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第5話



書店に入って気づいた。この世界の技術力は色々とおかしい。


この街並みからして本の出来には期待してなかったのだが


近くにあった本を手にとって見てみると印刷されたみたいに字が綺麗で紙もちゃんとした紙だった・・・


それで建物は中世の街並みなんだぜ?違和感がすごいある。


まぁ、これが異世界なんだと無理矢理自分を納得させる事にした。


初めての魔法と言う本を立ち読みした結果、以下の事が書いてあった。


立ち読みしていると店主にすっごい睨まれてたが関係ないね!


1.魔力を手に集めます。


2.次に起こる結果をイメージします。


3.詠唱します。


4.魔法が発動します。


※魔法の詠唱や効果などを教えてくれる人がいない場合は魔道書を読んで覚えましょう。


※魔力を集められても属性が合ってないと詠唱しても発動しない事が多々あります。自分にあった属性を選びましょう。


まぁ要約するとこんな感じだった。次に『地』の魔道書を読もうと探すのだが・・・見当たらない。


『火』『水』『風』はすぐに見つかったのに『地』だけがない。『時』『創造』がないのは何となくわかる、レアっぽいからな。


だけど『地』だぜ?基本属性じゃないのか?と念入りに探していくと・・・見つけた。書店の奥の更に端の方にポツンと一冊だけ置いてあった。


扱いひどくね?『火』『水』『風』は何種類も初級用の本があったのに『地』だけ一冊だけとか・・・だがそれがいい!


『地』の魔道書:初級編を立ち読み開始、店主がはたきを持って襲い掛かってきたが無視。


1.地を耕す魔法 <アースカルティベイト>


2.地を盛り上げる魔法 <アースライズ>


3.地中の石ころを取り出す魔法 <ストーンイジェクト>


の3つの魔法が載っていた。やばい!完全に畑を作る魔法じゃないか・・・いいな!いいよ!流石だぜ『地』属性!興奮してきたぜ!!


ん?何か書いてあるな。


※注意!『地』の魔法は手を地面につけないと発動しません!


・・・おいおい!更に制限かよ!たまらんな!!


おっと変に興奮してしまった。落ち着かないとな。にしても魔法の数がかなり少ない・・・初級だからか?などと考えていると


店主が泣きそうな顔になってきたのでそろそろ退散する事にした。基本さえ掴めばイメージと詠唱を変更して新しい魔法も作れそうだしな。


まぁ、他の奴に俺が開発した魔法を使われても困るから新しい魔法を作っても人前で使う気はあまりない、無詠唱でできるようになれば別だけどね・・・できるのかね?


さて次は武器屋だ、店主に武器屋の場所を聞いたら涙を流しながらすぐに教えてくれた。何て優しい店主、また立ち読みに来ると伝えておいた。


ちなみに中級魔法や上級魔法の本も見ようと思ったのだが見当たらなかった、店主に聞くと初級以外は専門の店じゃないとないらしい。



――――――――――――――――



書店から10分ほど歩いて武器屋に到着。中に入って店内を見てみるが俺以外に客はいないらしい。


それに武器屋だから武器だけ置いてあるのかと思ったらどうやら防具も置いているようだ。


こいつはラッキーだ。防具屋を探さなくてすむ。


とりあえず安い武器が何処にあるのか聞こうと思い、


カウンターにいる逞しいヒゲの生えたムキムキのおっさんに声をかけようと近づいて気づいた。


やけに小さいおっさんだな?ドワーフか?ドワーフなのか?と考えていると


「何の用だ小僧、ドワーフが店にいるのがそんなに珍しいか?」


おぉやっぱりドワーフなんだ。想像通りだな。


「珍しいっていうかドワーフを始めて見たからな、気に障ったなら謝るが」


「いらん・・・それより用件を言え」


うーむ、やっぱりドワーフって気難しいのかな。


「安いナイフって何処にある?」


「そこに積んである中から選べ」


と言われて見てみると適当に積まれたナイフや剣が置かれていた。


「こんな適当に置いてていいのか?」


「どうせ失敗作だからな」


なるほど失敗作を置いてるのか、溶かして再利用とかしないのかね?


まぁ、いいや。頑丈そうなの選ぼうっと。


ふむ・・・これがいいかな。


俺が選んだナイフは刃渡り20cm、横幅は5cm、厚みは1cmもある。


正直、全く切れなさそうだが頑丈さだけはここに置いてある中でも一番だろうと思える一品だ。


「これにする、いくらだ?」


「・・・また妙な物を選んだな。1000ギルでいい、どうせ切れないしな」


1000ギルか。お買い得だな。念のために持つだけだしな。


「これでいいか?」


と言ってカイヌスから貰った金貨を渡す。


「あぁ、失敗作を買ってくれた礼だ、鞘とベルトもつけといてやる」


それはありがたいな、抜き身でナイフを持ってたらただの危ない人だからな。


「ツリだ」


と言って、武器屋の親父が渡してきた大銀貨9枚を受け取る。カイヌスはちゃんと1万ギル払ってくれたみたいだ。


よかった・・・1万ギルじゃなかったら殴りに行っていたところだ。


「ここって武器や防具の買い取りとかはやってるのか?」


良い武器や防具を安く買い叩かれないためにも信頼できる店は必要だ。


このドワーフのおっさんは頑固で偏屈そうだが人を騙すような事はしないだろう。


「あぁ、買い取りもやっている」


「そうか、防具で安いのはあるか?」


「あるにはある・・・が、やめておけ」


「理由は?」


「武器ならともかく、安物の防具は命知らずの馬鹿が買う物だ。見た限りお前はそういう風には見えん」


うっは!見ただけでわかるとかすげー。


まぁ、確かに安物の防具をつけて動きを制限されるくらいならつけない方がマシか・・・


「わかった、忠告感謝する」


そう言って店を出る。


いい店だったな。無駄に売りつけようとしない所がいい。店員が話しかけてくる店は苦手だ。


俺は一人で静かに商品を見たい、何かあったら聞くから黙ってろと前の世界では常々思っていたよ。


何でお客がいないのか気にはなったが、あの性格だからかな。


と勝手に結論付けて武器屋に行く途中で見つけた雑貨屋へと足を向ける。


雑貨屋ではとりあえず黒いフード付のマントだけ買っておいた。これで少しはマシな格好になるだろう。


靴もサンダルスリッパでは不味いと思い買おうと思ったのだが・・・靴下が見当たらなかったからやめた。


靴下なしで普通の革っぽい靴を履くのは俺には無理だ。それなら俺はサンダルスリッパでいい!


フード付マントのお値段は1500ギルだった。残り7500ギル、宿屋が1泊いくらなのか知りたい。あと100の単位は銀貨だった。


だから今、俺が持ってるのは大銀貨7枚に銀貨5枚だ。とりあえずギルドに行って、すぐに終わりそうな依頼がないか見てこよう。


ちなみに今はお昼過ぎくらいだと思う。書店で立ち読みしてる時に鐘が1回鳴ったから多分正午のお知らせだったんだろう。



――――――――――――――――



ギルドに入り、Fランクの依頼が貼ってある掲示板に目を向ける。


Fランクの報酬は5000ギル以下が基本らしい、今ある依頼の中では3000ギルが最高だ。



依頼:ボアの退治


北の草原に出てくるボアを退治してください。


薬草採取が出来なくて困ってます。


報酬:3000ギル


ボアって多分イノシシの事だよな?イノシシって森にいるんじゃねぇの?


まぁ、いい。とりあえず受けてみようと紙を取っていこうとしたその時である。


「どけよ」


ドンッと押されて俺が取ろうとした依頼書を取られた。


イラッとして振り向いてみると、女を二人連れているキザな男がいた。


キザ男の顔はそれなりで髪は金髪のセミロング。多分イケメンだと思うんだが何かキモチ悪い。

イラッとする顔って言えばいいのかな?説明が難しい。


装備としては背中に剣を背負っているが大きいので多分、両手剣だろう。


防具は金色の鎧をつけている。どこからどう見ても成金装備にしか見えない。


女の片方は金髪縦ロールの髪型をしていてこちらは銀の鎧を着込んでいる。


腰に下げているのはレイピアだろうか?


もう片方の女は黒髪のおかっぱ頭をしていて、こちらはローブの様な物を纏っている。


赤色の石が埋め込まれた木の杖を持っているから魔導師だと思う。


三人を分析しているとキザ男が


「この依頼は俺様にピッタリの依頼だ、なぁお前達?」


と後ろに居る二人に同意を求める。


「そうですわ、フリーザ様にこそ、この依頼は相応しいですわっ」


金髪縦ロールが同意すると


「その通りです、フリーザ様以外には相応しくありません。」


黒髪おかっぱがそれに続く。


その名前を聞いた瞬間に俺は・・・


「ブフォッ!」


と噴出してしまった。


「アッハッハッハ!フリーザ様!フリーザ様って!ハッハッハッ!ゲホッ!ゲホッ!」


やばい笑いすぎてむせた。にしてもこの世界でフリーザ様の名前を聞くとは思わなかった。周りの連中も何事かとこっちを見ている。


「ちょっとあなた!何がおかしいんですの!?」


「そうです!失礼です!」


いやいや!俺だって普通にフリーザと自己紹介されたらさ、あぁ同じ名前なんだなって思ったけどさ!


様づけで呼ぶからさ!もうあのお方しか思い浮かばないわけで・・・デス○ーム撃ってくれないかなぁ。


「おい!貴様!俺様が第八代目の勇者の子孫と知っててそんな態度を取ってるのか!」


おいおい!更に笑わせる気かよ、やめてくれよ!笑い死にしそうだよ!


周りの連中も第八代目勇者の子孫と聞いてザワザワしだした。


「子孫のお前が偉ぶってるんじゃねぇよ、偉いのは第八代目の勇者であってお前じゃねぇっつーの!それにその勇者様の子孫がFランクで何してるんですかぁ~?」


おっと・・・つい正直に言ってしまった。こういう時、正直者は困るな。


「き!貴様!殺してやる!」


「いけませんわフリーザ様!落ち着いてくださいまし!」


「そうです!殺さなくてもこんな奴すぐに死にます!」


「おぉ、怖い怖い。勇者様の子孫は乱暴でちゅね~」


俺は人をおちょくる時は全力を出す!


「くっ!貴様ぁあああ!」


おぉ、怒ってる怒ってる。今のは痛かった!痛かったぞぉ!くらい怒ってる。


このネタ分からない人がいたらごめんねっ!


人をおちょくるのは楽しいなぁ~♪と思っていると


「も、もう行きましょう!フリーザ様」


「そ、そうですっ!相手にしても時間の無駄ですっ」


「くそっ!覚えてやがれ!」


と、二人の女を連れて去っていく、フリーザ様御一行。



あぁ楽しかった。さて北の草原に行く依頼を探すか。


え?何でかって?そりゃもちろん・・・フリーザを・・・な?


笑えはしたけど俺は許した覚えはないよ?俺は受けた恩は忘れるが仇は絶対に忘れないからな!


おっとこの依頼がよさそうだな。



依頼:薬草採取


北の草原で薬草を採取してきてください。


薬草の詳細はギルド受付で。


報酬:1束200ギル 最低10束は持ってくること!



数を集めればボア討伐より儲かりそうだけど簡単に見つかるかわからないのがネックだな。



依頼書を受付に持っていく。


「この依頼を受けたいんだけど」


「はい、薬草採取ですね。」


トラブルがあったのに平然としてやがる。素晴らしい受付嬢だな。それとも聞いてなかったのか?


「それではこちらの紙に書かれている薬草を採取してきてくださいね」


「わかった、ちょっと聞きたいんだが・・・」


「先ほどの冒険者の事ですか?」


やっぱり聞いてたんだ。まぁ、あれだけ騒げばな。


「あぁ、勇者の子孫だって言ってたけど本当なのか?」


「えぇ、本当ですよ」


「勇者の子孫が何でFランクなんだ?」


「聞いた話では実力はあるみたいですよ?ですが、ああいう性格ですから依頼主とのトラブルが多いみたいで・・・」


あぁーなるほどね。変にプライドが高そうだったもんな・・・まぁ、その命も今日で・・・


「勇者の子孫って全員あんな性格してるの?」


「いえいえ、そんな訳ないですよ。あの人は三男なんですけど二人のお兄様方はそれはもう立派な方ですよ」


甘やかされて天狗になったタイプか。兄が二人もいるってことはやっぱりあいつ必要ないな。一人っ子だったら面倒な事になりそうだからやめようかなと考えるところだったけど


まぁ、考えるだけでやめはしないと思うけどね!


今から楽しみだなぁあいつの悔しそうに歪んだ死に顔を見るのが!HAHAHA!


「ふぅん、あいつと関わった依頼主も大変だな。それじゃ、依頼をこなしてくるよ。北の草原は近いのか?」


「30分ほど歩けば到着するはずですよ」


「わかった」


そうして俺はあくまでも依頼を達成するために北の草原に向かって歩き出した。


ホントウダヨ?ウソツイテナイヨ?

ようやく魔法を覚えました。詠唱は単純にしています。

考えるのがめんどくs・・・ゲフンゲフン

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