表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/80

裏切り者ここに慟哭す

ここは神聖教会の墓地。

帝宮を見晴らせる小高い丘陵に積み重なった神聖ヴァチカニア帝国禁軍の亡骸(なきがら)は、只のひとつも持ち出せなかった。

形見の品ですら鉄片ひとつ持ち出せずに生存者は全軍撤退を余儀なくされた。

皇帝、皇后ですら例外ではなかった。


空と地面を毒々しく覆い尽くす蟲の大群が、ヴァチカニアの小高い丘を覆い尽くし、金属まですべてを食らって何処かに去ったのだ。

ザンパーノが即座に警告した通りだった。

()()()()()()()()! すべてを捨てて退却せよ。遺品の持ち帰りは許さない」

と、説明を省いて大号令をかけた。撤退の角笛すら、吹いた直後に捨てさせた。

捨てない伝令兵はザンパーノ自身が問答無用で斬り捨てた。

「すまない、おまえの躊躇(ちゅうちょ)で何人も死ぬんだ」

と言いながら。ザンパーノにしては上出来の説明だ。


ザンパーノ麾下(きか)の騎士たちは敗走しながら声を限りに泣いていた。

父を、兄を。

いずれ(しい)して当主の座を奪い取ってやると無意識の昏い野望を抱いていた、若さゆえに残酷な雛鳥たちが、身も世もないような慟哭の大音声をあげながら、ひたすらに逃げる。父や兄の亡骸が、蟲の大群を足止めしていた。

餌として。


帝宮の地下牢に捕らえていた次世代皇帝の婚約者・ジェルソミーナ元侯爵令嬢の拘禁区画を中心に大爆発を遂げ、姉のローザは直前に逃亡して追っ手を全員抹殺し行方不明になっている。

追っ手諸共蟲の大群に喰われたという目撃証言もあるが、ローザのやる事だから全く信用できない。欺瞞である可能性が大だ。

少なくともザンパーノはそう考えている。


今回の大惨事を、規模は読み切れなかったとしても予見していたとしか思えないザンパーノが、姉ローザに対する懸念を手短に漏らす。


妹ミーナを何らかの形で大爆散させ、帝宮はおろか充分距離を取っていたはずの皇室禁軍本陣まで鏖殺(おうさつ)した。と、誰とはなく決めつけた。

そして今まさに、元侯爵令嬢ローザの操る蟲の大群が、ヴァチカニアの丘を地獄色に染め上げているのだ。

誰もがそう思った。


実質唯一の生き残りの皇族ザンパーノは、正解したのだった。もちろん過程は全く説明がつかない。このままヴァチカニアはザンパーノを中心に挙国一致で強力に糾合していくだろう。

()()()()()()()()()()()


★ え?!☆


「ここで感想をお願いしない」

「感想がいらない人と思われる」

って本当だったんですか!

ぜひぜひ感想と、心動かされたキャラクターをお願いします!

その軽い感想が、筆者のやる気に直結します!

これからもよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ