第三話
よかったーー。助かった・・・。
でも、いったい誰なのだろうか、こんな俺を助けようとしている彼女は・・・。
名は、アルディアか?この辺に住んでいるのか?家があるのか?
いや、そんなわけないか。腹が減りすぎてきっと頭がおかしくなってたに違いない。
家なんてありえない。
「あのー。生きてますか?」
そのアルディアという女が聞いてきた。
それより・・・・。
「水っ・・・。水は・・・」
もう唇はカサカサで、唾がたまっている。カラッカラだ。
「まぁ!ティラ、すぐに水をこのかたに飲ませてあげなさい!きっとこの人迷ったんだわ!」
「しかし・・・。他人に水を飲ますとは・・」
頭がクラクラする。
「このままでは、死んでしまいますよ?!見殺しにできるのですか?!」
「わかりました・・・」
俺の口のなかに冷たいなにかが入ってきた。
水だ・・・。なんておいしいんだろうと思う。
「そういえば、あなたの名は?私はアルディアっていうの。よろしく」
「俺の名はーー。ないんだ。というより、分からないんだ。忘れたんだ」
「そう・・・。ねぇ、ティラこの人も連れていってはダメ?」
「ダメに決まってるでしょう!そいつは何かたくらんでますよ。きっと」
俺をどこに連れていくつもりなんだ・・・?まぁ、この何もないココから抜け出せるのなら・・・。
別にいいや。と小声で言った。
だって、何もないココより、彼女達が行くところの絶対、苦しくないから。
「さぁ、早くのって!時間がないのっ」
ティラという老女を説得したのか・・・。なぜ俺の為にそこまで・・・。
なんか今、ふと思った。あのままアルディアに助けられなかったら死んでた。でも別に死んでもよかったかもしれない・・・。だって、何も考えなくていい。ムカツクこととサヨナラだし。
あぁ。死ぬとどうなるんだろう。真っ暗闇で何も見えないのか?ココのように―――。
「すいません、今の私のお話聞いていましたか?」
全然聞いていなかった・・・。
一人で考えていたから、どんどん自分の世界に入っちゃって、分かんなかったんだ。
「あなた、名前がないのでしょう?だから、あなたに名前を・・・」
名前が・・・。つくのか・・・。
「うーん。どういう名前がいいかしら。ティラどう思う?」
「前の恋人の名前はーー?」それいいわと言って、アルディアはこっちに顔を向けた。
「あなたの名はー」
少し短かったかもしれません。ごめんなさいっ!




