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『無頼勇者の奮闘記』〜無力だった青年が剣豪に至るまで〜  作者: 八雲水経
第四章 マリオネット教団編(花視点)
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EP106 漂着


「う、う〜ん・・・。ここは・・・?」


 シンと共に破海竜に乗ってシャノン近海から離脱した花は、波打ち際で意識を取り戻した。

 空は暗く、時間の感覚がない。


「どれほど寝てたのかしら・・・?

 シン、起きて。私たち生きてるわ・・・アハハハッ!!!アンタ何やってるのよ!」


 花はシンを見つけようと辺りを見渡した。するとそこには・・・


「ああうあ"いえうえ!!!えおっえおっ!」

(はやくだしてくれ!!!ゲホッゲホッ!)


 シンが逆さ向きに地面に突き刺さっていた!

 誰がどう見ても滑稽な様子に、花は笑わずにはいられなかった。


「ごめんごめん!すぐ出すわ!」

 花は慌ててシンを引き摺り出した。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「ふぅ・・・。死ぬかと思った。・・・あれ!?」

 シンは深呼吸をすると、自分の体に起きている異変に気が付いた。


「・・・!!!あ、足が・・・生えてるぞ!!!」


「嘘っ!?」


 その事実に二人とも驚愕した。

 確かに、シンに生えている足は義足ではなく生の足である。

 花は急いで水晶の杖を確認したが、魔法を放った履歴は無く、エリクサーの雫も杖の中に残っている。


「一体誰が・・・?」

 花は必死に答えを探したが、結局何も分からなかった。




 そもそも、シンの足はシャノン近海を離脱する前に雷夜が治していたのだが、本人たちはそんな事知る由もない。


「まぁ、何でも良いわよ!足は治ってるんだし!!」


「そ、そうだな!よっしゃあぁぁっっ!!!」


 二人は雑に納得した。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「・・・ここは何処なんだ?シャノンじゃ無さそうだが・・・。」


 シンはついに、現在地について調べる事にした。

 背後にはヤシの木が生い茂り、波打ち際の砂は温かい。

 天気が悪い為に気温は低いが、恐らくここは熱帯に属する地域なのだろう。


「ちょっと寒いわね・・・。」

 花は身震いしながらシンに同意を求める。

 しかしシンは・・・


「そうか?別に寒くないぞ?」

 筋肉の鎧に覆われているせいで、殆ど寒さを感じていなかった。


「寒いわよ・・・。海も凍ってるし・・・え?凍ってる・・・?」

 花は海辺だと言うのに、波の音が聞こえないのは変だと思っていた。

 しかしまさか、その理由が凍っているからだとは思っていなかった。


「変だな・・・。ここは熱帯のはずなんだが・・・?人力で海を凍らせられる奴なんて、いる訳ないし・・・。」

 シンは、現状に関して一般的な見解を述べた。


 普通に考えて、魔法すら使わずに海を凍らせる者がいるのはありえない。

 しかし、あの男は完全に常識から逸脱しているのだ。そんな理屈が通じるはずなく、海が凍っているのは夜閃斬発動の余波である。






「・・・何か来る!伏せて!!!」


「えっ?うわっ!!!」


 考えに耽っていたシンは突然、花によって地面に伏せられた。

 そしてすぐに、水平線の彼方で小さな閃光が灯り・・・。




ドガァァァンッッッッ!!!!


 巨大な爆発音と共に、海が()()()()()()

 シンの頭上、僅か10センチの場所を熱風が弾け飛んでいく。伏せていなければ、間違いなく即死だっただろう。


 水平線より発せられた炎の渦は、数分間にわたって燃え続けた。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「一体・・・何だったのかしら・・・?」


「あんま気にしない方がいいな。・・・嘘だろ!?雪降ってきたぞ!?」


 辺りを見渡すと、確かに小さな雪の粒が降って来ている。


「異常気象なんてレベルじゃ無いわね・・・さ、寒い・・・。は、早く、暖まらないと・・・。」


「取り敢えず、この島が無人島で無い事を祈ろう!」

 シンは両足で地面の感覚を噛み締めながら、意気揚々と民家を探し始めた。


「さ、寒い・・・。くしゅんっ!」

 雷夜はガタガタと震えながら、ヨタヨタとした足取りでシンの後を追った。

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