第一話 冒険の始まり
どこからか声がする。
―ねぇ、聞こえる?―
・・・だれ?
―聞こえてるならよし―
だから誰だってば
―そんな事はいいとして。もし、ここじゃない別の世界に行けたとしたらどうする?―
いいのかよ・・・それは楽しそうだと思うけど。
―じゃあ、そこに竜人とかがいて魔法とかが発達した文明であっても?―
なにそれすごそう・・・冒険したくなるな
―帰れなかったとしたら?―
困るな・・・けど行ってみたい
―なるほど、君なら・・・ね―
え?なに
―そろそろお別れかな。次に会うときを待ってるよ・・・―
待ってくれ・・・!なんのことか・・・
途端に意識が消えていく。
同時に声も小さくなっていき無音が広がる。
気づいた頃には視界は消え、真っ白になった。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
朝となり、寝覚めの悪い夢だがやけにリアルだったなと思いつつ、
学校に行くため駆け出す。
青年の名は|海翔❮カイト❯。
この物語の主人公である。
今日は終業式、明日からは学生にとっての幸せ、夏休みが訪れるということでカバンも身も軽いらしく颯爽と走り抜ける。
学校に着くと、何人かの男子生徒が近づいてくる。
「よ、おはよ」
「おはよー」
「今日は随分と元気だな?」
「終業式だからね。そうなるでしょ」
「それは言えてるな」
「宿題を早めに終わらせて後は楽しむぞ!」
「勉強は?」
「う・・・」
「って、そろそろ式が始まるな」
「マジ?じゃあ行こか」
「おう」
茶々を入れられたりしたが時間が来たので式の場所へ向かう。
先のことしか考えてなかったので、式のことなど頭に入ってこなかった。
校長の長い話があったことしか覚えていない。
解散の合図が出され、各々教室へと戻る。
「なんも覚えてないや・・・」
「おなじく。」
「今日はとっとと帰って寝ようかな」
「帰ってすぐ寝るのかよ」
「明日のために・・・ね」
「ふーん」
「て事でバイバーイ」
男子生徒と別れ、家へと帰る。
帰宅するなり明日の準備を済ませ、家族と団欒した後布団の中へ入る。
明日からの休みを満喫するために・・・
そう、布団の中に入ったはずであった。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐
目が覚め、体を起こす。
いつも見る部屋の光景・・・などではなく、青々とした木、風になびき太陽の光で反射している草原。
「・・・は?」
思わず言葉をもらすがそうとしか言いようがなかった。
自分の部屋で寝ていた筈なのに起きたら草原。
大抵の人はこう言う。
「夢だな、うん。」
夢だと思いその場に横になる。
数10分して起き上がるが景色変わらず気持ちいい風が吹きすさぶ。
「ここどこだよ・・・俺部屋で寝てたよな。」
誰に向けたわけでもないがそう言う。
「昨日の夢・・・いや、あるわけないか」
別世界、疑問は浮かんだがすぐに切り捨てる。
その場にいても拉致があかないので歩き出す・・・歩こうとしで足元を見ると赤く丸っこい石があったので拾う。
「なんだこれ?やんわりとあったかいな」
ほのかに熱を持っているのか暖かいので、手に持って歩き出す。
開けた所から道が少しずつ狭くなっていく。
草原から少し離れたところで物音が聞こえる。
「なんか動物でもいるのかな」
音の方向へ少しずつ近づいて行く。
視認出来る範囲にまで近づき、目が点になる。
(え・・・なにあれ・・・?)
そこには人の姿をした生き物が歩いていた。
見た目は人なのだが、尻尾があったり翼があったりとどちらかというと竜のように思えた。
「人、じゃないし・・・竜?」
恐怖より好奇心が上回り、さらに近づいていく。
数mという距離にまで近づいたところで、
足元をよく見ていなかったため木の枝を踏んでしまう。
バキッ、辺りに音が響く。
当然のように竜も反応する。
「誰だ!」
「あ、やべ・・・」
逃げようとするが体が動かず捕まる。
「・・・人間?なんでここにいるんだ」
「えーと、なんでだろ?」
「とぼけるんじゃない」
「俺もなんでこんな所にいるのか知らないんだけど・・・
気づいたらアソコの草原にいたし」
「知らないだと?」
「うん、家で寝てたはずだもん」
「・・・話を変えよう。お前は誰でどこの出身だ」
「カイト、出身は日本だけど」
「ニホン?聞いたことがないな」
「じゃあ逆に聞くけどここはどこなの?」
「オルレイン。人と竜人、獣人が共存し魔法で発展した世界だ」
「・・・は?竜人、それに魔法?!」
「そうだ」
コイツを見た瞬間に疑問は感じていた。
そして今の言葉を聞いて嫌でも確信を持たざるを得なかった。
〈ここは別世界〉だということを。
「今聞いた話だけならばお前はここじゃない何処かから来たということになる・・・が、そもそもどうやって来たのかもわからないのか?」
「そうなるかな・・・
行く場所ないし、出来ることなら帰りたい・・・」
「だがその方法がないと」
「う・・・」
「だったらオレについてこい」
「なんで?」
「ここら辺は危ないからに決まってるだろ」
「え、でもなんもないじゃん」
「この辺だけだ」
「ついていくしかないじゃん・・・」
「さっきからそう言ってるだろ
行くぞ」
「待ってよ!アンタの名前は?」
「リアンだ」
名前を言うと、歩いていく。
その後を追いかけ森の中へと入っていく。
―まだ、冒険は始まったばかりだよ ―
声が聞こえ、後ろを振り向く。
そこには何もいない、気のせいだと思い再度追いかける。
夢の内容が現実として、今起きていることに疑問を持ちながら・・・
また作り直してみました!