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自傷癖な少年は休暇をもらった-2

随分と遅れて申し訳ございません

今回流血シーンありです、苦手な方は読み飛ばしていただいて構いません

通路を抜けると広い空間に出た。

床一面を使って一つの魔法陣が描かれ、中央の小さい机には開かれた状態の古びた、分厚い本が置いてある。

表紙に書かれている名は「不死兵の書」

内容を確認すると案の定、僕が呼び出したいものについての記述だ。


小声で転移魔法を詠唱する、無詠唱で行うと不確定要素が増えるためだ。

パリッという音と共に人間の子どもが何人かやってきた。

全員魔族が滅ぼした村の出身で、成長すれば実験に使おうと思っていたが急遽予定を変更したのだ。

誰もが手足を縛られて口には猿ぐつわをつけられ、身体の自由を奪われている。


本の左ページの魔法陣に触れると盛大に煙が吹き出て姿を変える。

それは見目麗しい少年とまだか弱そうな仔猫だった。

だが、放つ気配はただのヒトと猫ではない。

彼らは僕には目もくれず子どもたちに向かう。

そして、まだ未熟な白い手に噛みついた。

ボーイソプラノの悲鳴が薄暗い書架に木霊する。

まず一人目を「食べ終わった」彼は足元の仔猫にまだたっぷりと肉付いた骨を投げた。

待ちわびていたのか尻尾をピンと立て、「それ」にむしゃぶりつく。

彼の真っ黒なコートと中に着ている白シャツや艶やかな黒の髪が紅く染まっていく。

終始無言で「それ」を食べ続ける彼とさも平然とそのおこぼれにありつく小さな猫。

まるで新しいおもちゃを貰ったかのように仔猫の様は無邪気だ。

それは一種の狂気だ。

片手では足りないほどいた子どもたちもとうとう最後の一人になった。

綺麗なオレンジ色の瞳は取れかかり苦痛に悶える少女の首は慈悲に切り裂かれる。

年は十三くらいだろうか、周りの子と比べてやや低めの恐怖に満ちた声と命を散らして血塗られた大輪の花が魔法陣に描かれた。


満足したのか一人と一匹の身体が淡く発光した。

点滅が終わるとそこには自身の身長はどありそうな戦斧を抱えた青年と立派な黒獅子が現れる。

彼らの名は黒獅子騎士。

ライオンと人間の双子という特異な組み合わせの『悪魔』だ。

人型が兄のラルスでライオンが弟のマルス。

普段は少年と仔猫に擬態しているが一定の人間を食べるか「契約者」の命に応じて本来の姿になる。

青年と目が合うと身体が緩やかな闇に包まれる、契約の時間だ。


「「我、汝を認めん」」


ボソッとふっきらぼうな物言いだが、認めてもらえたようだ。

闇がゆっくりと霧散していく。

右側のページに描かれていたナイフが具現化し僕の手元に落ちた。

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