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第十三話

 一同は一斉に振り返った。見ると、砂漠の地平線上を埋め尽くす程の巨大な砂嵐が、全てを飲み込むかの如くこちらに迫って来ている。まるで巨大な“砂の城壁”である。

 

「何だよ・・・あれは・・・・・・」

 呆然と立ち尽くすオスティス。


「わたしも長く生きてきたが、あれほどの砂嵐は見たことが無い。しかし、いつの間に・・・・・・!!」

 ティラが悔しそうに言う。

 

 一方、周りの戦士たちは既に、パニック状態に陥っていた。悲鳴を上げて走り回る者、自分だけ逃げる準備を始める者、とにかく騒然としていた。


 

 そんな中、アルディアは後ろで、一人静かに目を閉じ、心を落ち着けていた。何かの“予感”がしてならなかったのである。そして、予期していた通り、突然アルディアの視界が揺らぎ、又、元に戻った。


 (又だわ・・・・・・だけど、これは・・・・・・)


 今度はこの前とは違い、一瞬ではあったが、確かにアルディアには何かが視えたのである。



――皆さん、落ち着いて下さい。


 全員がピタリと静かになった。アルディアの心の声である。


――これから私の言うことを良く聴いて下さい。あの砂嵐は何者かによって意図的に発生させ、操られているもの。従って、逃げることは不可能です。しかし、私には視えました。あの砂嵐が去った後が・・・・・・。安心して下さい。我々は必ず助かります。


 その場に居る皆に心の声を伝える為、かなりの力を遣ったのだろう。アルディアはその場にへたり込んでしまった。 

 

 アルディアの言葉を疑う者は誰一人として居なかった。周囲は不思議な位に、落ち着きを取り戻し始めた。そして、戦士達は慌ててアルディアに駆け寄って行った。

 

 

 「そういえば、以前聞いたことがある。ヘルメスの中で砂漠の砂を自在に操るものが存在すると。確か、アンラ・マンユの・・・・・・。まさか!あの方が、まだ生きている・・・・・・!?」


 急に青ざめたティラを見て、隣に居たオスティスは言った。


 「何者なんだ?そいつは。」


 オスティスの乱暴な言葉使いに、ティラは少々苛立ったが、静かに答えた。


 「・・・・・・ヘルメスの中でおそらく、最強を誇る戦士だ・・・・・・」  

 


 “意志”を持った砂嵐はものすごい勢いで真っ直ぐこちらに向かって来る。砂粒の混じった風もいよいよ強さを増してくる。

 

 皆が、目、耳、鼻、口といった、大事な情報伝達のための器官を両手で塞ぎ、アルディアを真ん中に小さく一つに固まった。


 

 ――来るぞ!!!!

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