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消息を絶ってから、7時間。F-35は二回も空中給油を受け、E-2Dは地上のレーダーサイトに仕事を引き継いで着陸してしまった。
元気を取り戻したレナも、今はソファーで沈んでいる。
「……こ………か?…………」
飛び起きて、スピーカーを睨む。
「お……こ…………おう…………」
「こちら嘉手納!おい、聞こえるぞ!おいっ」
Alley mur murの画面を無断でリアのカメラに切り替える。砂嵐しか見えない。
「こ……氷川だ、……離脱してきた。援護頼む。」
その声と共に、
画面の砂嵐は、暗闇へ。
暗闇は晴れていき、
蒼。
空の蒼へと。
変わっていき。
「こちら氷川。キャンプから脱出してきた。搭乗員8名、全員生きている。電子支援で通信はできるが、機体の様子が分からない。確認頼む」
「バーナー・オン」
レーダーに、二機の機体が表示される。一機は200キロ程で巡航、もう一機はマッハ1.6で接近している。
やがて交差し、機体は横並びになる。
「氷川、どうだ?」
「こちら氷川。前面ガラスが何も見えない。斜めに進入するから、そのつもりでいてくれ」
「嘉手納だ。酷いことになってるな。エンジンは?」
「何とか回ってはいるが、もうこいつはダメだろう」
「ご愁傷さま。先導する」
「サンクス」
安堵でも、脱力でもない感覚。
頭の後ろが、軽くなったような。
画面には、機内の映像が映し出されている。飛行場に救急車が配置される。それを、逐一放送していく。
彼らは、生きていた。