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あの時のぼくたちも、青かった 2

「……だったら、ぼくの仕打ちはなおさら酷かった」

 優はどんな気持ちだっただろう。

 どんな気持ちで最後のキスをしたのだろう。

 はぐれたらどうするのという言葉の裏にどんな想いを隠しながら、ぼくの袖口を掴んでいたのだろう――。

「仕方ないよ。あの時の私たちは、青かったんだから」

 優はあっけらかんと言い放った。

「それに別れたのだって私のことを考えてのことでしょ? 言ったじゃん、私は彼氏の言葉じゃなくてあっくんの言葉が良かったの。だから十分」

「買いかぶり過ぎだよ。今、思い返すと……」

 ぼくはためらいがちに言った。

「あの時、ぼくは本当に優のことを考えていたのか自信ない」

 異国の地に行ってしまったとしても、全然日本に帰ってこないわけじゃない。年に数回は会えたはずだ。会えない期間だって電話なりメールなりすれば良い。本当にその気になれば、バイトして金を貯めて、こちらから会いにいくことだってできた。

 優の新しい世界にぼくはいないからなどと自分に酔った理由(今思うとよくこんなむずがゆいセリフを吐けたものだと頭をどこかに打ちつけたくなる)をつけて、結局ぼくは遠距離になっても続けていける自信がなかっただけなのではないか。

「それはね、あっくん。さすがに昔の東城篤が不憫だよ。高校生のあっくんと、あれからいっぱい経験を積んだ今のあっくんじゃ、見えるものが変わって当たり前。今の物差しで昔の自分を測ったら、ツッコミどころ満載で穴だらけで恥ずかしくなるのは仕方ない」

 だからああいうのは「あの時は青かった」って笑い飛ばすくらいがちょうどいいんだよ。そう言って、優は本当に声を上げて笑った。

 そうだ。今思うと確かに昔の自分は浅かったかもしれない。どこかに自分可愛さもあったかもしれない。でも、優のことを毎晩毎晩考えて、どうしたら優にとって一番良いか悩んだ。それは偽りのない事実だ。


 ふう、とため息が漏れた。

 やっと許されたような気がした。自分を許せるような気がした。


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