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ドラゴンハンター  作者: ラルゴ
双子のドラゴンハンター
6/19

06

なんとか元気を取り戻したレインは、娥梨子と別れることに成功した。

まったく酷いめにあったと思いながら廊下を歩いていたらとある異変に気づいた。

そう…気がついたら、出発した教室への戻り方がわからず迷うハメになったということ。


あっちへウロウロ、コッチでウロウロ


長い時間さ迷ってどうにか見覚えのある通路に出られた。

空き教室に戻ると、もう鬼畜ハンターが教室に戻ってきていたのだった。


あちゃ~戻ってたかぁ……ついてないなぁ。

いや、自業自得かな?


「どこに行ってたんだ?」


鬼畜ハンターの僅かに苛立ちの籠った声。


絶対怒ってるよなぁ?


「・・・・まぁ、いい。さっさと席に座れ。」


怒って………ん?怒って無いの?


鬼畜ハンターの声に命じられるまま、レインは教室に入り、教室のド真ん中の席に座った。


ん、あの(ひと)は?


鬼畜ハンターとは別に、見覚えのある頬にハートのタトゥーがある、腰にガンベルトさげた男が同室していた。

レインは優顔の男を、見ていた。


「・・・小学生?16歳ノ青年ジャナカッタケ?」


ハートの男が、なせが片言な言葉で話し出す。


「ハーツマン、こう見えてもこのガキは16歳だ。さすがに小学生は可哀想だろ。中学一年生ぐらいでいいと思うぞ。」


「福智、ソウ言ッテル君モ酷イト思ウヨ。」


ハーツマンと呼ばれた男と、たったいま名前がわかった鬼畜ハンター 福智(ふくち)は、仲良さげだった。

もろ和名じゃん。

あ、極東支部(旧日本)だからか…

というか、ハーツマンってあだ名じゃないのかな?


「小学生ニシカ見エナイケドナ……」


「子供過ぎると、なにか問題でもあるのか?」


福智がハーツマンに尋ねた。


「問題トイウカ……コノ子、顔カラ下ガムキムキナイスガイ、ミタイナ感ジニナッチャウ可能性ガ高イケド、イイノ?」


「え、えええっ!?」


ムキムキナイスガイって何でやねんッ!!


レインは心の中ので叫んでいた。


「おう、良いぞ。」


よくねぇよ鬼畜!?


「・・・それで、この人は?」


レインは訊くに訊けないでいた質問を福智にぶつけた。


「後衛学科【00】の担任教官だ。」


「後衛学科【00】?」


「お前が所属する学科だ。」


レインは困惑した。


「俺は確かに後衛学科ですけど【01】とかじゃないのですか?【00】なんて聞いたこと無いですよ?」


「確かに聞いたこと無いよな。」


福智はレインを見たまま、首を小さく横に振った。


「お前には、新しくできた後衛学科【00】として装甲車に乗ってもらう。」


「・・・・・・は?」


意味がわかんないんだけど。


「それしかお前みたいな雑魚を乗せることしかできねぇんだよ。」


福智は手慰みに煙草をくわえながら言う。


「・・・【00】ってなんですか?」


そのだけが一番の不明な点だ。


「後衛だけど前衛がいなくても竜を狩ることができるハンターを育成するための教室だ。」


福智は紫煙を吐き出しながら告げた。


「どうして俺が?」


「足手まといはいらねぇからだよ。」


「・・・・・・・。」


「お前みたいな雑魚は強くするしかねぇから作られたクラスなんだよ。」


「・・・・具体的な、説明をお願いします。」


福智は煙草の灰を携帯用灰皿に落としてから、説明し始めた。


「後衛学科【00】としとの仕事は偵察だ。誰よりも先に進み、情報を部隊に届けるのが仕事だ。」


「・・・・・それだけですか?」


「それだけだ。あと死なないように頑張るだけだ。お前にもできそうな仕事だろ?」


確かに、死なないように頑張る以外は難しいことのようには聞こえなかった。


だからこそ、後衛学科【00】にしか務まらない仕事ということに、レインは異常を感じた。


「どうして後衛学科【00】がやらなくちゃいけないのですか?」


「ハッ、知らねぇな。作ったうちの支部長が教えてくれねぇからな。」


福智が小さくなった煙草を携帯用灰皿の中に突っ込んだ。


「ハーツマン、あとはお前の仕事だ。」


「イエスッサー、サッサト終ワセヨウ。先生ハ、一刻モ早クココヲ出テ花子トデートニ行キタインダ。協力シテネ。」


レインは担当教官(ハーツマン)から一枚のプリントを渡された。


___________________________



まぁ、頑張れや。


ちなみに後衛学科【00】は君独りだけだよ。

ボッチだね(笑)



ハーツマン


___________________________


いらねぇ気遣いだ……はぁぁぁ?ボ、ボッチじゃないし!?


「ト言ウワケデ、連絡事項ハ以上!Adidas!」


「アディオスじゃねえよ、待て!」


レインは走り去ろうとしていた担任教官ハーツマンの肩を掴んで引き止めた。

自分でも不思議なくらいの力が出た。


「Oh~意外ト、パワーガアルネ。雑魚ハ雑魚デモ大物ダッタノカナ?」


誰が雑魚だ!


「後衛学科【00】って、俺一人なんですか?」


「書イテアルトオリダヨ。」


「他の後衛学科は?」


「沢山イルネ。」


うん、だと思った。


「ちなみにハーツマンの年齢は?見た感じでは俺とさほど歳の差を感じないのですが?」


「ホトンド同ジタヨ。デモ、雑魚ノ君ヨリハ強イヨ。身長モ君ヨリハ高イシ彼女イルシ。」


クソヤロウ!リア充なんて滅びればいいのに……


「じゃあ、なんで教官は極東出身じゃなく、西部出身でよね?なのに出身地の言葉を間違えたんですか?世界標準語になった日本語じつはペラペラ喋れますよね?」


Adios、アディオスをAdidasアディダスって言ってたな。


ちなみに日本語が世界標準語になったのはドラゴンハンターの組織を作り出したケチの部下が日本人が多いからと聞いた。

身内ひいきってやつだよね。


「細カイコトハ気ニシナイ!」


気にして欲しいんだけど。


「なんで、こんな人が教官なんだろう。前衛と後衛のどっちかに交ぜてほしい。」


【01】でも【02】に一人増えても別に変わらないでしょ!細かすぎるぞ!!


「無理ダネ。参加者ノホトンドハ全支部にあるカルデラ機関ノトップクラスノ連中ダヨ。落チコボレダケデ済メバイイケド、君ミタイナノジャ、実力差ガアリスギテ演習デ殺サレチャウカモ。」


「・・・・・・・。」


ハーツマンに厳しい指摘を受けたレインは、返す言葉がなく沈黙した。


「教官ガマンツーマンデ教エテアゲルノニ、何ガ不満ナノカナ?」


「それは……」


マンツーマンで教わらなければならないことがまず不満だったり、同じ十代の教官に教わるのが嫌だったり、したがさすがに面と向かって言えなかった。


「モシカシテ、ミーノ事ガ嫌?」


「そうですね……すこしだけ。」


「Very Shock!デモ、担任ハ変ワンナイヨ!!ハイ、マンツーマン決定!」


なんちゅうポジティブ思考を持った教官なんだろう。


ハーツマンは腕を組み、不敵な笑みを浮かべて言う。


「マァ、ミーモ生徒ヲ持ツノハ始メテナンダヨネ。オ互イ頑張ロウ!」


「・・・・・・。」


オイオイ、不安なこと言うなよ。


「・・・教官も後衛として参加するんですか?」


レインに「教官」と呼ばれて、ハーツマンは満更でもない様子だった。


「教官ガ出ルノハ上ノ命令ニヨルカラネ、ワカラナイヨ。」


「うえ?」


「支部長ダヨ。命令ヲ福智ガ伝エテクレルンダ。」


ハーツマンは先程から空気になってる福智の方に目線を向ける。


福智は面倒臭いとでもいうように苦い顔をしている。


「ジャ、最後ニ出欠デモ取ットクカナ。ミーハ教官、先生ダモンネ!」


出欠確認は一秒で終わった。



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