらせてしまったか?」
女神はその美しき眼に涙を溢れさせると、力無く座り込んだ。恐怖で腰が抜けてしまったのだ。
テセウス本人に彼女を威圧する気は無かったが、温室育ちのお嬢様に"武神の覇気"は刺激が強すぎた。
「こ、ころ、殺さないれくらひゃい・・・!わ、わらし・・・悪い事・・・してませ・・・!」
「安心してくれ。別に殺しに来た訳じゃない。」
テセウスは優しく声を掛けると、倒れ込んだ女神を助け起こすために手を伸ばした。ところが、その手は払い除けられてしまう。
「・・・ひぃっ!や、やめてくらさい!ら、乱暴する気でしょう・・・!」
「う~ん・・・そんな気は全く無いんだが・・・ちょっと、手荒く行くぞ?」
「な、何を!?何をする気なのですか!?い、嫌!や、やめてくらさ!」
死の恐怖に震えながら、抜けた腰で後退りする女神。
テセウスはそんな彼女を見下ろしながら、ゆっくりと顔を覆う布を取った。
<金入俊彦から聞いた話を、余すことなく伝えろ。>
「・・・は・・・い・・・。」
テセウスが透き通るような声で呟くと、彼の瞳は鮮烈な光を放ち、逆に女神の瞳からは光が失われた――。
その後、女神はまるでステレオのように、シンから聞いた冒険譚を淡々と語り出した。
テセウスは彼女に危害を加える事はせず、真剣に話を聞いていた。
「第二の永征眼を開眼・・・予定通りだな。これなら、"コスモエイジ係数"も"destiny1.5"は超えている。」
謎の単語を並べ立て、テセウスは満足げに頷く。
「"未完成の気導弾"を習得して、ラドックスを始末。・・・よし、奴に付けてやった稽古も、多少の役には立ったか。」
ラースが征夜の動きを見切っていたのは、"普段の征夜"の技を徹底的に叩き込まれていたから。
逆を言えば、ラースを打ち破るには"普段とは違う征夜"になる必要がある。そうなれば自然と、彼は"修羅の瞳"を開眼出来るのだ。
主人公は、"ボス"を倒して強くなる。
ラースはテセウスにとって、征夜が強くなる為の"舞台装置"だったのだ――。
「・・・妙だな。シンの嘘を抜きにしても、"流れが少し違う"・・・?
どう言う事だ?ミサラの事に気付いたのは、地上に戻ってから・・・まぁ良い。怯えさせて悪かったな。」
テセウスは優しく謝ると、女神の視界を一瞬だけ隠すようにして、右手を彼女の顔前で軽く振った。すると、彼女の瞳には瞬時に光が戻った。
「あれ?先に部屋に居るんじゃ?」
テセウスが女神の意識を戻した直後、背後からシンの声がした。
我に帰った彼女が振り返ると、彼は不思議そうな顔をしている。
「・・・え?あ、はい・・・何だか、ボーッとしちゃって・・・。」
「まぁ良いや、行こうぜ!」
「はい・・・シン様・・・ちゅっ♡」
甘いムードに包まれた二人は口付けを交わすと、シンの部屋へと向かった――。
~~~~~~~~~~
「最近、コイツに頼り過ぎてるな。」
テセウスは、廊下を勇み足で進みながら、天界の正門を目指していた。
疲れた眼球を癒すように、瞼の上から指で揉みほぐしている。
「おい!誰だお前は!止まれ!」
<黙れ。>
「はい。」
門番を瞳術で瞬時に絡め取ると、応援を呼ぶのを中止させた。
そして、開け放たれた巨大な門を悠々と通り越して、眼下に広がる雲海に向けて飛び降りて行く。
「永遠を征する・・・か。確かに、人の心は永遠だ・・・。」
テセウスは疲れたように呟くと、握り締めた黒い布を顔に巻き付け、自身の瞳術を封印した――。
今回のアルファ版です。
過激なシーンの加筆と、微妙なストーリー分岐です。
オデュッセウスのセリフが、少しだけ違います。
↓
https://www.alphapolis.co.jp/novel/115033031/408542049/episode/6357155
分岐とは別に、「せっかくシリアスな展開なのに、サービスシーン(?)かい!」と思われる読者様も居ると思います。
ですが、それも引っくるめて「ミサラに対する温度差」を感じて頂けると幸いです・・・!




