第五話 ひつまぶし
目が覚めると、痛みが若干和らいでいた。歩けるようになった。回復が速い……仕様かな。よし、外に出よう。
何しようかな。まだ戦うことはできないので、遊んでいよう。釣りとか。
「へーいーちょー。あーそーぼー」
「取り込み中だ、村長のところに行け」
絶倫……。ユーリアさん大丈夫かな……病み上がりなのに。
村長のところに来ました。
「そんちょー。退屈だー」
「おお……何といたわしい……ちょっと待っとれ……」
村長は釣竿を出してきた。
「これで……暇を潰すといい……釣りは……いいぞお……」
村長がなんか言ってるけど釣りにいこーっと。受け取って釣りポイントを探しに行くことにした。水ポケモンがいないとなみのりできないからね。
しばらく釣りをしていたが、全然釣れない。いや、俺が釣りをしたことがないからかもしれないが。ワカサギくらいしか……。
海を見ながら黄昏ていると、ジャリボーイズが寄ってきた。何も言わずにボールを差し出してくる。サッカーか? 俺も何も言わずに付いていくことにした……。
「おいお前それ絶対オフサイドだろぉ! オフサイドはイエローカードだろぉ!」
負けるのが悔しいので、名前だけ知ってるルールを持ち出していちゃもんをつける。だめだこいつ。子供達も何言ってんだこいつって感じ。やな感じー。
「サッカーの時代は終わりだ。これからの時代は野球だ。棒と球と手袋持ってこい!」
子供達に野球を教えることにした。野球部じゃないけど。俺は打つだけ、右手は添えるだけ……それはバスケ。それは左手。
おかしい。野球を知っている俺より教えたばかりの子供達のがうまい……。はい、野球はクソゲー。サッカーも。釣りもだ。ちぇっ。老兵は消え去るのみってね……。
暗くなってきたので帰ろっと。お腹すいた。村長の家にたかろう。や、ミロスラヴァのご飯を食べたいからなので。決して魚を釣れなかったし他に相手してくれる人もいないからではないので。へーちょはナニだし。
「ミロスラヴァーお腹すいたー」
「あ、ログアウトさん。持って行こうと思ったのですが、いなかったので」
「クーーーー聖母すぎて網膜が焼け焦げた」
「だ、大丈夫ですか?」
「今大丈夫になった」
「???」
「おかわりを、頂こう」
「まだ食べてもいないのに……?」
「いただきます」
「ご飯はまだですよ……?」
ミロスラヴァママをおいしくいただきたい……。ぴえん。
というわけで今晩はミロスラヴァママのご飯で優勝していくことにするわ……。
「いただきまーーーーす」
「いただこう……」
「召し上がれ♪」
この村の主食はポテイトだ。ポテトですかと村人に聞くと誰もがポテイトだと答える。こだわりでしょうか。いいえ、誰でも。ハムッハフハフッハフッ! 明らかにポテトである。
「これはポテトですか?」
「? ポテイトですが?」
それでも地球は廻っている……。後は魚介類と茹でた野菜である。香味野菜のスープも添えて栄養バランスもいい……。俺が食べやすいように素手で食べれる工夫がしてあった。すごくありがたいが、あーんしてくれたほうがよかった……。この世界の食事水準を下げなかった幾島旭を評価したい。実際に会ったら顔面に生のポテイト投げつけるが。
「ごちそうさまでした」
「ご馳走じゃった……」
「ごちそうさまでした」
「おいしかったよ」
「そうですか? ありがとうございます」
「ではおうちに帰ります……」
「はい。朝ごはんは要りますか?」
「いや、昼だけでいい……」
「わかりました。持って行きますか?」
「ここで食べたい」
「そうですね。私もその方がいいと思います」
「ではよい眠りを……」
「よい眠りを……」
お別れはいつも寂しい。




