使徒の救い 2
城の地下
薄暗い牢獄の中で行われる一方的な暴力に悲痛の声が何度も響く。
「やめ……っ!」ドスッ…鈍い音がして俺は倒れた。「っつぅぅ…うぐっ!ぐはっ!」倒れた僕に嬉しそうに何度も蹴りを入れてくる。尖ったヒールの先で腹を狙って。バキッ!グキッ!身体から変な音が鳴る。意識が朦朧としてきた。痛みもだんだん感じ無くなってきた。「まぁ、今日のところは最初だからこのぐらいにしてあげるわ。明日からはもっと楽しくなるわ。って聞いてないわね。」
…………「ゲホッ!ゲホッ!はぁ、なんだったんだよ。あの女。」抑えきれないほどの怒りが湧いてくる。いきなり蹴ってきやがって。全身が痛い。激しく痛いし腹も減った。ただ不思議なことに体には傷がない。傷もないのに僕は痛いと感じている。…
すると、奥の方から「大丈夫ですか?」近づきながらその人はやってきた。「誰ですか?」相手が何者か分からない時は丁寧に話すことが重要。
「私はあなたの体調管理を任されました。セレン ブロミネスといいます。お目覚めになられたようなので食事を持ってきました。」メイド服を着た20代の女性がパンのような物と水の入ったコップをおぼんの上に乗せて立っていた。
「あの、助けていただけませんか?僕自殺したはずなのにこんなところにいて、しかもいきなり蹴られたんです。お願いします。僕を助けてください。」目の前に現れた希望にすがりつく。
「申し訳ございませんがそれはできません。」即
断られた。「なんでですか!?」困惑する。「あなたを助ければ、私は殺されます。」「そんな。」その言葉に愕然とする。「ですが心配なさらないでください。きっといつか私があなたを助けます。ですから今日はもうお休みになられてください。」「そう……ですか。はい、分かりました。絶対に助けに来てください。」
無言のまま彼女は去っていった。パンと水を口につめて、よこになる。目を閉じて心の底からこれは悪い夢だと願う。
「さあ!起きなさい!」ドスッ!無防備に寝ている僕に蹴りを入れてきた。「っつぅぅ……ゲホッゲホッ」
突然始まった悪夢は
そう簡単には終わらなかった。