現代版 『卑怯な蝙蝠』
その国ではあるサークルと一人の問題児が互いにけん制しながら戦いに陥っていた。そしてそのどちらにも味方することなく傍観していた一組の男女もいた。
サークルのメンバーが問題児と戦うことになったのはとある女性が問題児からの執拗な嫌がらせからその国から退去せざるを得なくなったためである。
サークルのメンバーにしても、問題児にしても、中立を標榜していた男女にしてもかつてはそれぞれ、仲がよかったのだが、あるとき問題児がその国を自分のハーレムにしようとし、国内の男子の陰口をたたくようになったことから、和がくずれてきたのだ。
和が崩れたその国で問題児はある女性に付きまとい始めた。女性が拒否すると、今度は態度を豹変させ、執拗までの嫌がらせをするようになった。それも己の妄想を書き綴った記事を発表しつづけた。
結果、その女性は国外に自ら退去せざるを得なかったのだ。
それを知った。国民はあるものは同士をつのりサークルをつくって問題児に嫌がらせをやめるよう動き出した。
問題児はそれにたいし、対抗するようになり、それとは別にどちら側にもつくことなく中立をきめこんだ男女の3つの勢力にわかれるようになった。
サークルに参加した女性がある記事を公開したところ、中立を守っていた男女のうち男のほうからそのサークルの女性に記事を書くのをやめるように言うようになった。しかし、国外退去をせざるを得なかった女性と特に親しかったそのメンバーはやめることをせず、問題児に記事を書くことをやめるよう、自分の記事に書き続けた。
中立を守っていた男は「自分が問題児を説得するから、とりあえず、記事を書くのをやめなさい」と親切ごなしにいったのだが、問題児の説得に失敗すると、こんどはサークルの活動を妨害するようになった。
話は前後するが、被害者の女性が国外退去するときもその男は「間にたつから」といっていたが結局何の成果も挙げることはできず、女性は国外退去をすることとなった。
中立を守った女の方は、あるとき被害者の女性が問題児の行動を立証するために一時帰国したときに、サークルのメンバーが歓迎するなかひとりだけ「戻ってきて、非常に迷惑である」と記事を書いた。
しばらくして、男はサークルに対してではなく、かつて問題児に対する記事を書いた女性にたいし、その記事に攻撃するような返信をし、さらに彼女の部屋に彼女を誹謗する手紙を残した。
男は中立を標榜しながら、どちら側勢力にも近づこうとしていたのだろう。そしてそのパワーバランスが崩れたとき、優位にたつほうに見方をして、己の利を守ろうとしていたにちがいない。
結局、誹謗する手紙を書いたことをサークルのメンバーに知られた男は、メンバー全員から、真意を説明するよう迫られることになった。しかし、男は説明することなく逃げるようにその国から退去してしまった。
女のほうもそれと前後して、ある国民に「男から攻撃されて、ひどく傷ついて精神が安定しないので」と手紙を書き、国外退去していった。