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異世界HATEはくだらない  作者: ライター
3/3

使徒の救い3

ドゴッ!ドスッ!ボゴッ!ガッ!

「ゲホッゲホッ…ゔっ!」ドガッ!

「ふ〜すっきりした。

また来るわね。」


そう言って何度も僕を蹴って笑っていた女は、何処かへ行った。


「痛い 痛い」 どれほど叫んでも止めることはなかった。それどころか、むしろ楽しんでいた。

悲痛に歪んだ顔を見て。


許せない。絶対に。された事全て返してやる。

そして、最後に……殺してやる!

指を一本一本丁寧に潰してやる。自慢のような綺麗な顔をぐちゃぐちゃにしてやる。

「殺してください」と、懇願させてやる。

そして、最後に……殺してやる。

腕を目の前で跳ね飛ばして…



「キャァァァァ! 痛いです! もうやめてください!」


奥の方から悲鳴が聞こえる。

女性の声だ。僕の他にもいたのか。可愛そうに。


「はぁ やっぱり苦手だなぁ 女の悲鳴は」

聴いてるだけで頭が痛くなる。そして

心も痛くなる。


「いつになったら終わるんだよ。 これ…」


終わりの見えない絶望に言葉を失う。生きることを諦めて死んだのになんでまた絶望しなければならないんだ。

「そういえば、必ず助けるって言ってた女がいたなぁ」


助けてくれるって言ってたのに。

裏切ったのかよ。本当に女ってのはクソばっかりだなぁ。


カツーンカツーン


またか。またやられるのか。また僕は…


ドサッ!

突如目の前に何かが投げられた。それは人の形をしていた。そして、それには見覚えがあった。


「この女、あなたは知ってるわよね。」

場を凍らせるような声で喋る。


確かに知っている、この人は最初に食べ物を持ってきた女だ。そして、助けると言った女でもある。何故すぐに気づけなかったのには理由がある。あの時会った人とは思えないほどの変貌ぶりだったからだ。


見えるところの爪は全て綺麗に剥がされている。

指は折れているのや引きちぎられているのもある。身体中に数えきれないほどの傷がある。

傷と呼んでもいいのかと思得るほどに肉がえぐれている。顔は原形をとどめていないぐらい腫れている。


僕は、なんて傲慢なことを考えていたのだろうか。こんな酷い目にあっている人に助けを願うなんて。恥ずかしい。自分が一番の被害者だと勘違いして助けてもらえるのは当たり前と思っていた自分が恥ずかしい。今すぐにでも喉笛を突いて…


「こっちを見なさい」

「は?」

ブシュッ

右の目が真っ暗になって何も見えなくなった。「ウギャァァァ‼︎ 目が…目がぁ…」

痛い!

身をよじるほどに。こんなことならいっそのこと殺してくれ。心のそこからそう思う。

目の痛みに悶絶していると


「逃げ…て」

「逃げて…くだ……さい。早く 逃げて!」

その人は後ろに立っている女に飛びかかる。

「は?」

困惑する。まず、どこに逃げればいいのかわからない。それにあんな傷を受けて動けるなんて。

「ゲート! 早くその穴に飛び込んでください!」

その掛け声と共に、紫色の円形をした輪が現れた。その穴の中には海岸が見える。どういう原理だこれは!理解が追いつかない。


「早く!」

僕に暴力を振るい続けた女を押さえつけて言った。

「貴方は!」

傲慢なことを願ってしまったせめてもの償いに…

「私はコイツを押さえているから、早く!

もし、そちらで姫とあったら“危機が迫っている”

とお伝えください!」

「さっきからごちゃごちゃと…黙りなさい!

我が力を持って切りきざめ! エア スラッシュ!」

ただ 佇む僕に空気の刃が襲いかかる。

「危ない!」ザシュッ!

僕を穴に向かって突き飛ばした。

ドサッ。「…っつっっ。」

砂浜に腰を打ち付ける。痛みはあるが、我慢出来ないほどではない。そんなことよりもあの人は!

穴の先は………ただただ、赤く染まっていた。

すぐに穴は消えた。


僕は立ち尽くしていた。だからあの人が犠牲になった。

僕のせいだ。僕があの時すぐに逃げていれば、助かったのかもしれないのに。悔やんでも悔やみきれない。この命を投げ打ってでも…

ふと あの人の言葉が脳裏をよぎる。

「もし、そちらで姫と会ったら………ください。」

姫? この近くに誰かいるのか?

希望が湧いてくる。

「だれかー! だれかいませんかー!」

叫んでも反応がない。

誰もいないのか?そう思った瞬間。

ガサッ

林から音がした。誰かいる。

「よかった。どうか助けてくれませんか!。」

とりあえず事情を話して助けてもらおう。


ザシュッ!


音が聞こえる方へ駆け寄る。

目の前に腕の形をしたものが落ちてきた。

ドサッ

「は?」

見覚えのある。腕

これは、僕の?

「アアァァァァァ‼︎‼︎」

痛い痛い!

血が止まらない。

痛さで立っていられない。

「なん…で」

目の前で立つ物体に驚愕する。

そして、もうひとつの事実に気付き絶望する。


ここは日本なんかじゃない。


僕の腕を跳ね飛ばしたのはツノの生えたイノシシだ。それも、炎をはいている。


魔法を使う動物はどの世界にいるか僕は知っている。


そう、異世界だ。


剣と魔法の世界。僕はラノベが好きで、特に異世界モノは大好物だった。

だが、この展開はいくらなんでもないだろう。

「グオォォォ!」

もう、だめだ。殺される!


「ファイアボール!」


突如現れた。青年はツノの生えたイノシシを炎で包み込んだ。

その青年は駆け寄ってきて。

「もう大丈夫です。って 傷が!

早く!治療班!急げ!出血が止まらない!」

ああ もう死ぬのか。ろくな世界じゃなかったな。意識が薄れていく。

僕はそっと目を閉じた。


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