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第3話

12/01/03 誤字修正

ショッキングピンクの扉を通り抜けて無事に異世界に到着!


通り抜けた後にショッキングピンクの扉は消えていった。


「ここが異世界か・・・ってわかるかっ!」


そう、例えここが異世界でも見渡す限りの森なのだからわかるわけがない。森の外に出てみたら実は地球でしたってなってもおかしくないレベル。


「ってか街の近くって言ったのに見渡す限りの森ってなんだよ!確かに森って聞いてたけどせめて森の入り口くらいに出せよっ!どっちが街かもわからないだろうがっ!」


大きな声で見ているであろう神様達に向かって文句を言うとちょっとだけスッキリした。


「にしても装備は死んだ時のままか、素っ裸じゃなくてよかったな・・・」


装備品を神様に要求してもよかったんだがそれじゃつまらないだろう?神様から貰った装備品なんて絶対に何らかの加護がついているに違いないからな。


あと良い装備品を持ってるとその分狙われやすくなるし、厄介事が多くなりそうで嫌なのだ。やっぱ自由がいいよ自由が!


フリィィィィダ・・・えっ?もうそのネタはいいって?仕方ないな・・・今回の所は勘弁してやろう。


ちなみに俺の装備品は黒のジャージズボンに白いTシャツ、靴は履いて無いがサンダルの形をしたスリッパを装着している。


まぁ、装備品は街中で整えるとして自分の身体能力のチェックでもするか。


「フンッ!」


とりあえず軽く力を込めて近くにある木の幹を殴ってみる。


ドカッ!という音とともに拳が木の幹にめり込んでいた。


「軽くやってこのレベルか・・・手も全く痛くないし本気でやれば木くらいは簡単にへし折れそうだな」


手でこのレベルなら足はどうなるのか・・・怖いです!先生!


「足はジャンプ力で測定するか・・・木をへし折りたくないしな!ジャンプならある程度、力を出しても大丈夫だろうし!」


一応、屈伸をして準備体操。筋肉断裂とか嫌だからな!


「それじゃあ行きますか!・・・トオゥッ!」


戦隊物っぽく叫んでジャンプ!


「うぉおおおおお!たっけぇええええ!こぇえええええ!」


俺は10mくらいの高さまで飛んでいた。ふと遠くに目をやると石できた壁らしき物が見えた。ちなみに視力も強化されてるぞっ!


「あれが街・・・かなぁあああああああぁぁ」


落ちながらそんな事を叫ぶ、結構余裕あるな俺。


「フンッ!」


と膝を曲げつつ着地する。ドンッ!と地面がちょっと陥没した。


「結構な衝撃だったけど体に異常は無しっと!すげーな俺!」


まぁ、身体能力強化は保険みたいなものだ、俺は『地』属性の魔法使いとしてやっていくからな!あまり肉弾戦はしたくない。


そういや魔法の使い方を教えてもらってないな・・・まぁ、いいや。街に行けばわかるだろ。


「それじゃ街に向かっていくかぁー!」



――――――――――――――――



「おかしい・・・何でこういう時にお約束の獣が出てこないんだっ!」


俺は今、森の中を歩いているのだが・・・こういう時にお約束なのが大型の獣が出て襲い掛かってくる事だ。


「爺が言うハプニング体質になってるなら出てきてもおかしくないはずだが・・・」


まぁ出てきたら倒さずに全力で逃げるんだがな!まぁ、出てこないなら出てこないでいいや。楽だし。


とその時


「うぁああああああ!たすけてくれぇええええ!」


見渡す限り声の主は近くにはいないみたいだが聴力も強化されているらしく、声はハッキリと聞こえてきた。


「救助フラグの方か!盗賊か獣どっちかなぁ~♪」


声のした方へ軽いジョギング程度の速度で走る。普通こういう時は全力で走るんだろうが武器も魔法もない状態で体力を使い果たすのはお馬鹿さんのすることだ、


別に間に合わなくても何の問題もないしな!あとサンダルスリッパだから走りにくい!


そうしてしばらく走っていると、助けを求める声が近くなり木々が少なくなってきた、どうやら森を抜けた所で襲われているらしいな。


そろそろ気配を消さないといけない、学校に行ってた頃に習得した空気になるスキルを発動する。


な、泣いてなんてないんだからねっ!にしてもこんな所で役に立つとは人生何があるかわからないもんだ。


さてさてどうなってるのかなぁっと・・・木に隠れながら様子をうかがってみる。


「ひぁあああ!やめてくれぇええ!」


と叫びながら逃げ惑う中年太りのおっさんがハァハァ言いながら走り回っていた。追いかけているのは棍棒を持ってる緑色の小さい人の形をした魔物が1匹。


「あれはゴブリンかな、本当に異世界に来たんだなぁ・・・」


とのんきに呟きながら追いかけっこを見守る。


「ってか1匹くらいあのおっさんにも倒せそうな気がするが」


どうしようか・・・助けてもいいけど助ける価値あるのかな?でもこういうフラグって後々面倒な事になるんだよな。


でもまぁ異世界で初めて会った人だし助けるか。優しいな俺って・・・そう考えてる間にもおっさんは追いかけられている。


「今の身体能力なら投石で大丈夫だろ」


そう思い近くに落ちてる石を拾い集める。何個か拾ったところで


「おーい!おっさーん!」


と声をかけるとおっさんは走りながら顔だけこっちに振り向き


「た、たすけてくれぇ!」


「助けてやってもいいけどさー!いくら出すよー!」


よくいる主人公は無料で助けて色々な事に巻き込まれてるけど俺から見ればありえない、世の中はギブアンドテイクなのだ。


「いっ、1万ギル!1万ギル出すぞ!だから!は、はやく!たすけてくれぇ!」


ふむ、この世界の通貨はギルなのか、それともこの国の通貨なのか?


1ギルがどれぐらいの価値かわからんが、ゴブリンっぽいの1匹だしまぁいいだろう。


「今手持ちでもってるのかー?」


「も、もってる!もってるぞ!はっ、はやくっ!・・・あっ!」


あっ、おっさん転んじゃった。まぁ手持ちでもってるなら後払いで逃げられることはないだろう。


持ってなかったら色々と・・・な?


「嘘だったら許さないからなー!」


と言いつつ転んだおっさんに追いつきそうなゴブリンに向かって行きながら軽く投石。本気で投げたらぶち抜きそうだからな。


「ギャッ!」


うむ、狙い通り足に当たった。ゴブリンの足が止まり、近くへ来た俺の方へ顔を向ける。かなりご立腹らしい。


そのまま当たってない方の足へ投石をして命中させる。


「ギャィゥゥァアア!」


一投目より強く投げたせいかゴブリンが痛みに悶えている。俺のドS心をくすぐりやがるぜ、このゴブリン。


まぁこれでしばらく動けないだろう、下手したら足の骨が折れてるだろうし。痛みに悶えてるゴブリンを放置して転んだままのおっさんに近づく。


「おっさん、大丈夫か?」


「あ、あぁ・・・ありがとう、助かったよ!」


おっさんはまだ起き上がる気配がない、腰でも抜かしたのか?仕方ない起こしてやるか。


「ほら、手につかまって」


「す、すまないね。どうやら腰を抜かしてしまったらしい」


「いいよ、これくらい。で、報酬の件だけどさ?」


「あぁ、わかっている。これでいいかい?」


と言って金貨1枚を出すおっさん、ふむ・・・金貨1枚が1万ギルなのかな?


「できたら細かいお金の方がいいんだが・・・持ってるか?」


「細かいって言うと大銀貨10枚かい?」


大銀貨10枚で金貨1枚分ってことは1000ギルが大銀貨1枚って事か。


「あぁ、無ければ別にいいんだが」


「すまないね、大銀貨10枚は持っていないよ」


「いいさ、じゃあ1万ギル確かに受け取った」


「あのゴブリンは殺さないのかい?」


といまだに痛みに悶えているゴブリンを指差しおっさんが言う。やっぱりあの緑色の魔物はゴブリンであってたんだ。


「殺したければ自分でやってくれ、俺がおっさんと交わした契約はおっさんを助ける事であって殺す事じゃない」


と、それっぽいことを言ってみるが実際はこのおっさんが支払いを渋ったらゴブリンに襲わせるつもりだったのである。


「そ、そうか・・・私は街に帰る予定だったのだが、君はどうするんだい?」


「俺もとりあえず街に向かうから付き合うよ」


支払いを渋らなかったからとりあえずおっさんと一緒に行く事にした。


「おぉ、それは心強いな」


心強いって石を投げた程度なのに何を期待してるんだ、このおっさん。


大量の魔物が出たら俺はおっさんを放置して逃げるぞ。



こうして俺とおっさんは街に向かって歩き出したのだった。



ようやく異世界に突入しました。

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