第七話 いい最終回だった。
おはよう。ところでこのゲームって服汚れないのだろうか。まあそんなところ作り込む必要ないか。頭ベタベタしないってことは汁とかオイルとかエキスみたいなものは分泌されないのだろう。マニアには気の毒だが。ちなみに怪我はレベルが爆上げした瞬間完治してしまった。レベル上がったときってHP満タンだったらHP満タンのままじゃん? つまりHP5/10がHP6/11となるじゃん? 俺の場合HP5/10がHP67516791346461/67516791346466になりました。そりゃ治るわ……。
というわけで今日は冒険をしよう! ……と思ったけど俺もう強いじゃん……やることないやん……。ぴえん。
そうだ、村を出よう。こんな村……! こんな! 壊れちゃった……私のステータス……。決めた! 俺じゃなくてミロスラヴァを育成しよう! 強くなりたいって言ってたし。もちろんバグとかじゃなくて正当な方法でね? ほんとだよ? 思い立ったが吉秒、ミロスラヴァー!
◇◇◇
ミロスラヴァがいた。俺は駆け寄ってその手を取った。
「ミロスラヴァ! 俺と一緒にこの村を出よう!」
「ロ、ログアウトさん? お怪我は……?」
「神の天啓によりコンマ02秒で完治した」
「ええ……?」
「ミロスラヴァ、言ったよな、強くなりたいって。強くなろう! 俺が強くしてやる!」
「強くって……そんなのどうやって……」
「ここに石が落ちている。これを……こうじゃ」
昨日左手で投げたボールはヘナチョコプーだったが、真の力を解放したマイライトアームは、石ころを海に向かって投げ……あっだめだ蒸発した。あっつ。
「ログアウトさん……あなたは炎の魔法も使えたのですね……!」
目がキラキラしているが、そうではない……そうではないんだ……。いや、別に都合は変わらないからいいんだけどさ。
「そうだミロスラヴァ。俺は実は本気を出せば強いのだ。怪我したのはちょっと体調が悪かったからだ。具体的に言うと持病の熱喉鼻と頭痛と心臓病と全身筋肉断裂してたからな……」
「え……それでは安静にしていたほうが……」
「いーーや天啓で治った。12秒で」
「怪我よりも重かったのですね……」
「とにかく冒険だ冒険! 人生は冒険や! 白い明日が待ってるぜ!」
「で、でも……村のことを考えると……」
「バッキャロー!!!!!!」
「むふっ!?」
俺はミロスラヴァの顔面を思い切り殴った! もうすっごい。とてつもない回復量がミロスラヴァを襲った。どんな感じなん? 仙豆飲んだ感じ?
「俺は今『村人』に話しかけているのではない……ミロスラヴァ、お前に話しかけているんだ」
「ふぁい……なんだかすごくぽかぽかします……」
「お前はお前がしたいことをすべきなんだ。楽しむことが人生の最大最高最上最優先事項なんだ。お前はどうしたい?」
「わたひは……せかいをみたい」
「うん」
「つよくなりたい」
「うん」
「しあわせに、なりたい」
「よーしじゃあ行こう今すぐ行こうというかもう行ってる」
俺のありあまるステータスはミロスラヴァを抱き抱えると、駆け出す前にもう着いていた。怖。改まった場だ、トイレノックではなく三回ノックしよう。触れた瞬間扉は爆散して粉末になった。まあいいや!
「村長! ミロスラヴァは、俺と結婚します!」
「ブーーーーーーー!!!!」
「ロ、ログアウトさん!?」
村長は謎の茶を吹き出した。飲んだことあるけどクソ苦い。健康にはよくないと思うよ。
「というわけで、ここでお別れだ! ミロスラヴァは、世界最強の(俺は除く)召喚士になってから帰ってくる! 村の人にはよろしく言っといてくれ、じゃ!」
爆速で退室した。風圧で屋根飛んだ気がするけど多分気のせいなので気のせいだ。素早さのステータスが上がったせいで行動も素早くなっている気がする。草。
「ミロスラヴァーーーー! お前に足りないもの! それは情熱思想理念頭脳気品優雅さ勤勉さ! それは全部足りてた! 唯一足りないもの、それは……速さが足ゲホっ虫が口に……今ここどこ!?」
「少し、速くて、見えな……」
「え!? スコ市ハヤ区テミエナ!? どこの国!?」
「私の知らない場所……」
「ならよし!」
「どこに、行くんですか?」
「ここではないどこでも!」
「それは、楽しみです」
「楽しみじゃない! 今楽しいかどうかだ!」
「……楽しいです!」
「なァらよし!!!! 飛ばすぞ!」
なんだか飛べる気がした。ジャンプした。
ダン!
高い高ーいいや高すぎて怖い……。落ちたときのこと考えてなかった。怖くてヨッシーばりのふんばりジャンプを試みたら、思いの外できてしまった。鳥人間コンテスト優勝。でも外からみたらエアリアル・エア・エアロバイクって感じ。空飛ぶ空漕ぎ人間というつもり。
「あはははははははは!!!!」
「ミロスラヴァー! 楽しいか!?」
「楽しい!!!!」
「ならよしーーーー!!!!」
「まずはどこ行きますか!?」
「大陸の端から!」
「じゃああっちです!」
「じゃあそっちだ!」
「さようなら、パナナ村!」
「さようならバナナ村!」
「バナナって何ですか!?」
「バナーナのことだ!」
「あははははは!! バナーナはバナーナですよ! バナナじゃありません!」
「それもそうだな! ハッハッハッハッ!!」
戦いは冒険じゃなくなったけど、今最高に冒険している気がした。伏線? こまけえこたあいいんだよ! 後のことは後の俺が解決するんだ! 今は今を楽しもう! さようならパナナ村! いつか帰るさ! 暇ならな!
優先度「-」のステータスウィンドウを確定1ダメージのどくばりで全力で叩いたらバグった経験値が入ってきた話 〜TIKUTIKU DENGEROUS〜 続く
短編でいい気がしてきた




